【掲載論文】大腸ESD後の大きな粘膜欠損に対するMANTIS Clip閉鎖法で高い完全閉鎖率を前向きに確認

2026年9月30日
内視鏡科(下部消化管)部長 今井 健一郎

 大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)後には、大きな粘膜欠損(人工潰瘍)が生じます。この欠損は術後出血や遅発性穿孔などの偶発症に関連する可能性がありますが、従来のクリップで大きな欠損を完全に閉じることは技術的に容易ではありません。

 本研究では、先端にアンカー状の突起を備えたMANTIS Clipを用い、欠損縁の粘膜と筋層を意図的に把持して縫縮することで、閉鎖部にかかる緊張を軽減する方法を評価しました。30-50 mmの早期大腸腫瘍にESDを行う患者さんを対象とした、単施設の前向き観察研究です。

 22例を登録し、術中穿孔のため試験手技を行わなかった1例を除く21例で解析した結果、20例(95.2%)で完全閉鎖が得られました。登録した22例全体での解析では、完全閉鎖率は90.9%(20/22例)でした。閉鎖時間の中央値は17分、使用クリップ数の中央値は8個でした。

 ESD後3-5日の内視鏡評価では、16例(76.2%)で完全閉鎖が維持されていました。遅発性出血と遅発性穿孔は認めませんでしたが(いずれも0/21例)、ESD後電気凝固症候群(PECS)を3例(14.3%)に認めました。いずれも軽症で、治療を要さず自然に改善しましたが、閉鎖手技がPECSに寄与した可能性は除外できません。

 以上から、MANTIS Clipで粘膜と筋層を把持する閉鎖法は、大腸ESD後の大きな粘膜欠損に対し、高い完全閉鎖率と短期的な閉鎖維持を示しました。一方、本研究は単施設・少数例の対照群を置かない研究であり、偶発症の予防効果や安全性を確定するには、今後の多施設比較研究が必要です。

▶掲載論文

雑誌名 Gastrointestinal Endoscopy. 2026 Sep 9:S0016-5107(26)07039-2. Online ahead of print.
タイトル Prospective evaluation of tension-reducing closure with intentional muscle-layer grasping for large colorectal post-ESD defects using an anchor-pronged clip (MANTIS study)
(日本語表記)アンカープロング付きクリップを用いた、大腸ESD後の大きな欠損に対する意図的筋層把持による緊張軽減閉鎖法の前向き評価(MANTIS試験)
(略称表記)大腸ESD後の大きな粘膜欠損に対するMANTIS Clip閉鎖法の前向き研究(MANTIS試験)
筆頭著者 Hiroshi Ashizawa 芦澤 浩(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科)
責任著者 Kenichiro Imai 今井 健一郎(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科)
共同著者 Kinichi Hotta 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Sayo Ito 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Kazunori Takada 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Noboru Kawata 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Masao Yoshida 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Hiroyuki Matsubayashi 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Kohei Shigeta 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Shunsuke Ueda 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Takuya Doi 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Eiichiro Yokoyama 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Keijiro Numa 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Tetsuhiko Hirai 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
Mari Oba 国立精神・神経医療研究センター 臨床研究・教育研修部門 臨床データサイエンス部
Hiroyuki Ono 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
掲載日 2026/9/9
URL https://doi.org/10.1016/j.gie.2026.08.053
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42716255/

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