概要

増加の一途をたどる病気、がん。男性も女性もおよそ2人に1人が、生涯のうちにがんにかかる「がんの時代」において、毎年、1万人以上の静岡県民が、がんのために命を落としています。静岡がんセンターは、平成14年4月、県民に最善のがん医療を提供し、積極的にがん対策を推進するために設置されました。センターは、病院、研究所、がん対策を担う疾病管理センターの三部門から成り、事務局がその円滑な運営を担っています。

平成17年秋、病院に隣接して研究所棟が完成し、「がんを上手に治すための医療技術の開発」、「患者家族の支援技術の開発」、そして、「富士山麓先端健康産業集積(ファルマバレー)プロジェクトの推進」という、研究所の三つの使命の実現に向けた体制が整いました。公益財団法人静岡県産業振興財団ファルマバレーセンターも入所し、その一翼を担っています。

静岡がんセンターでは、研究所のみならず、すべての部門の職員が、積極的に研究活動に参加しています。数百名を超える医療プロフェッショナルの力と経験は、センターの重要な知的資産です。また、倫理面に十分配慮した上で、患者さんの声も積極的に取り入れます。

研究所の運営にあたっては、三つの方針を重視しています。

第一は、病院や疾病管理センターと協働し、“患者さんの視点を重視した研究”を実践します。そのため、がんの治癒を目指す研究とともに、患者さんや家族の悩みや負担を和らげるケア技術についての研究も進めます。国内のがん研究所としては例を見ない患者・家族支援研究部や看護技術開発研究部がその拠点です。

第二は、“プロジェクト志向型の研究”です。議論を尽した上で、医療技術者や患者さんに役立つ研究テーマを選び、センターの職員、提携する大学の研究者、企業の研究者の三者が協働して研究を進め、得られた成果を病院で検証します。医看工連携推進のために、大学や企業の研究者のための研究室も用意しています。

第三は、センター、大学、企業の研究者が、対等の立場で研究を進めるという姿勢、“イコール・パートナーシップ“です。このため、大学や企業の研究者には、積極的に、医療現場について学んで頂きます。

新たに開発された診療やケアに関する技術は、速やかな情報発信により、県内はもとより、世界のがん医療水準を引き上げることに貢献します。また、ファルマバレープロジェクトの進展に伴って、「ひとづくり、ものづくり、まちづくりのためのベッドサイド・クラスターの創造」が現実のものとなり、もともと堅固な基盤を持つ静岡県の健康・医療産業がさらに活性化されることが期待されます。

研究所概要

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