がん患者さんの新型コロナウイルスワクチン接種に関する Q & A

更新日:令和5年10月26日

 がん患者さんの新型コロナウイルスワクチン(以下、「ワクチン」)の接種について、患者の皆様から病院に対してさまざまなご質問をいただいています。現在わかっていることや当院の方針について、Q&Aで示します。

総論編

Q1. 令和5年秋開始の新型コロナワクチン接種の特徴を教えてください。

 令和5年9月20日に開始されたワクチン接種では、初回接種が完了している方にはXBB.1.5対応型のオミクロン株対応1価ワクチンが用いられます。1人1回限り受けることができます。

 過去には起源株1価ワクチン、オミクロン株2価ワクチンが使用されてきましたが、今回は第9波で流行したオミクロン株亜種(XBB)に対応するワクチンで、実際には起源株からオミクロン株まで幅広い株に対応しています。副作用など安全性は過去のものと変わりはありません。今季のワクチン接種費用は全額公費であり費用負担はありません。

 

Q2. がん患者さんは新型コロナウイルス感染症にかかると命にかかわりますか?

 ワクチンや治療薬ができたことやウイルスの株が変化してきたことによって、新型コロナウイルス感染症にかかっても、重症化する率は以前より下がってきています。

 ただし、65歳以上の高齢者や基礎疾患がある人は、重症化するリスクが一般の人より高いため、積極的なワクチン接種が呼びかけられています。がんも、新型コロナを重症化させる可能性のある基礎疾患の一つです。現在がんにかかっている方、特に血液がん(白血病やリンパ腫など)の方、さまざまながんで化学療法中の方、免疫抑制剤を使っている方、全身状態が良くない方が感染すると、重症化するリスクや感染したウイルスがなかなか消えないリスクが高いので、ワクチン接種を行うことをお勧めします。

 ワクチン効果は時間とともに低下していきます。重症化抑制効果は感染予防効果よりも長く続きますが、半年ほどで下がってくるため、これまでワクチン接種を受けている方でも定期的な接種は必要です。

 

Q3. コロナウイルスワクチンは静岡がんセンターで接種ができますか?

当院でコロナウイルスワクチンの接種は行っていません。お住まいの市役所・町役場にお問い合わせください。

厚生労働省のコロナワクチンナビでも接種会場・医療機関を検索できます。
https://v-sys.mhlw.go.jp/

 

Q4.インフルエンザワクチンも打った方がよいでしょうか?

 令和5年は例年より早くインフルエンザの流行が始まっています。インフルエンザワクチンはインフルエンザにかかっても重症化を予防する効果があり、がん治療中の方にも有効です。コロナウイルスワクチンと同時接種が可能です。それぞれのワクチンの接種間隔についても制限はありません。当院でもインフルエンザワクチンの接種は可能ですが、接種券を使える市町村が限られているため(沼津市、三島市、裾野市、長泉町、御殿場市、清水町、小山町)、できる限りお住まいの市町村での接種をお願いいたします。

 

各論編

Q5. がんのために手術を受ける予定です。ワクチン接種はどうしたらよいですか?

 手術を受ける場合、発熱で手術が延期することを避けるため、手術の1週間前はワクチン接種を避けることをお勧めしています。なお、生命にかかわる緊急手術の場合は、ワクチン接種のスケジュールと関係なく手術を受ける必要があります。

 

Q6. がん治療のため薬物療法(抗がん剤治療など)を受けています。ワクチンを打ってもよいですか?

 原則ワクチンを接種できます。ただし、接種のタイミングには注意を要する薬物もあります。あらかじめ担当医にご確認ください。

 抗がん剤(細胞障害性抗腫瘍薬、分子標的薬、免疫チェックポイント阻害薬)で治療中でもワクチン接種は原則可能です。ただし治療前の数日や骨髄抑制が強く起きそうな時期は避けましょう。(ワクチンの副反応として発熱やアナフィラキシーを生ずる場合があるため)

 ホルモン剤中の方はいずれのタイミングでも接種が可能です。

 

Q6)がん治療のためステロイド(副腎皮質ホルモン)剤や免疫抑制薬を使っています。ワクチンを打ってもよいですか?

 ステロイド剤や免疫抑制薬使用中であっても、原則、ワクチン接種は可能です。ただし、一部の薬(トシリズマブ[関節リウマチなどの治療薬。商品名アクテムラ]、リツキシマブ[リンパ腫、慢性リンパ性白血病などの治療薬。商品名リツキサン]、高用量シクロホスファミド[造血幹細胞移植のための前治療など。商品名エンドキサン])では、接種のタイミングを調整することが望ましい場合がありますので、該当する場合は担当医にご相談ください。

 

Q7)造血幹細胞移植を受けました。ワクチンを打ってもよいですか?

 造血幹細胞移植後の場合、不活化ワクチン接種開始のタイミングとして適切とされる移植後3ヶ月~6ヶ月以降の接種をお勧めします。

 

Q8)がんのために放射線治療を受けています。ワクチンを打ってもよいですか?

 放射線治療中であっても、ワクチン接種自体には制限はなく、接種は可能です。ただし、接種後の副反応として熱や倦怠感がでることがありますので、放射線治療への影響が少ない日程で接種することを考慮するとよいでしょう。

 

Q9)ワクチン接種とがん治療の効果判定(CT、PET-CTなど)

 ワクチンの接種後には、副反応のために、接種した側の脇の下や首のリンパ節(リンパ腺)が腫れて、がんのリンパ節転移と紛らわしいことがあります。いつワクチン接種をしたか担当医に伝えていただくとともに、CTやPET-CTを撮る場合には、可能であれば接種後4~6週の間隔をあけてこれらの検査を行うことを考慮するとよいでしょう。

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