眼の副作用を生じやすい抗がん剤について

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 抗がん剤の副作用に関する記載をみると、ほとんどの薬において「結膜炎」や「角膜炎」などの症状があります。この中でお知らせする薬は、2017年11月までに症例報告があった薬と当院の現状の中から、治療に使われる頻度等を考慮して選択しました。その一覧を以下に示します。

●●●殺細胞性の抗がん剤●●●

殺細胞性の抗がん剤とは・・・細胞が分裂して増える過程に作用する抗がん剤。細胞増殖の盛んな細胞を障害します。

一般名※ 商品名※ 眼に関する副作用 対象となるがんの種類
テガフール・
ギメラシル・
オテラシルカリウム
ティーエスワン
(TS-1)
流涙、視力低下、
眼痛、羞明(角膜炎、角膜潰瘍、
角膜びらん)
胃がん、大腸がん、
非小細胞肺がん、
乳がん、頭頸部がん、
すい臓がん、胆道がん
フルオロウラシル 5-FU
フルオロウラシル(注)
流涙、結膜炎 胃がん、肝臓がん、
すい臓がん、
大腸がん、
乳がん、子宮頸がん、
子宮体がん、
卵巣がん、
食道がん、
頭頸部がん、など
シタラビン キロサイド

結膜炎 急性白血病、
胃がん・すい臓がん・
結腸がんなどの
消化器がん、
肺がん、乳がん、
婦人科がん、
膀胱腫瘍
シタラビン
(大量療法)
キロサイド
シタラビン
結膜炎 急性白血病、
悪性リンパ腫
カペシタビン  ゼローダ
カペシタビン  
結膜炎、角膜炎、
流涙増加、など
乳がん、胃がん、
大腸がん
パクリタキセル タキソール
パクリタキセル
黄斑浮腫、結膜炎、
かすみ目、流涙、
眼乾燥、など
非小細胞肺がん、
乳がん、卵巣がん、
子宮体がん、
子宮頸がん、胃がん、
食道がん、
頭頸部がん、
精巣腫瘍、など
パクリタキセル
(アルブミン懸濁型)
アブラキサン 視力異常、眼痛、
眼乾燥、角膜炎、
結膜炎、流涙、
黄斑浮腫
乳がん、胃がん、
非小細胞肺がん、
すい臓がん
ドセタキセル タキソテール
ドセタキセル
ワンタキソテール
視力異常、羞明、
流涙、結膜炎、など
非小細胞肺がん、
乳がん、卵巣がん、
子宮体がん、
前立腺がん、
頭頸部がん、
食道がん、胃がん
シスプラチン シスプラチン
ランダ
視力低下、視野障害(球後視神経炎) 肺がん、消化器がん、
婦人科がん、
泌尿器系のがん、
頭頸部がん、など
テモゾロミド テモダール
テモゾロミド 
かすみ目、眼瞼炎 悪性神経膠腫、
ユーイング肉腫
チオテバ リサイオ 眼そう痒症 悪性リンパ腫、
小児悪性固形腫瘍
ベンダムスチン トレアキシン 眼そう痒症、角膜炎、
流涙増加
B 細胞性非ホジキンリンパ腫、
マントル細胞リンパ腫、
びまん性大細胞型B 細胞リンパ腫、
慢性リンパ性白血病
デニロイキン
ジフチトクス
レミトロ かすみ目、視野欠損、
色覚異常、など
末梢性 T 細胞リンパ腫、
皮膚 T 細胞リンパ腫

※薬の一般名と商品名
「一般名」とは薬の有効成分を示す名前です。これに対して「商品名」とは製薬企業が医薬品を販売するためにつけた名前です。

 

●●●分子標的型の抗がん剤●●●

分子標的型の抗がん剤とは・・・がん細胞に存在する特殊な物質をピンポイントで攻撃する抗がん剤。

一般名※ 商品名※ 眼に関する副作用 対象となるがんの種類
ゲフィチニブ イレッサ
ゲフィチニブ
睫毛の長生化、
睫毛乱生、結膜炎、
眼瞼炎、角膜炎、
角膜びらん、眼乾燥
非小細胞肺がん
エルロチニブ タルセバ 睫毛の長生化、
睫毛乱生、結膜炎、
眼乾燥、角膜炎、
眼瞼炎、睫毛/眉毛の
異常、など
非小細胞肺がん、
すい臓がん
セツキシマブ アービタックス 睫毛の長生化、
睫毛乱生、結膜炎、
眼瞼炎、角膜炎
大腸がん、頭頸部がん
クリゾチニブ ザーコリ 視力低下、光視症、
かすみ目、複視、
羞明、など
非小細胞肺がん
アファチニブ ジオトリフ 結膜炎、かすみ目、
眼乾燥、角膜炎、
眼瞼炎、など
非小細胞肺がん
セリチニブ ジカディア 視力障害、かすみ目、光視症、など 非小細胞肺がん
オシメルチニブ タグリッソ 眼乾燥、結膜炎、
かすみ目、眼瞼炎、
角膜炎、など
非小細胞肺がん
ダコミチニブ  ビジンプロ  結膜炎、かすみ目、
眼乾燥、角膜炎、
など 
非小細胞肺がん
ロルラチニブ  ローブレナ  視覚障害  非小細胞肺がん
イキサゾミブ ニンラーロ かすみ目、白内障、
眼乾燥、など
多発性骨髄腫
カルフィルゾミブ カイプロリス かすみ目、視力障害、
白内障、など
多発性骨髄腫
エロツズマブ エムプリシティ 白内障 多発性骨髄腫
イブルチニブ イムブルビカ かすみ目、眼乾燥、
視力低下、など
慢性リンパ性白血病
(小リンパ球性
リンパ腫を含む)、
マントル細胞リンパ腫
ポナチニブ アイクルシグ 角膜びらん、眼乾燥、
かすみ目、眼痛、
結膜炎、視力低下、
など
慢性骨髄性白血病
フィラデルフィア
染色体陽性
急性リンパ性白血病
ギルテリチニブフマル   ゾスパタ かすみ目、羞明、
眼乾燥、
視力低下、など 
急性骨髄性白血病
ベムラフェニブ ゼルボラフ ぶどう膜炎、
流涙増加、
眼乾燥、結膜炎、
網膜静脈閉塞、など
悪性黒色腫
(メラノーマ)
ダブラフェニブ タフィンラー かすみ目、
ぶどう膜炎、
網膜剥離、など
悪性黒色腫
(メラノーマ)、
非小細胞肺がん
トラメチニブ メキニスト かすみ目、
ぶどう膜炎、
網膜静脈閉塞、網膜剥離、など
悪性黒色腫
(メラノーマ)、
非小細胞肺がん
エンコラフェニブ ビラフトビ  網膜障害、
ぶどう膜炎、
かすみ目、など 
悪性黒色腫
(メラノーマ)、
大腸がん
ビニメチニブ  メクトビ 網膜障害、
ぶどう膜炎、
かすみ目、など
悪性黒色腫
(メラノーマ)、
大腸がん
トラスツズマブ ハーセプチン 流涙増加、結膜炎、
視力障害 
乳がん、胃がん、
唾液腺がん
トラスツズマブ トラスツズマブBS  流涙増加、
結膜炎、
かすみ目、など
乳がん、胃がん
トラスツズマブ
エムタンシン
カドサイラ 視力障害、
流涙増加、
結膜炎、眼乾燥
乳がん
トラスツズマブ
デルクステカン
エンハーツ ドライアイ  乳がん、胃がん
パルボシクリブ イブランス 流涙増加、
かすみ目、
眼乾燥
乳がん
アベマシクリブ ベージニオ 流涙増加、眼乾燥 乳がん
フォロデシン ムンデシン 眼精疲労、
結膜炎、など
末梢性 T 細胞
リンパ腫
オビヌツズマブ ガザイバ 眼充血、結膜炎 ろ胞性リンパ腫
ブリナツモマブ ビーリンサイト 眼痛、光視症、
羞明、視力障害、
など
B 細胞性急性
リンパ性白血病
エヌトレクチニブ ロズリートレク かすみ目、羞明 NTRK 融合遺伝子
陽性の進行・再発の
固形がん、
ROS1融合遺伝子
陽性の切除不能な
進行・再発の非小細胞肺がん
ペミガチニブ ペマジール 眼乾燥、睫毛乱生、
角膜炎、結膜炎、
視野欠損、光視症、
視力低下など
胆道がん
ネシツムマブ ポートラーザ 結膜炎 扁平上皮非小細胞
肺がん

※薬の一般名と商品名
「一般名」とは薬の有効成分を示す名前です。これに対して「商品名」とは製薬企業が医薬品を販売するためにつけた名前です。

 

●●●ホルモン療法薬●●●

ホルモン療法薬とは・・・体内の特定のホルモンの影響を受けて増殖する性質のがんに対して使用する薬。

一般名※ 商品名※ 眼に関する副作用 対象となるがんの種類
エンザルタミド   イクスタンジ 流涙増加  前立腺がん
タモキシフェン ノルバデックス
タモキシフェン
視力異常、
角膜の変化、
白内障、
網膜症など
乳がん
トレミフェン トレミフェン
フェアストン
視覚障害 乳がん

※薬の一般名と商品名
「一般名」とは薬の有効成分を示す名前です。これに対して「商品名」とは製薬企業が医薬品を販売するためにつけた名前です。

 

●●●免疫治療薬●●●

免疫治療薬とは・・・自分の免疫細胞が、がん細胞を排除しようとする働きを助ける薬。

一般名※ 商品名※ 眼に関する副作用 対象となるがんの種類
ニボルマブ オプジーボ 眼乾燥、ぶどう膜炎、
流涙増加、かすみ目、
複視、角膜障害、
など
悪性黒色腫
(メラノーマ)、
非小細胞肺がん、
腎細胞がん、
頭頸部がん、胃がん、
古典的
ホジキンリンパ腫、
悪性胸膜中皮腫、
大腸がん、
食道がん、
原発不明がん、
イピリムマブ ヤーボイ ぶどう膜炎、
虹彩毛様体炎、など
悪性黒色腫
(メラノーマ)、
腎細胞がん、
大腸がん、
非小細胞肺がん、
悪性胸膜中皮腫
アベルマブ  バベンチオ   眼痛、眼掻痒症、
流涙増加、かすみ目、
など
メルケル細胞がん、
腎細胞がん
尿路上皮がん
アテゾリズマブ   テセントリク 結膜炎、かすみ目、
眼乾燥、流涙増加
非小細胞肺がん、
小細胞肺がん、
肝臓がん、
乳がん
ペムブロリズマブ キイトルーダ 流涙増加、眼乾燥、
かすみ目、ぶどう膜炎、など
悪性黒色腫
(メラノーマ)、
非小細胞肺がん、
古典的
ホジキンリンパ腫、
尿路上皮がん、
高頻度
マイクロサテライト
不安定性(MSI-High)を有する固形がん、
腎細胞がん、
頭頸部がん、
高頻度
マイクロサテライト
不安定性(MSI-High)を有する大腸がん、
乳がん、子宮体がん

※薬の一般名と商品名
「一般名」とは薬の有効成分を示す名前です。これに対して「商品名」とは製薬企業が医薬品を販売するためにつけた名前です。

 

抗がん剤治療と眼の症状

抗がん剤治療と眼の症状