医療現場発のものづくり 看護師さんのハンドクリームを製品化

2013年6月11日
静岡県立静岡がんセンター
公益財団法人 静岡県産業振興財団 ファルマバレーセンター
高砂香料工業株式会社

静岡がんセンターとファルマバレーセンター※1は、石鹸やアルコール等による頻繁な手洗いにより肌荒れに悩む看護師の手荒れを防ぐため、高砂香料工業株式会社の「天然型セラミド(保湿成分)」に、静岡がんセンター薔薇園から捕集・成分分析し再現したバラ科のハマナスの香りを含ませた「看護師さんのハンドクリーム」を研究開発し、製品化いたしました。手荒れの箇所には雑菌がたまりやすく、院内感染の原因とまで言われているため、手荒れ予防は医療者にとって大切です。直後に処置用手袋をはめても違和感のないように、しっとり感やべとつき感を工夫しています。また、香りは人によって好みが分かれ、強い香りを患者さんが嫌うこともあるため、このハンドクリームでは、香りが長く残らないように調整し、最終的な製品に育てるまでには静岡がんセンターの看護師およそ300人の意見を反映いたしました。この秋以降に、ファルマバレープロジェクト関連企業から商品化される予定です。

開発の背景と製品化までの経緯

静岡がんセンターの庭には、見頃になると、およそ300品種・1350株のバラが咲き誇り、その香りは池の噴水のしぶきとともに風で広がり、散歩を楽しむ患者さんやご家族の心を和ませています。静岡がんセンター・高砂香料工業株式会社・中田邦子薔薇研究所の3者は、この薔薇園をフィールドにした共同研究※2を行い、「バラ香気の医療分野への応用」について考えてきました。そして、高砂香料工業株式会社のアロマスコープ・テクノロジーによるバラの香りの成分分析と静岡がんセンター研究所・地域資源研究部によるメタボローム解析※3を行い、看護師さんが使うハンドクリームの試作品を作りました。その中でも評判がよかった白のハマナス(バラ科)の香りが入ったハンドクリームの試作を重ね、本製品が出来上がりました。

※1 ファルマバレーセンター:静岡県東部を中心に医療・健康産業の振興と集積を図るファルマバレープロジェクトを推進するため2003年4月に設置された県の支援機関。①健康基盤づくり、②ものづくり、③ひとづくり、④まちづくりの視点で各プロジェクトを推進しています。ものづくりの分野では、企業の新機種開発、橋渡し研究そして医療者や患者がベッドサイドで必要とする臨床現場発のアイデアを積極的に取り入れたものを製品化する支援をしています。

※2 共同研究:静岡がんセンターと高砂香料工業株式会社と中田邦子薔薇研究所(主宰 中田邦子)による共同研究。「バラ香気の医療分野への応用」を研究テーマに、バラ香気成分を利用したがん患者のストレス低減とがん患者を支える人たちのQOL向上を目的としたもの。研究期間は、2008年10月から2010年3月までの研究。

※3 メタボローム解析:細胞内の代謝物質の解析技術。捕集したバラの香気は、キャピラリー電気泳動質量分析計(CE-MS)により解析した。


<看護師さんのハンドクリーム>※商品ではありません。

[プロファイル]

「看護師さんのハンドクリーム」に関するお問い合わせ先

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※本件に関するお問い合わせは、下記までお願いいたします。
静岡 県立静岡がんセンター マネジメントセンター 医療広報担当  TEL 055(989)5222

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