肺癌の腫瘍マーカー開発の功績により、国際腫瘍学バイオマーカー学会賞受賞 受賞者  静岡がんセンター 総長 山口 建 (やまぐち けん) 氏

2014年3月28日
静岡県立静岡がんセンター

【概要】

静岡がんセンターの総長 山口建氏は、2014年3月17日、スペイン・バルセロナで開催された第41回国際腫瘍学バイオマーカー学会総会(ISOBM:International Society of Oncology and Biomarkers)において、肺癌の新しい腫瘍マーカーPro(プロ)GRP(ジー アール ピー)を開発し、臨床現場での診療に変革をもたらした功績により同学会、ABBOTT(アボット)賞を受賞いたしました。

腫瘍マーカーは、「がんの目印」とも言われる、がん患者の血液中に含まれる物質で、その測定は現代のがん診療には欠かせない存在です。同学会は、腫瘍マーカーについて、世界でもっとも権威ある国際学会であり、過去のABBOTT賞受賞者には、現在臨床で広く用いられているCEA、α-フェトプロテイン、PSAなどの開発者が含まれています。

今回の受賞理由となったProGRPは、肺癌の4つの組織型のうち、肺小細胞癌の腫瘍マーカーです。1980年代から開発が進められ、1995年に厚生労働省から製造承認を得て国内での使用が開始されました。現在では、米国以外の先進諸国で広く用いられる診断薬となり、肺癌の診療において欠かせない診断法となっています。

なお、すでにこの成果は、国内では高松宮妃癌研究基金の学術賞を受賞(2000年)していますが、国際的な賞は今回が初めての受賞になります。

【ProGRP開発の歴史】

山口建氏は、1980年代より国立がんセンター研究所(現、国立がん研究センター研究所)で腫瘍マーカーの研究を重ね、1994年、肺小細胞癌に特異的な腫瘍マーカーであるProGRP(Pro-gastrin-releasing peptide、ガストリン放出ペプチド前駆体)を発見、特許を取得しました。1995年、厚生労働省による製造承認を得て国内での販売が始まり、健康保険にも収載され、その後、2008年からは海外での販売も始まりました。その後、ProGRPを迅速に測定する自動測定装置が開発され、その評価に、静岡がんセンター、ファルマバレーセンターが貢献し、現在は、米国を除く先進諸国で臨床活用が進められています。


ISOBM学会長のR. Molina氏(左)と受賞した山口建氏(右)
(2014年3月17日 スペイン バルセロナにて)

 

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※本件に関するお問い合わせは、下記までお願いいたします。
静岡 県立静岡がんセンター マネジメントセンター 医療広報担当  TEL 055(989)5222

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