レジデント向け情報

研修の特徴

食道カンファレンスを通して食道がんの診断や治療方針決定のプロセスを学んでいただきます。
下表に年間手術件数を示しています。
レジデントの研修はこれらの手術患者さんの周術期の管理の習得、手術手技の習得が中心です。
ローテータ―の場合は開胸、閉胸、一部食道の剥離程度の手技を実際に行っています。
2年間のチーフレジデントの場合は胸部食道がんの根治手術(右開胸開腹、食道亜全摘、3領域郭清、胸骨後経路胃管再建術)の手技を一通り学んでいただいてます。
 また頭頸科が行う頭頸部領域の手術には積極的に参加していただいています。

研修コースと研修内容

消化器外科専門医を取得しているチーフレジデントには食道外科専門医の習得を目標に積極的に手術に参加、執刀していただいてます。

レジデントの声

川守田啓介 医師(研修期間2年) 

私は2013年4月より2年間、食道外科チーフレジデントとして静岡がんセンターで研修を行いました。当院のチーフレジデントの規定は2年間の年限のうち、dutyである1ヶ月の麻酔科ローテートおよび希望に応じて3ヶ月までの他科ローテート以外の最低20ヶ月は所属診療科での研修を行うことになっています。静岡がんセンターは消化器外科領域にあっても専門臓器ごとに科が細分化されており、必然的に所属診療科の専門に特化した研修を濃密に行えることが魅力であります。
 食道外科においては、手術だけではなく食道がんの診断から治療方針決定に至るまでのプロセスを始め、食道がん診療に求められる全ての要素を包括的に学ぶことができます。食道外科の手術日は基本的に週1日であり、同日以外のroutine workの多くに術後管理を充てることになりますが、術後経過に、これほど濃厚に寄り添うことは他施設では得難い経験と思われます。多くの術後経過に接し観察することは正常・異常の判断を鋭敏にし、術後合併症の早期認識や対処を行うことができるセンスを涵養します。また、当科が開院以来構築してきた多科・多職種チーム医療の成熟度は高く、将来的に自分が食道がん診療の中心としてチームを形成するためのシミュレーションとして大いに参考になり、個人的には最大の収穫事項でありました。
 呼吸器外科や頭頸部外科の手術を学ぶ機会を多く与えていただいたことは食道外科に必要な解剖の知識やトラブルシューティングを得るよい機会でしたし、他施設のいわゆる「国手」たる高名な先生がたの手術を実際に見学に行かせていただいたことも貴重な経験でした。
 私は卒後10年目からのチーフレジデント研修でしたが、それでもこの2年間でとても多くの学び・気づきがありました。この経験は、今後の自分の診療を支える骨格になるものと信じて疑いません。

松田諭 医師(研修期間1年)

私は、慶應義塾大学大学院のプログラムにより、1年間の短期研修(食道外科:9か月、胃外科:3か月)という形で学ばせて頂きました。食道外科における研修では、開胸食道切除、胸腔鏡下食道切除、咽喉頭食道摘出術といったメジャー食道手術に多く参加し、術者・助手としての経験を積む事ができました。消化器がんの中では比較的頻度が低く、かつ術前化学療法、根治的化学放射線療法等の集学的治療の幅が広い食道がんは、その治療方針の決定に、患者背景、腫瘍の状態、先行治療等、様々な要素を考慮しなければならず、一定の経験が必要不可欠だと思います。その食道がんを短期間に集中して経験し、治療方針に関してディスカッションを繰り返すことで、各病期、治療段階における食道がん患者さんの治療方針について幅をもって組み立てることができるようになりました。胃外科では、腹腔鏡手術、ロボット支援下手術、開腹手術と幅広い外科治療を目の当たりする中で、定型的なD2郭清から網嚢切除、D3郭清に至るまで、完成された外科手術の形を学び自分の理想とする手術手技を形作ることができました。また、診療科の垣根も低く、どの診療科のスタッフの先生方も、非常に教育的な姿勢で、レジデントの熱意にこたえてくださいます。学会活動という観点からも、食道外科、胃外科をはじめとした多くの診療科は、Japan Clinical Oncology Groupを含めた国内外の多施設共同臨床研究グループに属しており、日々のカンファレンスにおいても、最新の知見に基づいた、標準治療と、新規治療オプションについて充実したディスカッションが繰り広げられます。そこに、担当医として参加し、議論することで、個々の患者さんにおける最善の治療方針はもちろんのこと、今後の日本、海外におけるがん治療の方向性を学ぶことができました。レジデント室においては、電子カルテ端末が1人1台完備され、国内学会、国際学会への参加・発表の機会も非常に多く、研究活動にも打ち込むことができます。そして何より、高い志をもち全国から集まった同僚と出会い切磋琢磨することで、知識と技術を磨くことができたと感じています。1年間という非常に短い期間でしたが、所属診療科に関わらず、外科手技の修練に加えて、集学的治療の考え方を集中して学ぶことができる非常に貴重な1年となりました。

食道外科

食道外科