レジデント向け情報

研修の特徴

当科では内視鏡による検診・診断・治療を行っています。対象臓器は主として消化器であり、下咽頭、食道、胃、十二指腸、小腸、大腸および胆膵です。
 特に胃のESDでは常に国内ベスト3に入る治療件数を有し、食道や大腸のESD件数もトップレベルであり、国内有数の専門施設となっています。
 当科には二つの性質があります。一つは主科として、ESD等の内視鏡治療を行う側面であり、もう一つは、他科のサポートです。すなわち、検診を行い癌の拾い上げ診断を行うこと、癌の内視鏡診断を行い、外科に対して必要かつ十分な情報を提供し、適切な外科治療の一助となること、そして外科あるいは内科患者に対する、出血・狭窄等への対処、胃瘻造設などを行い治療のサポートを行うことです。
 当科では基礎的な知識を得るために、消化器内科、消化器外科、病理へのローテーションをレジデントに勧めています。当科での診療時には、レジデント一人に対してカウンターパートのスタッフを一人充て、マンツーマン方式での研修を行うとともに、画像カンファレンス、学会発表予演などにおいて、全員からの指導を受けます。

研修コースと研修内容

当院内視鏡科レジデントコースの目的としては、消化管および胆膵疾患の内視鏡診断および内視鏡治療を高度な専門性をもって実践する医師を育成することです。また、がん医療のエビデンスの生成に携わることのできる高度な専門性をもった臨床医を育成することも目的としています。
 到達目標として、内視鏡科診療に必要な基礎的知識を習得し、臨床応用できるプログラムを作成しています。詳しくは、レジデント研修プログラムを参照していただきたいと思いますが、内視鏡診療、病理学、medical oncology、臨床試験などを研修します。技術に関しては、多くの症例があるため、濃密な研修が可能ですが、単に技術のみではなく、科学として事象をとらえること、医師として患者さんにこの病院に来てよかったと思ってもらえるように誠意をもって何事も行うことを実践するように指導しているつもりです。
 資格としては内科専門医、消化器内視鏡専門医、消化器病専門医の取得を視野にいれた研修を行っています。

レジデントの声

吉田将雄 医師・五十嵐公洋 医師(研修期間5年)

当科にはレジデント7人、チーフレジデント2人が在籍しており、内視鏡の診断・治療に関して日々指導を受けています。実際に当科で働く以前は「静岡がんセンター内視鏡科の特徴は内視鏡治療」というイメージでしたが、治療はもちろんのこと、むしろ診断を大切にしています。日々の検査をスタッフとともに行い、写真の撮り方から診断に至るプロセスまでひとつひとつを専門のスタッフから指導をうけることができます。また、最新の高解像度内視鏡・光源装置を相当数導入しており、日常診療で使用することができる恵まれた環境にあります。
 病理診断科との関係も密接で、毎週行われる内視鏡・病理合同カンファでは内視鏡写真と病理組織の対比を細かく議論し、日々の診断に還元するとともに、知識を深めることを行っています。病理診断科をローテートするレジデントも多く、多くの切除検体を実際に自分で割を入れ、診断するという、他の病院では経験することのできない貴重な体験をすることができます。今までは学会のスクリーンに投影される組織像を理解できないでいたのが、理解することができ、時には診断に意見を唱えることができるようになります。
 もちろん内視鏡治療についても多くの症例を経験することができます。実際に胃に関しては約半数の症例をレジデントがスタッフとともに行っています。無理な症例を当てるのではなく、レジデントの成長を見ながら少しずつ難しい症例を当てていくような感じです。また、周辺地域、時には遠方から治療困難症例が集まりますので、普段目にすることのできない症例を直に目にすることができます。毎日ESDライブデモンストレーションを見ているような状況です。
 臨床研究、学会活動も活発に行っており、レジデントも国内外の学会に参加・発表する機会が与えられます。日々のクリニカルクエスチョンに対して研究計画を立案し、それを形にしていく過程を指導してもらうことができる環境にあります。内視鏡に興味がある若手医師にとって、今後得ることができない貴重な経験ができる科です。ご興味のあるかたは一度見学にいらしてください。

内視鏡科

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