柏木良介医師、第19回膵癌術前治療研究会で「若手優秀演題賞(U-40)」を受賞しました
2025年10月31日
肝・胆・膵外科部長 杉浦禎一
10月25日、大阪OBP クリスタルタワー(大阪市)で開催された、第19回膵癌術前治療研究会において、肝・胆・膵外科の柏木良介医師が優秀演題賞を受賞しました。
・受賞者:柏木良介(肝・胆・膵外科レジデント)
・演題名:肥満・高度炎症を伴う進行膵癌に対する膵頭十二指腸切除術の工夫と出血時のリカバリーショット
<研究概要>
肥満および高度炎症を伴う膵癌症例に対する膵頭十二指腸切除術(PD)は、視野展開が困難となり、血管損傷のリスクが高く、術者の高い判断力と技術が求められる。今回、閉塞性膵炎・胆管炎を伴い、加えてBMI31を超える高度肥満を有する進行膵癌症例に対しPDを施行した際、出血性合併症をリカバリーし安全に手術を完遂し得たので手術ビデオと共に報告した。膵頭神経叢第Ⅰ・Ⅱ部切離時、視野展開のための強い牽引操作により上腸間膜静脈(SMV)から分岐する第1空腸静脈(J1V)に“股裂き”損傷を生じ出血。J1Vをブルドック鉗子で遮断後、損傷孔を6-0 プロリン糸で縫合して再建し、出血はコントロールされた。今回のポイントは1. 出血源がSMV本幹ではなくJ1Vであることを迅速に把握し焦らず対応できたこと、2. 膵頭神経叢切離時の右側からの視野展開を、小腸間膜を引き戻して左側からの視野展開に変えて正面視できたこと、3. J1Vの上流・下流を遮断して損傷部を的確に確認したことである。
受賞者から
肥満および炎症を伴うPD症例は、特に血管損傷リスクが高く、冷静な対応が求められる。今回、若手術者として冷静かつ柔軟な対応を徹底することで安全な手術遂行に至ることができたが、それは指導医の術中の的確な指示と日頃の指導の賜物に他ならない。全国学会で優秀演題を受賞することで、改めて静岡がんセンターの手術指導レベルの高さを実感し感謝すると共に、今後もそれに応えられるように精進していきたい。
肝・胆・膵外科 レジデント
柏木 良介



