ファイバースコープの消毒液交換の不備に関するお詫び

 2019年5月27日

ファイバースコープの消毒液交換の不備に関するお詫び

 当院で使用している鼻咽腔・喉頭用ファイバースコープのうち、一部の観察用のファイバースコープ(送水や吸引の管路や鉗子孔のないもの。以下、スコープ)について、洗浄・消毒の際、消毒不良であったスコープを一定期間、患者さんに使用していたという事態が発生しておりました。調査・検証の結果、医療機器の管理が現場で不明瞭であったこと、および手作業で行う一部の機器の取り扱いが不明確であったことが主な原因と考えております。患者さんをはじめ、関係者の皆様にご心配をおかけしましたことについて、お詫び申し上げます。

  このスコープは頭頸部外科外来の患者さんに対して鼻や喉の奥の状態を詳しく観察するための器具で、使用毎に洗浄・消毒を行うものです。洗浄・消毒の手順は、①流水下で、酵素洗剤を用いて付着した汚れ(血液・体液・蛋白)を除去する。 ②中性洗剤で洗浄し、流水で十分に洗い流す。 ③5分間消毒液に浸漬し、流水によりすすぐ。④水分を拭き取ったのち乾燥させるという手順で行っています。通常は上記③の消毒の段階で、全自動洗浄器を2台用いていますが、患者さんの多い日(火、金曜日)には1台の手作業で行う消毒用容器を追加して対応していました。今回、この追加して使用した1台について、消毒液をおよそ2年間交換せずに使い続けていたために消毒不良が発生いたしました。昨年7月、院内の医療機器の管理・点検を行う際に消毒液が交換されていないことに気づき、直ちに使用を中止し、医療機器の現場管理体制およびマニュアルの見直しを行うとともに、外部委員を含む調査委員会で消毒不良の影響についても検討を重ねました。

 使用した消毒液は、使用開始後有効とされる14日間を大幅に超えており、洗浄水の混入や有効成分の揮発による消毒液の濃度低下により、消毒液としての効果は得られていませんでした。一方、このスコープは鉗子孔のないタイプの単純な洗浄しやすい構造であり、消毒液に漬ける前と後の洗浄過程ではマニュアル通りに洗浄されていたことから、洗浄は十分に行われていたと判断しております。文献に基づいた感染リスクの検証では最も感染力の高い肝炎ウイルスでも、過去の文献から約1,000万分の1と推定されます。また、これまでのところ耳鼻咽喉科領域ではファイバースコープを介した感染事故は学会などで報告されていません。これらを総合的に判断し、病原体の感染リスクは非常に低いと判断しております。

 患者さんに影響を及ぼす感染リスクは極めて低いものの、このような事態を招いたことを厳粛に受け止め、公表することにいたしました。今後はこのようなことが起きないよう再発防止に努め、最善適切な医療を提供できるよう、職員一丸となって努力して参ります。

 静岡県立静岡がんセンター
病院長 高橋 満

・プレスリリース ⇒ ico_pdf (PDF:127KB)
・資料      ⇒ ico_pdf (PDF:109KB)

 

※本件に関するお問い合わせは、下記までお願いいたします。
  静岡県立静岡がんセンターRMQC室(医療の質・安全管理室)
   静岡県駿東郡長泉町下長窪1007番地
    電話:055(989)5235 月~金 9時~17時

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