よせられた質問及び回答集(がんの手術を受ける時ー麻酔科医の役割)

2005年度 市民公開講座第2回(2005年11月26日実施)

 手術における麻酔の目的について教えてください。
 手術をするためには痛みをとるために必ず麻酔を行います。がんの手術は一般的に長時間の手術が多く、全身麻酔をしますが、肺や胃、腸、肝臓などの手術は手術後の痛みが強いため硬膜外麻酔を一緒にすることが多いです。
 吐き気や頭痛などの麻酔による後遺症予防について教えてください。
 吐き気、頭痛は一時的なものですから後遺症とは言いませんが、辛い合併症です。強い症状の場合は吐き気止めや痛み止めを使います。
 麻酔の合併症について教えてください。
 麻酔の合併症は数多くあり、すべては述べられませんので、命にかかわる重篤なもののみお答えします。全身麻酔は呼吸を弱めますので、人工呼吸を必要としますが、麻酔の一番怖い合併症は麻酔中に呼吸が十分にできない事態に陥ることです。気管挿管ができない、ぜんそく発作がおきる、人工呼吸器の不具合、人工呼吸から自分の力で呼吸ができるまでの間に起きるトラブルなどです。また、血圧が下がったり、重篤な不整脈が起きているのに気づくのが遅れ(この原因は麻酔だけではありません、手術操作でも起きます)適切な処置が遅れることです。いづれも心停止の危険がありますし、脳を傷つける(意識が戻らない)可能性があり、死亡することもあります。アレルギー反応によるショックも稀にあります。合併症を起こさないことは大切ですが、起きた場合、できるだけ早く 適切な処置をすることが重篤な後遺症を残さないためにより重要です。
 硬膜外麻酔はどの位の期間、投与できるのでしょうか?
 硬膜外麻酔に使う管は異物ですから感染の危険が常にあります。通常は3,4日間、長くて1週間以内にとどめます。
 麻酔科医が緩和医療に関わっているとの話でしたが、緩和医療における麻酔科医の役割について教えてください。
 がんの疼痛によっては、硬膜外麻酔や神経ブロックが有効で、鎮痛剤の使用を減らすことができますので処置を依頼されることがあります。また、麻酔科出身の医師が専従で緩和医療を担っている施設もあります。

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