放射線治療装置 最新機種を導入 7月1日から稼働開始
2013年7月5日
静岡県立静岡がんセンター
静岡がんセンターの放射線治療で使用するリニアック装置※は、開院時に2台、2005年に1台を追加設置して3台体制で治療を行ってきました。この度、初期導入の1台に換えて、国内で2台目となる最新機種を導入し、7月1日より3台体制で放射線治療を実施しています。
今回導入した高精度の装置は、米国Varian(バリアン)社製の「TrueBeam(トゥルービーム)」で、病巣が脳・脊髄、肺、消化管などの重要な臓器に接し照射範囲の設定が難しい症例や、周辺組織への影響を考えて十分な線量を照射出来ない症例に対して、より正確な照射が可能になります。また、従来の装置に比べて最大4倍の高出力の照射が可能となるため、治療にかかる時間が短縮され、呼吸同期機能や画像による位置確認機能などにより、より正確な治療を行うことができます。特に強度変調放射線治療(IMRT)や定位放射線治療といった高精度放射線治療を行う際には、本装置の特徴を生かして、これまで以上に精度の高い放射線治療をより多くの患者さんに提供できるようになります。室内は、患者さんの不安を少しでも和らげられるよう木目調の落ち着いたしつらえとし、治療台に横になると木々と青空を眺める天井から照明が入るようなやわらかな内装にしました。
※ リニアック装置:高いエネルギーのエックス線や電子線をがん病巣に外部から照射する放射線治療装置。
【ご参考】
リニアック装置の入れ替え・更新作業についてのコメント(放射線治療科 副院長兼部長 西村哲夫)
昨年12月末に開始した装置の入れ替え作業は、治療開始までに必要なビームデータ測定や検証などを約半年間にわたって行いました。この間はリニアック装置2台での治療となるため、患者さんの治療は、治療時間の延長(早朝~夜間)や近隣の医療機関の協力を得ながら対応してきました。静岡県東部地域の放射線治療装置をもつ各医療機関は、今後数年にかけてリニアック装置の更新作業が想定されていますが、今回得られた経験や地域医療連携の活用を通じて、地域の放射線治療体制のあり方を考えるきっかけとなりました。
![]() TrueBeam照射室 |
![]() 照射室天井 |
【放射線治療について】
がん医療における放射線治療は、外科治療・薬物治療とともに、がん治療に欠かせない治療法のひとつです。エックス線やガンマ線、陽子線などの放射線をがん細胞に照射し、DNAを変性させ局所的にがん細胞を死滅させます。放射線治療は、①放射線治療単独、または外科手術や薬物療法と併用し根治を目指す根治的放射線治療、②再発・転移等による症状を和らげるための緩和的放射線治療があります。
<静岡がんセンターの放射線治療>
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静岡 県立静岡がんセンター マネジメントセンター 医療広報担当 TEL 055(989)5222