末梢神経障害を起こしやすい抗がん剤について

- 一覧表を示します -

 末梢神経障害の症状は、薬の種類や投与量によって、頻度が異なります。また、同じ薬でも症状の程度は個人差があります。下記に、末梢神経障害を起こしやすい薬剤の一例を示します。

細胞障害性の抗がん剤(*)

(*)細胞障害性の抗がん剤とは
  細胞が分裂して増える過程に作用する抗がん剤です。細胞増殖の盛んな細胞を障害します。

一般名※

商品名※

副作用の症状

パクリタキセル タキソール
パクリタキセル
手足のしびれ、痛み、感覚が鈍い、など
パクリタキセル
(アルブミン懸濁型)
アブラキサン 手足のしびれ、痛み、感覚が鈍い、など
ドセタキセル タキソテール
ワンタキソテール
ドセタキセル
手足のしびれ、感覚が鈍い、など
カバジタキセル ジェブタナ 運動のまひ、感覚のまひ、手足のしびれ、手足の痛み、など
ビノレルビン ナベルビン
ロゼウス
知覚異常、腱反射減弱
ビンクリスチン オンコビン 手足のしびれ、感覚異常、など
ビンブラスチン エクザール 歩行困難、知覚異常、など
ビンデシン フィルデシン 筋力低下、しびれ感、知覚低下、など
エリブリン ハラヴェン 手足のしびれ、感覚が鈍い、脱力感、など
オキサリプラチン エルプラット
オキサリプラチン
手足、口周囲のしびれ、痛み、感覚異常、知覚不全、のどのしめつけ感、など
カルボプラチン カルボプラチン
パラプラチン
手足のしびれ、痛み、感覚が鈍い、など
シスプラチン シスプラチン
ランダ
手足のしびれ、痛み、感覚が鈍い、聞こえにくい、など
ネララビン アラノンジー 手足の痛み、しびれ、感覚麻痺、筋力低下、など

 

分子標的型の抗がん剤(*)

(*)分子標的型の抗がん剤とは
  がん細胞に存在する特殊な物質をピンポイントで攻撃する抗がん剤です。

一般名※

商品名※

副作用の症状

ボルテゾミブ ベルケイド
ボルテゾミブ
手足のしびれ、痛み、感覚が鈍い、手足の力が入らない、物がつかみにくい、など
イキサゾミブ ニンラーロ しびれ、チクチク感、ピリピリ感、痛み、手足に力が入らない、手足が燃えるように熱い、など
トラスツズマブ エムタンシン カドサイラ 手足のしびれ、痛み、など
ブレンツキシマブ ベドチン アドセトリス 運動のまひ、感覚のまひ、手足のしびれ、手足の痛み、筋力低下、など
ロルラチニブ ローブレナ 筋力低下、感覚が鈍くなる、手足のしびれ、痛み、など
エヌトレクチニブ ロズリートレク 筋力低下、感覚が鈍くなる、手足のしびれ、痛み、など
ペミガチニブ ペマジール 手足のしびれ、痛み、感覚が鈍くなる、など
ポラツズマブ ベドチン ポライビー 感覚が鈍くなる、筋力低下痛み、など
エンホルツマブ ベドチン パドセブ しびれ、筋力低下、など

 

がん免疫治療薬(免疫チェックポイント阻害薬)
  がん免疫治療薬は、自分の免疫細胞が、がん細胞を排除しようとする働きを助ける薬です。
 ニボルマブ(オプジーボ)、ペムブロリズマブ(キイトルーダ)、イピリムマブ(ヤーボイ)などの
 薬があります。この種類の薬剤についても、末梢神経障害が出現する可能性はありますので、
 手足のしびれや痛み、筋力低下などの症状に注意が必要です。

 

その他

一般名※

商品名※

副作用の症状

サリドマイド サレド 手足のしびれ、痛み、感覚がなくなる、力が入らない、など
レナリドミド レブラミド
レナリドミド
手足のしびれ、痛み、感覚がなくなる、力が入らない、など
ポマリドミド ポマリスト 手足のしびれ、痛み、感覚がなくなる、力が入らない、など
ダリナパルシン ダルビアス 手足のしびれ、痛み、感覚が鈍くなる

 

※薬の一般名と商品名
 「一般名」とは薬の有効成分を示す名前です。これに対して「商品名」とは製薬企業が医薬品を販売するためにつけた名前です。

抗がん剤治療と末梢神経障害

抗がん剤治療と末梢神経障害