小腸がん、十二指腸がんを対象とした術後化学療法の臨床試験(JCOG1502C)
この臨床試験は「小腸がん」または「十二指腸がん」と診断され、手術を受け、目に見えるがんが取り切れたと判断されている患者さんを対象に、「術後化学療法としてカペシタビンとオキサリプラチン併用療法(CAPOX;カポックス療法)を受けた場合」と「無治療にて経過観察の場合(手術単独療法)」の治療成績を比較検討することを目的としています。
試験の意義
がんに対する治療法には、手術とあわせて、再発予防を目的とした抗がん剤による治療(術後化学療法)を行うことがあります。胃がんや大腸がん、膵臓がんでは、術後化学療法を行うほうが手術のみで治療を終える場合に比べ、がんの再発を抑えられることがわかっています。一方小腸がん・十二指腸がんでは、術後化学療法による再発予防効果は不明であり、現在のところ手術で取り除くことができる小腸がん・十二指腸がんの標準治療は、手術のみです(手術単独療法)。しかし、小腸がん・十二指腸がんの手術後の生存成績は良くなく、5年生存率はステージ1の場合5~6割、ステージ2の場合4~5割、ステージ3の場合2~3割と言われており、手術単独での治療では不十分と考えられています。
以上のことから、小腸がん・十二指腸がんでも、再発を予防する術後化学療法の開発が必要と考えられます。そこで、手術単独療法よりも、術後化学療法としてCAPOX療法を行うほうが優れているかどうかを調べるための臨床試験が行われることになりました。
試験の現状
AMED(日本医療研究開発機構)の委託研究開発費を受け、2017年5月から症例登録を開始しています。計150人の患者さんに参加していただく必要がありますが、小腸がん・十二指腸がんは稀な疾患であり、患者さんの登録がなかなか進んでいないのが現状です。現在登録開始から3年が経過し、これまで43名の患者さんに参加していただいています。
試験の対象となる方
本試験の対象となる患者さんは以下の通りです。
・16歳以上74歳以下の方
・小腸がん・十二指腸がんと診断され、手術でがんが完全切除され、ステージ1~3の方
・他臓器への転移がないことが確認されている方
・これまでに化学療法(抗がん剤治療)や放射線療法を受けたことがない方
・手術後84日以内の方
臨床試験実施計画書
お問い合わせ
本臨床試験に興味を持たれた方、疑問点がある方、参加ご希望の方は、当院の担当医または肝胆膵外科・大腸外科・消化器内科までお問い合わせ下さい。
静岡がんセンター 電話 055-989-5222(代表)