痛みをコントロールする

- 症状に応じた鎮痛剤を使用します -

 痛みがあると食事がとれずに栄養不足となり、口腔粘膜炎がなかなか良くはなりません。そのため積極的に痛み止めの処方薬を使うことが推奨されます。口腔粘膜炎に対しては、通常の痛み止め(解熱鎮痛剤)が良く効きますが、通常の痛み止めでは効果がないくらい痛みが強くなる場合も多く、その時はモルヒネなどの医療用麻薬を追加して使うことが推奨されています。

 

<粘膜炎の程度と痛みのコントロール>

粘膜炎の痛みとコントロール(図)

 

<痛み止めの使い方>
 口腔粘膜炎の痛みは、口を動かしたり、食べ物や飲み物が口に入ったりすることが刺激となり痛みが強くなります。食事の30~60分位前に痛み止めを飲むことで、食事中の痛みが軽減します。また、うがい薬に局所麻酔薬を混ぜて使用することで、粘膜を短時間麻痺させて食事をとる方法もあります。使用にあたっては、必ず医療者に相談をして下さい。
 

《口腔粘膜保護材について》

 口腔粘膜炎による「痛み」を和らげる方法は、内服薬やうがい薬だけではありません。2018年から歯科医師の管理のもとで、抗がん剤や放射線治療時の口腔粘膜炎によって生じる痛みを緩和するために「創傷被覆保護材」が使用できるようになりました。

 この保護材は、非吸収性の液体であり、口腔粘膜に塗布すると口腔粘膜の水分を吸収してゲル状になり、バリアとなる膜を形成するものです。薬効成分は入っておらず、口腔粘膜の痛みのある患部を透明な薄い膜で覆うことで刺激を弱め、物理的に痛みを和らげることが期待できます。
 使用後、数分以内にゲル化して、その効果は数時間持続するとされています。

 この被覆保護材を健康保険で使用するには、がん治療医と連携した歯科医師のもとで、適切な口腔管理が行われていることが必要になります。医科歯科連携を推奨している医師、歯科医師の指導とアドバイスを受けるようにしましょう。

抗がん剤治療と口腔粘膜炎・口腔乾燥

抗がん剤治療と口腔粘膜炎・口腔乾燥