レジデント向け情報

研修の特徴

手術件数が年間270件以上あります。特に原発性胃がんの切除数は全国で4番目です。当院には胃外科以外にも世界でも有数のレベルを誇る内視鏡科、消化器内科、画像診断を専門的に取り扱う画像診断科が存在しますので、これら専門科と週1回合同カンファレンスを開催し、ガイドラインに従って治療方針を決定します。手術内容は、がんの進行度に応じて、縮小手術、定型手術、拡大手術を実施します。また、低侵襲手術の一環として腹腔鏡下胃切除術やロボット胃切除術も積極的に実施しております。国内外の胃がんに関する学会では積極的に発表し、論文執筆も活発に行われています。また、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の厚生労働省がん研究助成金指定研究班の班員に指定されており、胃がん治療に関する様々な臨床試験にも積極的に参加しています。また、在籍中に一度以上は国際学会での発表を行う機会があります。

研修コースと研修内容

レジデントは1人で年間100例以上の胃がん手術を経験できます。外科医として若いうちに学ばなければならない最も重要な課題は手術に対する考え方であると思われます。当科では胃がん手術に必要な基本的手技は勿論の事、胃がん手術に関する基本的な考え方を学ぶことができ、レジデント終了時には胃がんに対する治療方針を自分自身で決定する事ができ、かつ標準術式であるD1+郭清を伴う腹腔鏡胃切除術やロボット胃切除術を安全確実に行なえる技術が習得できます。また、各種併存症を有する患者の周術期管理も習得できます。胃外科以外にも内視鏡科、消化器内科、病理診断科、麻酔科、画像診断科、緩和医療科、感染症内科などの科を一定期間研修する選択も可能で、3年間の研修過程は自分の将来設計にもとづいて選択できます。消化器外科医において最難関の専門資格とされる内視鏡外科技術認定医取得に注力しており、近年はほぼ毎年レジデント(チーフ、ジュニアを問わず、卒業生も含む)から合格者が出ております。2021年は4名、2022年は2名、2023年は2名がそれぞれ合格いたしました。国内外における学会にも積極的に発表する機会があり、消化器外科専門医、内視鏡外科技術認定医取得に必要な論文業績も獲得することが可能です。更に、何か一つテーマを決めて臨床試験のプロトコールを作成し、臨床試験を実施することも可能です。
 チーフレジデントは基本的に他の診療科をローテートせずに研修して頂きます。手術、病棟のマネジメント、ジュニアレジデントの指導も担当して頂きます。チーフレジデントは、レジデントと同様に内視鏡外科学会の技術認定医の取得を目標とします。それ以外に、国際学会での発表、英文論文の執筆、臨床試験の企画・実行も行うことが可能です。

レジデントの声

高橋恭太 医師 (研修期間6年)

 私は胃外科のチーフレジデントとして、胃切除だけで年間約200件の手術に携わりながら、スキルアップを目指しています。当科では、8人前後のレジデントが在籍しており、チーフレジデントが手術の割り振りや病棟のマネジメントを担当しています。現在ほとんどの手術がロボット支援手術や腹腔鏡手術であり、内視鏡外科技術認定医の応募に必要な腹腔鏡手術の経験を十分に積むことができます。当科で定型化された安全かつ確実な手術手技を習得することが可能です。
 最新のロボット支援手術から、大動脈周囲リンパ節郭清や肝十二指腸間膜郭清などの拡大手術まで幅広い術式を学べる環境は非常に貴重です。
また、臨床試験や学術活動にも積極的に参加しており、後ろ向き研究だけでなく前向き研究も行っています。私は現在、前向きの臨床試験を計画しており、開始まであと少しのところまで到達しています。学会発表や論文作成の機会も豊富にあり、私は2本の論文を発表し、1本を執筆中です。さらに、国際学会での発表も経験しました。このように、臨床と学術の両面で成長できる機会が豊富にある環境で、私は日々研鑽を積んでいます。
 レジデントとしては、手術技術だけでなく、学術的な知識を深めることも求められます。臨床試験を通じて得られた知見を実臨床に還元する力を養うとともに、実臨床で得られた疑問点を、臨床試験を通じて結果として示し世界に還元することも可能です。興味のある先生方は、ぜひ一度見学にいらしてください。私たちと共に、手術技術を磨き、学術活動を通じて自己の業績を重ねる素晴らしい経験をしませんか。

古田土高志 医師 (研修期間3年)

 私は2023年度より胃外科レジデントとして静岡がんセンターで研修を開始し、現在はレジデント3年目になります。当院の胃がん手術件数は全国でもトップクラスを誇り、ロボット支援手術、腹腔鏡手術、拡大手術、Conversion手術など、非常に多くの、幅広い手術に携わることができます。日々の手術では、経験豊富なエキスパートの先生方から直接ご指導をいただき、多くの学びを得ています。
 当科では、内視鏡外科技術認定医の取得をレジデント期間中の目標のひとつとしています。レジデントが執刀した腹腔鏡手術は全例、ビデオカンファレンスで振り返りを行い、術野展開やデバイス操作などの細かな手技について活発にディスカッションが行われています。毎回、建設的なアドバイスをいただけるため、着実に技術が磨かれていくのを実感できます。
 また、日本臨床腫瘍研究グループ(JCOG)の胃癌グループが主導する臨床試験にも関わることができ、最前線の胃がん治療に直接触れる貴重な経験も積むことができます。
レジデントは1年間の他科へローテーションすることが可能であり、外科系診療科に限らず、病理診断科や内視鏡科などの選択も可能です。多角的な視点からがん診療を学べる環境が整っています。
各レジデントには専用の電子カルテ端末が配備されており、院内図書館からも豊富な文献にアクセスできます。手術・臨床に加えて、研究活動にも集中して取り組める体制が整っています。
 私は医師10年目からレジデントとしての研修を始めましたが、全国から集まった意欲ある仲間たちとともに切磋琢磨しながら、日々成長できる恵まれた環境に身を置けていることに感謝しています。ここで得た学びは、今後のキャリアの大きな財産になると確信しています。
 もし少しでもご興味があれば、ぜひ一度見学にいらしてみてください。実際の雰囲気や指導体制を肌で感じていただけると思います。

胃外科

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