緩和医療科部長のご挨拶

静岡県立静岡がんセンターは病床数615を有する日本有数のがん専門病院で、2022年9月に開設20周年を迎えました。特定機能病院、静岡県がん診療連携拠点病院に指定されており、臨床のみならず研究や教育の面においても充実した体制を整えております。当センターにおける診療の第一の特色は、一貫した基本理念として、多職種によって患者さんの視点を重視したチーム医療を実践している点で、①がんを上手になおす、②患者さんと家族を徹底支援する、③成長と進化を継続する、という理念(患者さんへの約束)を理念として掲げて、scienceとartのバランスの取れた良質ながん医療を提供しています。

緩和医療科は当センターの開設当初から50床を有する緩和ケア病床の運営をはじめ、緩和ケアチーム、緩和ケア外来における診療を行っております。緩和ケア病棟は年間550人ほどの新規入院患者にご利用いただいており、主にがん終末期における緩和ケアを提供しています。緩和ケアチームは年間600件ほどの新規介入依頼に対応し、主として症状緩和を担っています。緩和ケア外来では、各診療科からの紹介患者、地域内の医療機関からの紹介患者に幅広く対応しています。当科には医師のみならず公認心理師が在籍しており、入院・外来患者の心理サポートを行っています。

当センターはhigh volumeのがん専門病院ならではの強みを生かして、様々な薬剤が使用可能であることはもちろん、高度ながん医療ならびに緩和医療を提供するための様々な勉強会やカンファレンスを定期的に開催しており、がん診療全体を広く深く学べる環境にあります。また研究支援部門も充実しており、様々なclinical questionsを解決するための幅広い研究を行うことができます。

① 緩和ケア病棟

4階西病棟に25床、緩和ケア別棟に25床の2病棟を有しています。緩和医療科医師が主治医となり、看護師、薬剤師、公認心理師など多職種による質の高いケアを提供しています。患者さんや家族にしっかりと寄り添うことはもちろんですが、がん専門病院の強みを生かして、患者さんのQOL維持向上が期待できるようであれば、放射線治療やIVRなどの集学的医療を積極的に展開しています。平均在院日数は近年短縮傾向にあって25日間程度となっており、病棟稼働率は常に90%以上を維持しています。緩和ケア病棟入棟面談を済ませた順に入棟していただきますが、基本的に一旦は紹介元診療科の病床に入院していただき、順番に転棟していただきます。地域内で在宅療養中の患者さんで在宅診療医からの要請があれば緊急入院も受け入れています。

② 緩和ケアチーム

身体症状担当の緩和医療科専従医、精神症状担当の腫瘍精神科専任(ほぼ専従)医、緩和ケア認定看護師、薬剤師、公認心理師といったメンバーが揃っています。院内各科からの依頼に応じて、痛み、呼吸困難、消化器症状、せん妄、といった症状の緩和を中心に、直接診療型のチームを運営しています。すなわち、毎日すべての患者を診察して、依頼元の主担当医や病棟スタッフと密なる連携を図りながら、直接処方や指示を行います。身体症状担当専従医がペインクリニック専門医で、神経ブロックも積極的に行っています。放射線治療やIVRなどの非薬物療法も迅速に行われています。

③ 緩和ケア外来

院内各診療科からの紹介に応じて、症状緩和や心理サポートなどを中心とする外来診療を行っています。患者家族支援センターやよろず相談といった患者の療養支援を行う看護部門とも連携し、がん診療連携拠点病院としての機能の充実を図りながら地域にも開かれた外来診療を目指しています。

当センター職員は静岡県職員として採用されますが、福利厚生面も充実しておりますので、仕事にとことん打ち込むもよし、ライフワークバランスを重視した仕事をするもよし、多様な医師像を目指すことができます。経験の浅い方はレジデントとして、ある程度経験をお持ちの方は常勤職として入職していただくことができます。定員枠にとらわれず、意欲と協調性のある医師であればできるだけ採用する方針をとっております。

緩和医療・緩和ケアを志す熱意のある医師の方々のご応募をお待ちしております。

緩和医療科部長 佐藤哲観

センター紹介

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