世界トップの放射線治療の臨床試験グループに加盟が認められました

【要旨】

日本では、癌治療における放射線治療の位置づけが欧米に比して低いとされています。そのため、全国的に、機器の整備、放射線治療専門医の不足など、がん対策推進基本計画の中でもその充実が叫ばれています。その一つの理由は、日本の放射線治療に関する国際的な研究が十分ではなかったことがあげられます。世界の一流の癌治療施設は、情報と経験を積むため、国際的に評価されている臨床研究グループの一員として国際共同臨床試験に参加していますが、日本から参加する施設が少ないのが現状です。

静岡がんセンター病院、放射線治療科と陽子線治療科は、世界で最も有力な国際的な放射線治療研究グループである「米国腫瘍放射線治療グループ(Radiation Therapy Oncology Group、以下 RTOG(アール ティー オー ジー)」への加盟を申請していましたが、国内の放射線治療施設として初めて、参加を認められました。これは、豊富な症例数、高度な放射線治療技術、充実した臨床試験体制などのほか、欧米では未だ経験の浅い陽子線治療についての取り組みが高く評価されたためです。

今後、静岡がんセンターは、国際共同臨床試験に参加し、陽子線治療など、癌放射線治療の先端技術の普及について貢献するとともに、最新の放射線治療研究の成果をいち早く国内に導入してまいります。

(参考)

●放射線治療研究グループと臨床試験

放射線治療技術や分子標的薬など新たな癌治療法の開発が進む一方で、これらの有効性や毒性を科学的に効率的に検証していくことは必須です。そのためには研究体制の整った施設が相互に協力しながら大規模な臨床試験を短期間で行う必要があります。特に希少疾患や国により発症率の異なる疾患について臨床研究を効率的に行い、その結果を世界の多くの人が共有するために、多くの国が参加する国際的な臨床試験体制が必要です。また同一の治療に対する効果や毒性は人種差により異なりますが、高水準の施設による国際臨床試験は、人種による差異を明確にし、それぞれの人種に適切な治療を提供することを可能にします。

●RTOG

Physics Center)による品質管理基準など厳しい施設基準を設けています。このような基準を満たした施設が実施する試験の結果は、癌治療における極めて高いエビデンスとなります。静岡がんセンターが国内施設に先んじて、RTOGの試験に参加することで、世界的に重要と思われる癌治療の課題の解決に貢献することができます。国際共同臨床試験に国内施設として参加することで、試験で得られたエビデンスの高い治療を他国に遅れることなく国内に導入することができます。更に国内で開発された治療法の有効性の検証や、国内施設だけでは解決できない癌診療の課題解決のため、他国の施設の協力を仰ぐことも可能になります。

http://www.rtog.org/

 

提供日 2010年10月8日
担 当 がんセンター局 県立静岡がんセンターマネジメントセンター
連絡先 丸茂 TEL 055(989)5222(内線4314)

 

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