神経内分泌腫瘍に対するペプチド受容体放射性核種療法(内用療法)の治療開始について

2022年12月28日

放射線・陽子線治療センター
放射線治療科部長 原田英幸

 神経内分泌腫瘍は、発症頻度が少ない希少疾患の一つですが、若年から高齢の方まで全身のどこの臓器にも発生し得ることが特徴です。外科的切除ができない神経内分泌腫瘍に対しては、分子標的薬や抗がん剤治療が従来おこなわれてきました。2021年、あらたな治療としてペプチド受容体放射性核種療法(商品名:ルタテラ)が保険承認され、当院でも治療を開始いたしました。

 神経内分泌腫瘍では、細胞の表面にホルモンの一種であるソマトスタチンと結合する受容体が高頻度に発現しています。ペプチド受容体放射性核種療法では、ソマトスタチン受容体陽性の神経内分泌腫瘍に対して、ソマトスタチン類似物質に放射性同位元素であるルテチウム-177を標識した放射性医薬品を投与し、細胞内に取り込まれたルテチウム-177から放出されるベータ線によって治療をおこないます。治療は点滴注射で行われますが、治療後しばらく体外にガンマ線が放出されるため、原則として治療後翌日まで入院が必要です。

 当院では、放射線・陽子線治療センター(放射線治療科)が中心となり、原発臓器診療科と共同で、適応判断・治療をおこないます。本治療の適応相談は、各原発臓器診療科および放射線・陽子線治療センターで受け付けております。

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