日本臨床細胞学会秋期大会”優秀演題賞”を受賞しました

2023年11月10日
病理診断科部長 杉野 隆
総括技師長 半村勝浩

 11月4日から福岡国際会議場で開催された第62回日本臨床細胞学会秋期大会において、刀稱亀代志(病理検査室技師長、臨床検査技師・国際細胞検査士)が示説発表した「ホスホグリセリド結晶沈着症の2例」について、優秀演題賞を受賞しました。

▶第62回日本臨床細胞学会秋期大会 示説発表優秀演題賞

受賞者から

ホスホグリセリド結晶沈着症(PGDD)は、軟部組織や骨にリン脂質系のホスホグリセリド結晶が沈着して腫瘍様病変を形成する極めて稀な疾患です。現在まで世界でも十数例の報告しかなく、がん専門病院でも非常に珍しい症例です。今回我々は、PGDDの診断に細胞診を併用することの重要性を見いだしました。細胞診を併用した診断は報告例がなく、我々の研究は非常に貴重な報告となります。細胞診材料を駆使して、顕微鏡で偏光観察をすることで特徴的なホスホグリセリド結晶の形状や複屈折性の確認が迅速にでき、その顕微鏡写真を画像として残したことはこの疾患の診断において大変貴重なデータとなります。また、組織学的診断においても、Gold hydroxamic acid染色という特殊な染色を駆使して確定診断に至ったことは意義が大きいと考えます。この疾患の原因や結晶沈着のメカニズムは未だ特定されておりませんが、今回の2症例が蓄積されたことで原因究明の一助となるかもしれません。

病理検査室 刀稱 亀代志

病理診断科

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