研究所患者家族支援研究部 石川睦弓氏 「第16回 SGH看護特別賞」の受賞について

研究所患者家族支援研究部 石川睦弓氏 「第16回 SGH看護特別賞」の受賞について

  静岡がんセンター研究所 患者家族支援研究部 石川睦弓(部長)は、佐川急便グループによって設立された公益財団法人SGH財団の第16回(平成30年度)SGH看護特別賞を受賞しました。受賞理由は、「がん患者の視点を重視して悩みや負担の実態を明らかにし、調査結果からがん患者の悩みや負担を体系化して科学的分析を可能にし、成果をもとに、webサイトや各種冊子類などの情報支援ツール類を作成して全国に普及させていること」です。

 石川部長は、静岡がんセンターの開設メンバーとして、疾病管理センター、がんよろず相談の基礎作りを主導し、年間1万2千件の相談に対応する組織を作り上げました。このよろず相談は、全国のがん診療連携拠点病院への設置が義務付けられた相談支援センターのモデルとなり、現在、全国で400箇所あまりの相談支援センターが活動を続けています。

 そして、がん臨床現場の看護活動とがんよろず相談での経験をもとに、がん患者の悩みや負担を軽減する患者家族支援を科学的根拠に基づき推進するため、がん体験者の悩みや負担等に関する全国実態調査を実施し、2003年に「がんと向き合った7,885人の声」という調査報告書にまとめ、全国のがん体験者から集まった2万数千件の悩みや負担の事例を解析し、静岡がんセンターのよろず相談の事例、約4万件を合わせ、4つの柱、16の大分類、40の中分類、141の細分類、628の小分類からなる「静岡分類」を完成させました。現在、この分類法は、各地のがん拠点病院等で活用され、患者・家族の悩みや負担を和らげるために役立てられています。その後、2013年にも同様な調査を実施し、これらの成果は、2007年以降、策定されてきた日本政府のがん対策推進基本計画にも反映されています。

 さらに、石川部長は、がん患者・家族の悩みや負担の実態をふまえ、「がん体験者の悩み Q&A」サイトを作成、「静岡分類」の分類法にそって構築した悩みや負担のデータベース等を核にしたコンテンツは、現在、月間69万のページビューがあり、研究や教育、ピアサポートなどにも広く活用されています。

 今回のSGH看護特別賞は、石川部長のこのような活動に対し授与されたものです。


【SGH看護特別賞について】

 がんの研究者及び医療従事者の励みとなることを目的として、がんの看護に関する先駆的な研究並びに実践を行うことにより、わが国の医療の発展、向上に寄与し、その業績が顕著で、かつ今後の発展が期待される個人または団体を対象に贈られるものです。(公益財団法人SGH財団のホームページより)

【公益財団法人SGH財団について】
 当財団は、2015年4月1日に旧公益財団法人佐川留学奨学財団、旧公益財団法人佐川がん研究振興財団、旧一般財団法人佐川国際経済協力会の3財団が合併した財団。国際的で活力ある社会の創造に向け、多面的かつ幅広く社会活動に寄与することを目的として、経済・産業、教育・文化、医療・福祉等の振興・発展を図るための研究及び事業への助成等を行うことを事業目的とする。寄付金拠出会社はSGホールディングスグループ。(公益財団法人SGH財団のホームページより抜粋)

 

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