医療現場発のものづくり がん治療中に“ホッ”とした時間を提供する 清拭タオル用香り剤「緑茶香」を開発

2013年7月19日
静岡県立静岡がんセンター
公益財団法人 静岡県産業振興財団 ファルマバレーセンター

 

静岡がんセンターとファルマバレーセンターは、がん治療中の患者さんが病院にいながらもホッとできる時間がつくれないかという看護師の意見から、身体を拭く清拭タオルに香りづけをする香り剤「緑茶香」を研究開発いたしました。この「緑茶香」は、製茶した茶葉から香り成分を抽出した蒸留の水です。この水自体は無色透明の香り水であるため、タオルにかけても色うつりすることなく、清拭用の蒸しタオルに振りかけるだけでお茶の心地よい香りを楽しんでいただけます。本製品は、「国際モダンホスピタルショウ2013」(主催:一般社団法人 日本病院会、一般社団法人 日本経営協会/7月17日~19日)において、「第6回看護のアイデアde賞」のうち「商品化を期待しま賞」を受賞いたしました。
 

2008年5月頃、入院されている患者さんの中で、体力低下や治療上の制限などからお風呂に入れない方々のために、身体を拭く清拭タオルに香りをつけた癒しを提供してはどうかというアイデアが病棟看護師から持ち上がりました。花の香りは男性の患者さんには不向きでした。また、柑橘系のエッセンシャルオイルは、皮膚刺激性があるため、患者さんには適していませんでした。ハーブ水の香りは日本人にはなじみがなく好まれませんでした。
そこで、年齢や性別に関係なく誰もがホッとできる香りとして、静岡県の特産品であるお茶に着目し、その香りを利用する研究を始めました。そして、心地よい香り成分を取り出すために最適な茶葉を選び、蒸留方法の検討を重ね、看護師や患者さんの意見を反映させた「緑茶香」を開発いたしました。

「緑茶香」 一箱5包入(1包50ml/1回分)

(使用方法)患者さんが体を拭くときに、固めに絞ったタオル数枚に緑茶香を入れ、タオルが温かくなるまで蒸します。

がんそのものからくる痛みや、治療に伴うつらさは、薬だけでは癒やされません。そのような患者さんに対して、手をこまねいてみているだけではなく、日本アロマセラピー学会認定の看護師として、癒しとしての香りを日々の看護に取り入れることが出来ないかと考えました。一般的なアロマの香りは馴染みが少なく、日常的に身近に感じるお茶の香りが活用できないかと思いました。抗がん剤治療の副作用で、においに過敏になっている患者さんからも、お茶の香りで清拭をしてもらいたいとリクエストがでるほど好評でした。緑茶香は、60グラムの茶葉から1時間かけて120ccしか作れない手間のかかるものですが、この香りでホッとできる時間を作ることができ、少しでも患者さんのお気持ちが晴れ、治療や入院生活に前向きになっていただけけるのなら大変うれしく思います。

[プロファイル]

  • 静岡県立静岡がんセンター:2002年9月に開院、陽子線治療、手術支援ロボット・ダヴィンチなどの高度な先進医療を提供するがんの専門医療機関。2013年4月より特定機能病院。現在、緩和ケア病棟50床含め総ベッド数589床。最先端の治療から心のケアまで全人的な治療を行っており、患者さんに寄り添った医療を目指しています。また、がん診療レベル向上のため、医療現場で必要とされるケア用品や医療器具のアイデアを募集し、ファルマバレーセンターを通じて企業と研究開発したものを製品化する取り組みを行っています。

  • ファルマバレーセンター:静岡県東部を中心に医療・健康産業の振興と集積を図るファルマバレープロジェクトを推進するため2003年4月に設置された県の支援機関。①健康基盤づくり、②ものづくり、③ひとづくり、④まちづくりの視点で各プロジェクトを推進しています。ものづくりの分野では、企業の新機種開発、橋渡し研究そして医療者や患者がベッドサイドで必要とする臨床現場発のアイデアを積極的に取り入れたものを製品化する支援をしています。


7月19日当日の授賞式の様子
(東京ビッグサイトにて)

「緑茶香」に関するお問い合わせ先

プレスリリースPDFはこちら → ico_pdf(PDFファイル:183KB)

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※本件に関するお問い合わせは、下記までお願いいたします。
静岡 県立静岡がんセンター マネジメントセンター 医療広報担当  TEL 055(989)5222

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