「患者さんのための胃がん治療ガイドライン」が発刊されました
医療関係者向けに発行されている「胃癌治療ガイドライン」を患者さんが総合的に理解できるよう、「患者さんのための胃がん治療ガイドライン」が発刊されました。
昨今の胃がん治療は、抗がん剤や免疫チェックポイント阻害剤などが次々と薬物療法に加わり、治療法が多様化しています。本書は、患者さんが知りたい情報をQ&A形式で回答し、わかりやすいイラストや平易な言葉で解説されています。
<ガイドラインのポイント>
- 手術によって身体へ過大な負担(侵襲)がかかると、免疫機能が低下し再発が促進される。過大な侵襲となる拡大手術では治療成績は向上しないため、術後の合併症を少なくすることが重要であり、身体への負担を少なくした手術(低侵襲手術)が望ましい。
- 早期胃がんに対しては内視鏡的治療が積極的に行われている。
- 身体への負担を少なくした手術(低侵襲手術)として腹腔鏡下手術の臨床知見(エビデンス)が蓄積されており、進行胃癌に対しても適応が可能となりつつある。
- ロボット手術は、より合併症の少ない手術として注目されているが、エビデンスの確立が必須である。
- 新規の薬物療法として、免疫チェックポイント阻害剤である抗PD-L1抗体薬の使用が推奨されるようになった。今後、新しい分子標的治療薬も導入される予定である。
〇胃癌ガイドライン作成委員長 寺島雅典医師(静岡がんセンター副院長)のコメント
インターネットに掲載されている情報は、探し方によって7割~8割が不適切情報といわれています。情報に溺れないよう、このガイドラインを胃がん治療の教科書として使用していただきたいと思います。
『患者さんのための胃がん治療ガイドライン 2023年版』(金原出版)