【掲載論文】尾側膵切除において膵断端からの出血に対するPuraStat®の止血効果を前向きに検証

2026年8月27日
肝・胆・膵外科部長 杉浦禎一
肝・胆・膵外科医長 大木克久

 膵臓の手術では、膵臓を切離する際に自動縫合器(ステープラー)が多く用いられます。この際に膵臓の断端からしばしば出血がみられます。通常は縫合やクリップなどで止血しますが、こうした操作によって膵臓の組織を傷つける可能性があります。PuraStat®(ピュアスタット)は、出血部位に塗布するとゲル状になって止血する合成ペプチド製剤で、組織を傷つけずに止血できることができます。そこで我々は、膵切除術におけるPuraStat®の有効性と安全性を検討する前向き臨床研究(EASY-STOP研究)を行いました。

 2024年2月から11月までに尾側膵切除術を予定した37名の患者さんに研究へ参加いただきました。このうち、ステープラーで膵臓を切離した後に出血を認め、PuraStat®を使用した21名(22か所の出血部位)を解析しました。21名中19名はロボット手術でした。PuraStat®を使用して止血を行った22か所のうち、縫合やクリップによる追加の止血処置が必要となったのは4か所(18%)でした。PuraStat®を使用してから止血が得られるまでの時間は中央値22秒と短く、使用量も1か所あたり中央値1.0 mLでした。また、術後の再出血や重篤な合併症は認めませんでした。

 本研究の結果、PuraStat®は、ステープラーの膵切離断端から生じる出血に対し、膵臓の組織を傷つけることなく、迅速に止血するための有効な手段となる可能性が示されました。特にロボット手術や腹腔鏡手術において有用であることが期待されます。

 ▶掲載論文概要

雑誌名 Journal of Surgical Research Volume 326, October 2026, Pages 518-524
タイトル (欧文)Efficacy of PuraStat for Oozing Hemorrhage From the Pancreatic Stump During Distal Pancreatectomy: A Prospective Exploratory Study
尾側膵切除における膵切離断端からの滲出性出血に対するPuraStat®使用の探索的研究
尾側膵切除の膵断端出血に対するPuraStat®使用の探索的研究(EASY-STOP study)
筆頭著者 Katsuhisa Ohgi 大木 克久(静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科)
責任著者 Katsuhisa Ohgi 大木 克久(静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科)
共同著者 Teiichi Sugiura 静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科
Ryo Ashida 静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科
Mihoko Yamada 静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科
Shimpei Otsuka 静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科
Yoshiyasu Kato 静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科
Hideyuki Dei 静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科
Satoshi Matsui 静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科
Katsuhiko Uesaka 静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科
掲載日 2026/8/4
URL https://doi.org/10.1016/j.jss.2026.05.078
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42551200/

肝・胆・膵外科

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