【掲載論文】大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の高周波ナイフ(ITknife nanoTM)使用の有効性について前向きに検証

2026年1月29日
内視鏡科 伊藤 紗代
部長 堀田 欣一

 大腸腫瘍に対する内視鏡手術(内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD))はディスポーザブル高周波ナイフを用いて行います。ITknife nanoTMは、管腔の狭い大腸での安全かつ効率的な治療を目指して開発された高周波ナイフですが、基本的には先端系の高周波ナイフ(Dualknife JTM)に追加して用いられます。我々は、ITknife nanoTMの追加使用によってESD施行時間が短縮するかを検証する前向きランダム化比較試験を行いました。
 大腸腫瘍(30-50mm)を有し大腸ESDを予定した患者さんを対象として、Dualknife JTM単独群(A群:標準治療)とITknife nanoTM併用群(B群:試験治療)の2群に無作為割付し、ESD施行時間を主要評価項目とするランダム化比較試験を行いました(A群108例, B群106例)。ESD施行時間は両群間に有意差をみとめませんでした(111.8分 vs. 114.3分, p値0.789)。剥離スピードに関しても両群間に有意差をみとめませんでした(22.9mm2/min vs. 22.1 mm2/min, p値0.669)。一括切除率/R0切除率は両群共に高い達成率であり、偶発症発生率に差はありませんでした。
 本研究の結果、大腸ESDにおける治療デバイスの選択は病変の大きさや特性に応じて選択すべきであると結論づけられ、今後、我々の実臨床に大いに活かされることとなります。

掲載論文

Sayo Ito, et al. Effect of the Insulated-Tip Knife on Procedure Time in Endoscopic Submucosal Dissection for Colorectal Neoplasms: A Single-Center, Randomized Controlled Trial (NANO Study). J Gastroenterol Hepatol. 2025 Dec: 40(12)

雑誌名 Journal of Gastroenterology and Hepatology Volume40, Issue 12 December 2025
タイトル Effect of the Insulated-Tip Knife on Procedure Time in Endoscopic Submucosal Dissection for Colorectal Neoplasms: A Single-Center, Randomized Controlled Trial (NANO Study)
30mm以上の大腸腫瘍に対する内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)のITknife nanoの有用性に関する無作為化比較試験
(簡易名称)大腸ESDにおけるITknife nanoの有用性に関する処置具選択ランダム化比較試験(NANO STUDY)
筆頭著者 伊藤 紗代(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科)
共同著者と所属施設  Kinichi Hotta 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
 Kenichiro Imai 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
 Yoshihiro Kishida 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
 Kazunori Takada 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
 Noboru Kawata 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
 Masao Yoshida 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
 Yoichi Yamamoto 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
 Junya Sato 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
 Hirotoshi Ishiwatari 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
 Hiroyuki Matsubayashi 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
 Keita Mori 静岡県立静岡がんセンター 臨床研究支援センター統計解析室
 Hiroyuki Ono 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
掲載日 2025年10月21日
URL https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/jgh.70128

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