【掲載論文】食道表在がんにおいてType B2血管領域と肉眼型の組み合わせがSM2浸潤予測に有用である可能性を示唆

2026年7月17日
内視鏡科部長 堀田 欣一
吉田 将雄

 静岡県立静岡がんセンターを含む全国13施設の共同研究グループは、表在型食道扁平上皮がんの深達度診断において、拡大内視鏡で観察される「Type B2血管」の広がり(Type B2 vessel area: B2VA)と肉眼型を組み合わせて評価する方法の有用性を前向きに検証しました。

 食道表在がんでは、がんがどの深さまで浸潤しているか(深達度)を治療前に正確に診断することが、適切な治療選択につながります。現在は日本食道学会(JES)の拡大内視鏡分類が広く用いられていますが、「Type B2血管」を示す病変では深達度診断が難しいことが課題となっていました。本研究では、全国13施設から登録された136例を対象に、従来の診断法と、B2VAの大きさおよび肉眼型(0-I型・0-III型)の情報を組み合わせた新たな診断法を比較しました。その結果、新たな診断法によって深達度診断全体の正診率は向上しませんでした。一方で、B2VAが10 mm以上で、さらに0-I型を伴う病変では、より深い浸潤(SM2浸潤)の可能性が極めて高いことが明らかとなりました。本研究成果は、診断精度そのものを大きく改善するものではありませんが、深達度診断に迷う症例において、追加情報として治療方針の決定を支援する有用な指標となる可能性を示したものです。今後、食道がん診療におけるより適切な治療選択への貢献が期待されます。

▶掲載論文

雑誌名 Digestive Endoscopy, 2026; 38:e70173
タイトル Size and Macroscopic Type of Type B2 Vessel Areas in JES Classification for Predicting Invasion Depth: A Multicenter Prospective Study
(日本語表記)JES-SCC Type B2血管領域のサイズおよび肉眼型と腫瘍深達度の関連:多施設前向き共同研究
(略称表記)JAPAN BEES STUDY
筆頭著者 吉田 将雄(静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科、静岡県立総合病院 消化器内科)
責任著者 吉田 将雄 (静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科、静岡県立総合病院 消化器内科)
石原 立 (大阪国際がんセンター 消化管内科)
共同著者と所属施設 Masao Yoshida 静岡県立静岡がんセンター 内視鏡科
静岡県立総合病院 消化器内科
Yuji Urabe 広島大学病院 消化器内科
Tomohiro Kadota 国立がん研究センター東病院 消化管内視鏡科
Satoru Nonaka 国立がん研究センター中央病院 内視鏡科
Kazuya Ohno 静岡県立総合病院 消化器内科
Yoko Kitamura 市立奈良病院 消化器内科
Hiroaki Takahashi 恵佑会第2病院 消化器内科
Toshiyuki Yoshio がん研有明病院 上部消化管内科
Fumisato Sasaki 鹿児島大学 消化器内科
Yoichiro Ono 福岡大学筑紫病院 消化器内科
Kimihiro Igarashi 仙台厚生病院 消化器内科
Dai Hirasawa 仙台厚生病院 消化器内科
Manabu Takeuchi 長岡赤十字病院 消化器内科
Keita Mori 静岡県立静岡がんセンター 臨床研究支援センター 
Ryu Ishihara 大阪国際がんセンター 消化管内科
掲載日 2026/5/17
URL https://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/den.70173
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/42144869/

内視鏡科

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