直腸がんロボット支援手術の国内最強チーム 突出した症例数「1000例」超えに

2020年3月11日
静岡県立静岡がんセンター

  大腸がん、胃がん、前立腺がん、縦隔腫瘍を対象に2011年12月より開始した手術支援ロボットの手術数は、昨年11月に2000症例を超えました。その中でも大腸領域のロボット支援手術は、全国でも突出した経験を有する国内最強のチームであり、直腸がんは、この3月に累計1000症例に達しました。ロボットを使った直腸がん手術を行うには、厚生労働省と関連学会が定めた様々な施設規定や術者規定が定められています。従来型の腹腔鏡手術による直腸がん手術実施経験数、日本消化器外科学会専門医や日本内視鏡外科学会技術認定医の資格があること等、術者にとってのハードルは高く定められています。当院の大腸外科の医師5名はこれらすべての条件を満たしており、年間180例以上の症例を扱う国内でトップランナーの施設です。全国的にも直腸がんのロボット支援手術数は増加しており、2018年の保険収載後、2019年はその約10倍の3000件が実施されています。

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(大腸外科のロボット支援手術の全術者。左から、眞部祥一、賀川弘康、塩見明生、日野仁嗣、山岡雄祐)

 

<当院の大腸がんダヴィンチ手術の状況>

 当院でてがけている大腸がんのロボット支援手術は、多くが直腸がんです。腹部に空けた小さな傷から器具(鉗子)を挿入し、術者は3Dカメラが映し出す画像を見ながら操作します。用いる器具は人間の手のように先端が自由に曲がり、術者が意図する手の動きを忠実に再現できるため、ミリ単位の正確な作業を難なく行えるのが最大の特徴です。直腸が位置する骨盤内はQOL(生活の質)に関わる臓器や神経が多くありますが、従来型の開腹手術や腹腔鏡下手術より体への負担が少なく、がんの根治性や肛門・排尿・性機能などの機能温存の向上が期待されています。当院の2019年までの全直腸がんの術後排尿障害は、1.6%(全国平均 3.7〜59%)、局所進行直腸がんの術後局所再発も2%※1(全国平均 5〜10%)という結果でした。

※1:2011年から2014年までの当院ロボット手術症例(下部進行直腸がん)

 
● 塩見明生 医師(大腸外科部長)からのコメント
 ロボット手術といえどもロボットが車の自動運転のように、勝手に手術を行うわけではありません。熟練した技術を有する外科医がロボットのテクノロジーを上手く利用し、術者の能力をさらに増幅させより良い治療に導くことができるというものです。今後、数年以内にはさまざまな新しい手術支援ロボットが導入されます。新たな技術革新が手術の質をさらに高めることが期待できます。ヒトの脳が処理できないことをコンピューターが補助し、ヒトの目に見えないものを新たなテクノロジーが可視化し、ヒトの手でできないことをロボットの手が実現するのであれば外科治療はさらに進歩すると思います。その時代の英知を集結して、患者さんの治療に貢献することが、いつの時代でも外科医の使命であると思っています。

 

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静岡県立静岡がんセンター マネジメントセンター 医療広報担当
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