三浦勇也医師、2025年度パンキャン賞の若手研究者賞1位を受賞しました
2025年8月18日
肝・胆・膵外科部長 杉浦禎一
2025年7月25日~26日、東京で開催された第56回日本膵臓学会大会において、優れた膵臓がん研究を行った研究者へ贈られる「2025年度パンキャン賞」の授賞式が行われ、当センター肝・胆・膵外科の三浦勇也医師が「PanCAN Award「Young Investigator Award(パンキャン 若手研究者賞)の1位」」を受賞しました。
受賞者 | 三浦勇也医師 |
受賞名 | 2025年度PanCAN Award「Young Investigator Award 1位」 |
研究名 | 家族性膵癌と生殖細胞系列の変異を有する膵癌 |
<研究概要>
膵癌症例の約5〜10%を占める家族性膵癌の原因となり得る関連遺伝子は複数報告されていますが、生殖細胞系列の変異(germline mutation)を有する症例と家族性膵癌との関連を検討した報告は非常に限られています。
本研究では、当院で実施されているマルチオミクス解析「Project HOPE」に参加した膵癌患者を対象に、生殖細胞系列の変異、腫瘍の体細胞変異、遺伝子発現を包括的に解析し、家族性膵癌症例と非家族性膵癌症例における生殖細胞系列の変異の詳細および腫瘍の分子生物学的差異を検討しました。
その結果、腫瘍における明確な分子生物学的な差異は認められませんでしたが、非家族性膵癌症例であっても一定の割合で生殖細胞系列の変異を有する可能性が示唆されました。
受賞者から
近年、さまざまながん腫においてゲノム医療の重要性が高まる中、膵癌におけるゲノム医療の適応症例は依然として限られています。そのような中で、BRCA1/2遺伝子をはじめとした相同組換え修復異常(HRD)に関連する遺伝子変異に対する特定の抗がん剤の有効性が示されつつあります。今回の研究により、膵癌患者における生殖細胞系列の変異検索の意義を提唱できる成果が得られたと考えており、本成果が今後の膵癌治療の発展に寄与することを願っております。
肝・胆・膵外科
三浦 勇也
PanCAN Award Ceremony at the Japan Pancreas Society’s Annual Meeting 2025
PanCan Award授賞式(三浦医師は下段中央)