研究活動
主な研究内容
1)腹腔鏡手術に関する研究
当院では腹腔鏡手術を積極的に取り入れており、腹腔鏡に関する多数の臨床研究を行っています。進行大腸がんに対する腹腔鏡手術と開腹手術の根治性に関するランダム化比較試験(JCOG0404)、Stage 0-Ⅰ期直腸がんに対する腹腔鏡手術の妥当性に関する第Ⅱ相試験、下部進行直腸がんに対する腹腔鏡手術の意義に関する研究などに参加し、本邦における腹腔鏡手術の研究に携わっています。
現在ではさらに、肛門近傍の直腸がんに対する腹腔鏡手術の安全性と有効性を評価する研究や、治癒切除不能進行大腸がんの原発巣切除に対する腹腔鏡手術の有用性に関するランダム化比較第Ⅲ相試験(JCOG1107)を行っています。
2)ロボット手術(ダヴィンチ手術)の安全性と有効性に関する研究
静岡がんセンターでは2011年12月より全国に先駆けて直腸癌に対するロボット手術を導入し、ロボット手術の安全性と有効性を評価する研究を行ってきました。この結果、ロボット手術の非常に優れた成績が得られており、2016年6月までに500件のロボット手術を行った実績があります。今後、長期成績を明らかにしていきます。また、全国においても多施設でロボット手術の安全性と有効性に関する研究を行う予定です。
3)直腸がんにおける標準治療確立のための研究
直腸がんの治療成績を改善するための研究は重要な課題であり積極的に取り組んでいます。下部進行直腸がんに対する側方リンパ節郭清の意義に関するランダム化比較試験(JCOG0212)では、側方郭清を行うことにより、局所再発が減少することが報告されました。現在、術前診断能向上のための観察研究(JCOG1410-A)、側方リンパ節転移が疑われる症例に対して術前化学療法の意義に関するランダム化比較試験(JCOG1310)を行っています。また、直腸がん治療の後遺症である排尿・性機能障害に関する研究も行っています。
4)結腸がんにおける標準治療確立のための研究
結腸がんの手術において、リンパ節転移の広がりを調査することにより、至適腸管切離長についての研究を行っています。また、大腸がん切除の適切な手順に関する研究(JCOG1006)や、治癒切除不能進行大腸がんに対して原発巣切除の意義に関する研究(JCOG1007)を行っています。
5)大腸がんの術後補助化学療法(手術に併せ行う再発予防のための治療)に関する研究
大腸がんの術後補助化学療法の有効性に関する多数の研究に取り組んでいます。現在では、大腸がん肝転移切除後の補助化学療法に関するランダム化比較試験(JCOG0603)、再発リスクの高いStage II大腸がんの術後補助化学療法の至適投与期間に関する研究を行っています。
6)その他
上記以外にも、肛門管がんに対する化学放射線療法(JCOG0903)や、高齢者の化学療法に関するランダム化比較第Ⅲ相試験(JCOG1018)などを行っています。
また、血液検査や手術標本の遺伝子解析データと臨床データを比較検討するトランスレーショナル研究に取り組んでいます。
大腸癌研究会による全国大腸がん登録事業に参加しています。
尚、当院で行われている試験や治験の詳細については、「静岡がんセンターで実施している臨床試験・治験の情報」のページ、または「倫理審査委員会で実施情報の公開が必要とされた研究の情報」のページをご覧下さい。
関連情報
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