がんクリニカルシーケンス事業を目的とした新会社(エスアールエル・静岡がんセンター共同検査機構(株))を設立

2018年10月3日
静岡県立静岡がんセンター 

 静岡県立静岡がんセンター(所在地:静岡県駿東郡長泉町、総長 山口 建、以下「静岡がんセンター」)とみらかホールディングス株式会社の連結子会社である株式会社エスアールエル(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:東 俊一、以下「SRL」)は、日本のがんゲノム医療に広く貢献することをめざし、がんクリニカルシーケンス事業(がんクリニカルシーケンスを含むマルチオミクス検査事業を含む)を開始するため、共同出資の新会社を設立いたしました。この連携により、臨床と研究開発および検査・解析業務が一体化され、環境変化と技術進歩が著しいと言われるゲノム医療分野において、遺伝子診療上のニーズに迅速かつ的確に対応し、提供することが可能となります。 

 静岡がんセンターとSRL は2014年より開始された共同臨床研究「プロジェクトHOPE(High-tech Omics-based Patient Evaluation)」において、手術時に採取した新鮮腫瘍組織と血液を対象に、全エクソーム解析と全遺伝子発現解析を実施し、臨床データとの突合を行ってきました。現在、単一医療機関として5000症例の解析を終了し、日本人のがんゲノム医療を推進するための検査解析技術と臨床評価等を行うための臨床データベースが構築されました。 

 新会社では、この共同研究成果である臨床データベースとノウハウとして得られた高い検査解析技術を活用し、医療機関からの受託可能な病理標本材料を含めた生体由来の試料を対象とし、ISO15189、CAP・CLIAに準拠した高い品質基準による検査サービス(独自のがん遺伝子パネル、薬物代謝酵素の遺伝子多型パネル、遺伝性がん検査パネル等)を提供いたします。

 また今後プロジェクトHOPEと共同で、臨床検査、特に遺伝子関連検査に期待される品質と精度管理の下、遺伝子パネル検査に加え、将来の臨床応用が見込まれる新技術の開発等の取り組みも行います。これらの取り組みを推進することで静岡県民をはじめとする多くのがん患者さんの医療の質を向上するとともに、遺伝子診療の分野で貢献してまいります。 

 新会社の出資比率は、静岡がんセンター 22.2%(1億円)、SRL 77.8%(3.5億円)とし、静岡がんセンターは、日本人5000例を対象とした我が国最大規模のがんマルチオミクス臨床データベースと豊富な臨床経験を新会社に提供し、SRLが持つ高い検体検査技術やネットワークを活用することで、本事業の推進に努めてまいります。

【新会社の概要】

・会社名 :  エスアールエル・静岡がんセンター共同検査機構株式会社

・本店所在地:  静岡県駿東郡長泉町(静岡県立静岡がんセンター研究所内) ・代表取締役    平林庸司

・資本金:       2億2500万円

・資本準備金:   2億2500万円

・設立日:     2018年9月10日

・事業内容:
  (1)臨床検査及び研究検査等の受委託業務、管理業務及び支援業務
  (2)医薬品、臨床検査薬等に関する試験の受託業務
  (3)創薬ターゲット・バイオマーカー探索の支援業務

 

【新会社設立に向けてのコメント】
・山口 建(静岡がんセンター 総長)
  我が国トップクラスのがん診療実績を誇り、大規模日本人がんゲノム臨床データベースを構築した静岡がんセンターと、我が国最大規模の臨床検査受託会社であるSRLとの協働事業により、医療スタッフと患者さんに有益ながんゲノム情報を提供することをめざします。

 新会社では、プロジェクトHOPEでの多数症例の解析経験をもとに効率化を進め、信頼性の高いがんパネル検査を、安価に提供します。また、分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤を選別する役割が強調されているがんゲノム検査を一歩、進めて、がんへの罹りやすさ、薬の効きやすさなど、患者さんの体質を知るための先進技術の開発にも取り組みます。

 ゲノム医療は、がんの免疫学的特性についても重要な情報をもたらします。静岡がんセンターでは、がんゲノム検査結果をもとに、樹状細胞ワクチンをベースとした独自の免疫療法の開発を進めており、難治がんや再発がんの治療にチャレンジしていきます。

 <参考>
・プロジェクトHOPE(High-tech Omics-based Patient Evaluation)について
 2014年1月から共同研究を開始。静岡がんセンターでがん摘出手術を受けた患者さんを対象に、静岡がんセンター研究所で遺伝子解析(ゲノミクス)・RNA解析(トランスクリプトミクス)を実施し、必要に応じて、タンパク質解析(プロテオミクス)・代謝物解析(メタボロミクス)等を加えたマルチオミクス解析を行い、さらに臨床情報を統合し、5000症例を超えるがんマルチオミクス臨床データベースを構築している。また、新しいがん診断・治療技術研究開発プロジェクトとして、厚生労働省の認定を受けた細胞加工施設を当センターの研究所内に整備し、樹状細胞ワクチンの臨床試験で培った基盤技術をもとに、がんマルチオミクス臨床データベースを活用する独自の免疫治療の開発に着手している。

 

 

※本リリースに関するお問い合わせは、下記までお願いいたします。
  
静岡県立静岡がんセンター マネジメントセンター 医療広報担当
    電話:055(989)5222 

  プレスリリースはこちら → ico_pdf (PDFファイル:152KB)

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