臨床研究に関する重大な不適合に関するご報告
2024年5月7日 病院長
静岡県立静岡がんセンターにおいて行われている臨床研究に関し、「臨床研究法」への重大な不適合が6件、判明しました。
本6件については、研究対象者の方々へ健康被害がなかったことを確認し、静岡県立静岡がんセンター臨床研究倫理審査委員会(認定臨床研究審査委員会)で再発防止対策等について審議された後、病院長から研究代表医師に対し、再発防止対策の徹底を指示・指導いたしました。下記に本事案の概要を報告いたします。
<重大な不適合事案の概要>
1 | 研究課題名 | 高齢者進行非小細胞肺がん/膵がんにおけるがん悪液質を対象とした栄養・運動療法とアナモレリン塩酸塩の併用療法の多施設共同ランダム化第II相試験 |
不適合の内容 | ・登録除外基準及び中止基準に該当したが、試験を開始、継続した | |
再発防止策 | ・選択基準・除外基準、治療中止基準の確認を徹底する | |
2 | 研究課題名 | 肺動脈自動縫合器切離後中枢側断端の滲出性出血に対するPuraStatⓇの有効性と安全性の検討 |
不適合の内容 | 研究に規定した医療機器以外を用いて研究を実施した | |
再発防止策 | ・複数人で確認する運用を徹底する | |
・医療機器の外箱に注意喚起を表示した | ||
3 | 研究課題名 | 食道がん患者におけるラメルテオン・スボレキサントによる術後せん妄発症予防効果に関する単群第II相試験 |
不適合の内容 | 同意取得後、登録前に試験薬を処方した | |
再発防止策 | ・登録手順を再確認し、周知徹底した | |
4 | 研究課題名 | 上行結腸内反復観察における画像強調技術併用観察の有用性に関する非盲検化ランダム化比較試験 |
不適合の内容 | ・医師が同意書に誤って日付を記載し、そのまま患者に交付した | |
・説明が検査直前で検討するのに十分な時間がなかった | ||
再発防止策 | ・原則、説明と同意は別日とし、説明文書をよく読み、十分な理解が得られる時間を設け、文書にて同意を取得する | |
・説明にあたっては、可能な限り、別の医療職が立ち会う | ||
5 | 研究課題名 | 肺動脈自動縫合器切離後中枢側断端の滲出性出血に対する PuraStatⓇの有効性と安全性の検討 |
不適合の内容 | ・症例登録せず、研究を実施 | |
再発防止策 | ・登録手順の再確認及び本事案の周知した | |
6 | 研究課題名 | 高齢者に対する肝胆膵領域手術後せん妄に対するプロトンポンプ阻害薬の有用性を検討する第II相試験 |
不適合の内容 | ・主要評価項目の著しい欠測 | |
・プロトコル治療(投与方法)の逸脱 | ||
再発防止策 | ・評価を行う旨、ベッドサイドに標識した |
なお、上記事案6件について、認定臨床研究審査委員会にて審議され、当該研究を継続することが許可されています。