「大腸カプセル内視鏡検査」開始のお知らせ

2015年7月30日
静岡県立静岡がんセンター

 当院では従来より大腸用スコープを用いて大腸内視鏡検査を実施しております。この方法は精度が高い検査法ですが、一部の患者さんで大腸の状態や周囲臓器との癒着のため、挿入に困難や苦痛を伴うことがあります。そのため、新たな検査法の選択肢として本年4月より大腸カプセルを用いた内視鏡検査を導入いたしました。

カプセル型内視鏡による大腸内視鏡検査は昨年1月に保険収載され、全国ではおよそ200の医療機関で実施されています。一方、静岡県内では数施設が実施しているのみとなっています。当院では、大腸の精査が必要な患者さんにとって、大腸カプセル内視鏡を用いることで、全大腸の観察ができない可能性があること、病変があっても詳細観察や摘除ができないといったデメリットがあるものの、内視鏡スコープの挿入に伴う痛みやその苦痛を抑えるための鎮痛剤・鎮静剤の使用による呼吸抑制などの有害事象を避けられる低侵襲の検査であること、また、患者さんにとって検査の選択肢が増える等の理由から導入することにしました。

カプセル内視鏡検査は、超小型カメラを内蔵したカプセルを口から飲み込み、消化管を通過しながら撮影された画像を数時間後に読影するという検査です。大腸がん検診の便潜血検査で陽性となった場合や、腹部症状、特に血便や便秘・下痢などの症状が出た場合の精密検査として通常の内視鏡スコープが挿入できなかった方が主な対象となります。また、腹部骨盤手術や放射線照射の治療後、臓器癒着のために内視鏡スコープを盲腸まで挿入することが困難と予想される場合も適応となります。

【大腸のカプセル内視鏡について】
1)検査の方法
検査は原則外来で実施いたします。前日は低残渣食の摂取、および就寝前の下剤の内服を行います。当日は朝から絶食で、カプセルを飲み込む前に腸管洗浄剤を服用します。洗浄剤の服用により便がほぼ透明になった段階で、カプセルを飲み込みます。大腸用カプセルは、2方向のカメラを内臓した長さ31.5ミリ・幅11.6ミリのもので、服用数時間後、大腸内を通過しながら1秒間に4~35枚のスピードで画像を撮影し、その画像はレコーダーに保存されます。カプセルが肛門から排出されるまで、適宜、腸管洗浄剤を追加服用します。その後、専用のソフトを用いて読影します。
2)保険の収載状況:現在、下記の二つの検査の場合のみ、公的医療保険が適用されています。
a)大腸内視鏡検査が必要であり、大腸ファイバースコピーを実施したが、腹腔内の癒着等により回盲部まで到達できなかった患者に用いた場合。
b)大腸内視鏡検査が必要であるが、腹部手術歴があり癒着が想定される場合等、器質的異常により大腸ファイバースコピーが実施困難であると判断された患者に用いた場合。
3)費用:検査費用は約10万円で3割負担の方では約3万円の負担。
4)通常の大腸内視鏡との違い
大腸カプセル内視鏡では、通常の大腸内視鏡のような挿入に伴う痛みなどの症状はありませんが、腸管洗浄剤の服用総量は、通常の大腸内視鏡より若干、増加します。
5)大腸用の内視鏡カプセル
・外径寸法:31.5(長さ) × 11.6(直径)mm
・重量:2.9グラム

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本プレスリリースPDFはこちら → ico_pdf(PDFファイル:113KB)

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