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リンパ浮腫

リンパ浮腫の影響による蜂か織炎・リンパ管炎

悩み

リンパの流れが悪く、年に一度くらい熱がでる。

助言

【リンパ浮腫と感染】


リンパ浮腫は腕、足などに見られるむくみです。
乳がんでわきの下(腋窩)のリンパ節を切除したり放射線治療を受けたりした方、子宮がん、膀胱がん、前立腺がんなどで骨盤内のリンパ節や足の付け根(そけい部)のリンパ節を切除したり放射線治療を受けたりした方は、リンパ液の流れが悪くなることが原因で見られることがあります。

リンパの流れが悪くなると、感染や炎症を起こしやすくなります。むくんでいる手足の怪我や虫さされなどの感染を避けるように、日常生活のなかで気をつけていきましょう。

◎ 庭の手入れなどのときは、手袋をしたり長袖・長ズボンを着用するようにしましょう。また、万が一、虫にさされたときには、ひっかいたりして皮膚に傷をつけないようにかゆみ止めの薬を塗るなどしましょう。夏のキャンプやハイキングなどの際は、虫にさされやすいので、長袖を着用し虫よけスプレーなどで虫さされを予防しましょう。
◎ 洗剤などでかぶれやすい方は、洗剤を使う際はゴム手袋を使用し、ゴム手袋の内側には綿のやわらかい手袋などをつけましょう。
◎ 爪を切るときは深爪に気をつけましょう。
◎ 足の指の間は、むれやすく白癬症(水虫)などの皮膚感染症を起こしやすいので、指の間もきれいに洗い清潔にして乾燥につとめましょう。
◎ 手は、さまざまな物にさわりますので細菌がつきやすい部分です。手洗いを習慣づけて、手の清潔に気をつけましょう。また、乾燥・手荒れを予防するために保湿クリームなどをこまめに塗るようにしましょう。
◎ 食事をつくったりアイロンがけをしたりするときには、特にやけどに十分気をつけましょう。
◎ ペットなどを飼っているときは、かまれたりひっかかれたりしないように気をつけましょう。
◎ 採血や注射は、リンパ浮腫の起こっている腕はできるだけ避け、反対側の腕で行いましょう。
◎ リンパ浮腫の起こっている腕や足は、擦り傷やひっかっき傷など小さい傷でも、そこから細菌が入り感染を起こしやすい状態です。小さな傷でもそのままにせず、きれいに洗ってきちんと消毒を行い、感染を起こさないように注意しましょう。
◎ 日焼けの炎症でむくみが悪くなることがありますので、日焼け止め対策を心がけましょう。

リンパ浮腫の方は、傷口や毛穴などから感染して、むくんでいる腕や足が炎症を起こして『蜂か織炎』になることがあります。
寒気や震えを伴った38度以上の熱が出たり、むくんでいる腕や足が赤くなり熱をもっていたりした場合は、赤くなって熱をもっている部分を冷やして、できるだけ早くかかっている病院を受診しましょう。

(リンパ浮腫)弾性ストッキング装着による不快感・不便さ

悩み

リンパ浮腫で常に高額な弾性ストッキングを着用しなければならずつらい。

助言

【リンパ浮腫に関する保険適用】


2008年度の診療報酬改訂で、リンパ浮腫に関して保険適用となりました。わきの下(腋窩)や骨盤腔内の広範なリンパ節郭清術を行ったがん患者さんの術後に腕や足に起こるリンパ浮腫がひどくなるのを予防するための弾性着衣(弾性ストッキング、弾性スリープ、弾性グローブ)などを購入する費用を支給することになりました。
支給対象となる疾病は、リンパ節郭清術を伴う悪性腫瘍(悪性黒色腫、乳腺など腋窩部のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍、子宮悪性腫瘍、子宮付属器悪性腫瘍、前立腺がん及び膀胱をはじめとする骨盤内のリンパ節郭清を伴う悪性腫瘍)の術後に発生する四肢(腕や足)のリンパ浮腫です。

手続きは、まず保険者(保険証に記載してあります)から指示書を取り寄せ、担当医に『弾性着衣等 装着指示書』の作成を依頼します。弾性着衣を購入時、領収書をもらっておきます(領収書は『弾性着衣等 装着指示書』の記入日より後に発行されたものが有効となります)。
保険者に『療養費支給申請書』、『弾性着衣等 装着指示書』、領収書を提出します。このとき印鑑、口座番号がわかるものが必要になります(詳しくは各保険者にご確認ください)。

療養費に関しては、いったん代金を全額自分で支払い、その後保険者から自己負担額を差し引いた金額が払い戻されます。

一度に購入する弾性着衣は、装着部位ごとに2着までになります。前回の購入から6ヶ月後以降に再度購入した場合は、療養費の支給対象になります。製品の着圧は30mmHg以上の弾性着衣が支給対象です。ただし、関節炎や腱鞘炎で強い着圧では支障をきたす場合は20mmHgでもよいことになっています。

療養費としての申請費用は、下記金額を上限として、購入費用の範囲内になります。
◎ 弾性ストッキング 28,000円(片足用は25,000円)
◎ 弾性スリーブ 16,000円
◎ 弾性グローブ 15,000円
◎ 弾性包帯 上肢 7,000円、下肢 14,000円
ただし、弾性包帯に関しては、弾性ストッキング・弾性スリーブ・弾性グローブを使用できないと医師の指示がある場合のみが対象となります。

申請に関してわからないことがあれば、病院の相談窓口、あるいは保険者にお問い合わせください。

【リンパ浮腫とは】


リンパ浮腫は腕、足などに見られるむくみです。
乳がんでわきの下(腋窩)のリンパ節を切除したり放射線治療を受けたりした方、子宮がん、膀胱がん、前立腺がんなどで骨盤内のリンパ節や足の付け根(そけい部)のリンパ節を切除したり放射線治療を受けたりした方は、リンパ液の流れが悪くなることが原因で見られることがあります。
リンパ浮腫は、日常のスキンケア、自己マッサージ、弾性ストッキングやスリーブなどの着用により悪化を防ぐことができます。
手や足にむくみを感じたら、まず担当医に相談してみましょう。病院の相談室などを活用して、リンパ浮腫の指導や治療を行っている機関を問い合わせてもよいでしょう。

【リンパ浮腫予防のための日常生活での注意点】


リンパ浮腫は、予防と早期発見が大切です。リンパ浮腫が起こる可能性が考えられる場合、できるだけ浮腫が起こりにくいように注意しながら生活していきましょう。ただし、仕事や家事などいろいろな状況から予防的なことが十分できない場合があります。その場合でも、早期に発見して対処していくことが大切です。

日常生活のなかでも、以下のような点に気をつけましょう。
◎ 怪我や虫さされなどによる感染を避ける
患肢(乳がんの場合、乳がんの手術・腋窩リンパ節を切除した側の腕)は、リンパの流れが低下しているため、感染や炎症を起こしやすくなっています。土いじりなどのときは、手袋をしたり長袖を着用するようにしましょう。また、万が一、虫にさされたときには、ひっかいたりして皮膚に傷をつけないようにかゆみ止めの薬を塗るなどしましょう。また、日焼けの炎症でむくみが悪くなることがありますので、日焼け止め対策を心がけましょう。
◎ スキンケア
肌の乾燥や角化を防ぎ、皮膚の保湿を心がけましょう。保湿クリームは、香料なども刺激物が少ないものを選びましょう。
◎ 重いモノをできるだけ持たない
手術したほうの腕で重いモノはなるべく持たないようにして、やむを得ず持つ必要があるときには、小分けして持つようにしましょう。また、買い物などはショッピングカートを利用するなどしましょう。赤ちゃんや小さなお子さんを抱く場合には、膝やクッションなどを利用し、赤ちゃんなどの体重を分散するように心がけましょう。
◎ パソコン使用時の注意
乳がんで利き腕の腋窩リンパ節を切除した場合で、仕事等でパソコンをよく使う必要がある方は、肘を長時間圧迫することで、わきにリンパがもどっていくのを阻害しやすいので、肘枕(リストレスト)を使って手の重さを分散させたり、途中で手を休め肘の屈伸運動をするなどしましょう。
◎ 衣類について
下着などは、できるだけ締め付けないゆったりしたものを選びましょう。

【リンパ浮腫の早期発見のために】


リンパ浮腫の早期発見のために以下のことを行いましょう。
◎ 注意する自覚症状
「(患側手足が)重いような感じ」、「(患側手足が)だるいような感じ」など 
◎ 皮膚の状態を観察する
指で圧迫したときに、痕が残るかどうか。皮膚が硬くはった感じはないかなど
◎ 腕や足の周囲をはかる
どこか場所を決めておき、定期的にはかると良いでしょう。ただし、足などは立ち仕事をしていると、普段でもむくみがでることもありますので、起床時など時間を決めて、はかりましょう。