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がん患者支援サイト『抗がん剤・放射線治療と脱毛ケア』公開～　SurvivorSHIP.jp　～

静岡県立静岡がんセンター(総長:山口 建)は、大鵬薬品工業株式会社(本社:東京 社長:宇佐美 通、以下、大鵬薬品) との共同開発のウェブサイト“SurvivorSHIP.jp　がんと向きあって（URL：http://survivorship.jp/）.”に、「抗がん剤・放射線治療と脱毛ケア」を本日公開しましたのでお知らせいたします。

がん治療(抗がん剤・放射線治療)による脱毛は、治療が終わればやがて生えてくるものの、医療者が考えている以上に精神的な苦痛を伴います。脱毛が目に見えてわかるため、特に女性にとっては人格を否定されると思うほどのつらい副作用です。ところが「命にかかわることではない」という認識から、つらさがわかってもらえず、さらに心が傷つけられてしまうこともあります。このような状況を踏まえ、どのような情報を患者さんは必要としているか、そして患者さんへ的確に伝えるためにはどのような内容・方法が最適かを検討して参りました。静岡がんセンターは昨年、脱毛に関してまとめた冊子を全国のがん診療連携拠点病院へ配布しました。この反響は非常に大きかったのですが、共同研究では冊子をベースに動画情報を加え、さらにわかりやすいコンテンツにしたウェブサイト「抗がん剤・放射線治療と脱毛ケア」を公開することになりました。

本共同研究は、2007年より、“抗がん剤治療を受ける患者および家族への情報提供のあり方”について検討を積み重ねてきました。成果として（１）抗がん剤や放射線療法で、食事が困難になる方を支援する「抗がん剤・放射線治療と食事のくふう」ウェブサイト、（２）ご主人が胃がんになられた奥様の擬似的ブログを通して、胃がんの治療を受ける上で患者さんとご家族が直面すると考えられる問題を解決するウェブサイトを公開し、今回の「抗がん剤・放射線治療と脱毛ケア」ウェブサイトは第3弾の企画となります。抗がん剤治療を受ける患者さんやご家族が必要な情報は何か、そしてその情報をどのように提供したら良いかを検討し、実際に提供・評価する共同研究を実施しています。

静岡がんセンターは、『抗がん剤・放射線治療と食事のくふう』（発行：女子栄養大学出版部）の発行状況から、紙媒体に加えたウェブサイトの情報提供も有効な手段であることがわかりました。また、抗がん剤治療を受ける患者さん向けには、“情報イーゼル”を置き、治療前に知っておいてもらいたい情報をまとめ、情報処方を行っています。

ウェブサイトの概要

このウェブサイトは、静岡がんセンターが発行する冊子「抗がん剤治療と脱毛」「放射線治療と脱毛」を基に、がん治療(抗がん剤・放射線治療)が体毛(髪の毛、まゆ毛、まつ毛、陰毛など)に及ぼす影響と、その対応のヒントをまとめました。さらに、かつらの専業企業※の技術提供を得て、かつらのつけ方やお手入れの仕方、スカーフの巻き方については、よりわかりやすくお伝えするために動画にてご覧いただけます。「いつ」「どのような」行動を起こせば、自分の身体を守りながら、つらい治療の時期を乗り越えることができるか、イメージしていただければ幸いです。

※：株式会社ユニヘアー(旧名称：　株式会社アデランスおよびフォンテーヌ株式会社)

制作者からのコメント：静岡がんセンター　看護師　廣瀬弥生（疾病管理センター　健康教育・研修担当）

一般的に、がん治療中に脱毛が起こる時期は、食欲不振などの副作用が出現しているタイミングと重なっているため、脱毛に伴う容姿の変化は患者さんの心理に大きな影響を与えています。しかし今までの情報は、副作用等の解説本に一部記載されている状況で、医療者も積極的に情報提供することができなかったという現状があります。今回、「脱毛」だけにフォーカスしたことでより深く掘り下げた情報にできたと思っています。脱毛の知識を事前に得ておくことで脱毛からくる不安を少しでも軽減でき、また患者さんご自身でケアができるようになることをお手伝いできるきっかけになればうれしいです。

静岡県立静岡がんセンター

2002 年 9 月に開院、患者の視点を重視した高度がん専門医療機関。陽子線治療施設や50床の緩和ケア病室をもつなど、最先端の治療から心のケアまで全人的な治療を行っています。現在ベッド数 569 床。「患者・家族を徹底支援する」を理念の一つに掲げ、開院当時から相談支援センター”よろず相談”を立ち上げ、年間およそ1万３千件以上の電話相談や対面相談に応じています。また、静岡がんセンター研究所・患者家族支援研究部では、がん患者さんが、安心してがんの治療やケアを受け、暮らしていくための様々な支援ツールの作成や情報処方のあり方について研究し、冊子やウェブサイトを通じて情報提供しています。

大鵬薬品工業株式会社

1963年6月創業以来約40年以上に渡り、経口抗がん剤の開発に取り組み、ユーエフティやティーエスワンなど日本発の抗がん剤を開発・発売しています。近年、それら薬剤のがん手術後投与による生存期間の延長が証明され多くの注目を集めています。「私たちは人びとの健康を高め 心豊かな社会づくりに貢献します」という企業理念のもとに、医療従事者ばかりではなく患者さんを対象とした抗がん剤適正使用のための資材開発を数多く行っています。