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放射線療法の副作用・後遺症

放射線の副作用による皮膚の変化(発赤、色素沈着、かゆみ)

悩み

放射線治療による色素沈着(赤みや黒ずみ)が、なかなか消えない。

助言

【放射線治療中・治療後のケア】


放射線の治療を行っていると、放射線をあてている部位に炎症が起こり、粘膜が荒れたり皮膚の症状が出てくることがあります。これらの症状は治療の後半になるにつれ強くなります。皮膚の障害は、治療が終われば徐々に改善してきますが、粘膜症状等は改善してくるまでに時間がかかることがあります。
副作用症状は放射線をあてている部位、放射線のあて方によって異なりますし、個人差があります。どこの部位にあてるとどういう副作用が出てくるかは、あらかじめ予測することができます。そこで、できるだけ症状が強くならないように、対応していくことができます。皮膚障害をできるだけ起こさないように、あるいは悪化させないようにするためには、放射線治療中のセルフケアが大切です。

放射線治療中は、照射部位に対しての刺激(物理的刺激や化学的刺激)を避け、清潔を保つようにします。
◎入浴やシャワーは、熱いお湯は避け、短時間にする。
◎石けんやシャンプーなどは、刺激の少ないものを使用する
◎入浴やシャワー時には、石けんやシャンプーはよく泡立てたうえで使用し、照射部位は、タオルなどで強くこすらずに手で石けんやシャンプーの泡を洗い流すようにする
◎照射部位には、自己判断で軟膏やクリーム、化粧品等をつけないで、まず担当医や看護師に相談する

また、放射線治療中・治療後とも気をつけなければいけないことに、直射日光があります。外出時、肌が露出する部分に放射線をあてていれば、日傘、帽子、長袖の上着などを使用し直射日光を避けるようにしましょう。

皮膚障害も個人差があります。日焼けしたときにも、赤くなってそのまま元に戻る人、黒くなる人などがいると思います。同じように色素沈着も個人差があるといえます。黒ずみが消えるまでに1年以上かかることもあります。

放射線の副作用による頭痛・吐き気

悩み

放射線治療の副作用で吐き気があり、食欲もなく悩んだ。

助言

【放射線治療の副作用】


放射線治療は、がんのある部位やその周辺に対して行われる治療ですが、がんの部位自体が正常な組織に囲まれていることが多いため、かける部位によって様々な症状(副作用)がでることがあります。また、全身症状としては、『放射線宿酔』と呼ばれる症状が、放射線照射を開始した早期に起こることがあります。『放射線宿酔』の症状には、だるさや疲労感、むかつき(時におう吐)、食欲不振、頭痛などがあります。『放射線宿酔』はだいたい10日前後で落ち着いてきます。
一方、放射線をかけている部位が、腹部の場合は、消化管にも影響がでて、吐き気や食欲不振、下痢などが起こることがあります。
副作用症状がでたら、担当医や看護師に相談してみましょう。食事へのアドバイスや、吐き気をおさえる工夫を教えてもらえるかもしれません。また、吐き気がひどいときには吐き気どめが処方されることもあります。

【食事の際のポイント】


治療を行っているときには、できるだけビタミンやミネラルを含んだ栄養のある食事をとったほうがよいのですが、吐き気や食欲不振があるときには、無理に食べようとするとよけいつらくなってしまうことがあります。

食事の際は、以下のようなことに気をつけましょう。
◎ 気分のよいとき、食べられるものを食べる
◎ 吐き気がいつ頃起こるかパターンをみつけ、タイミングをみて食べる
◎ 少しずつ何回かにわけて食べる
◎ 胃への負担が少ない食品を選ぶ
◎ 食べ物のにおいや環境に配慮する
◎ 栄養補助食品を利用する

【気分のよい時に、食べられるものを食べる】


治療中は正常細胞へのダメージも強く、通常よりもエネルギー量を必要とするため、体力を維持するための食事は重要です。けれども、栄養面や体力にこだわりすぎていると、食べることが「義務感」となり、かえって苦痛になってしまいがちです。
食事の基本的なルールはあまり気にせず、気分のよい時に食べられるもの、好きなものを食べるという気持ちをもちましょう。

1. 食べやすく、栄養をとりやすいもの
(1) 汁物
手軽にたくさんの種類の食品をとる方法として、みそ汁やスープのような汁物をおすすめします。いろいろな食品を一緒にとることで、相互作用が引き出され栄養価が高まります。また、温かいスープや冷たいスープなど工夫して食べてみましょう。
(2) カレーライス・めん類・酢の物
香辛料や味の濃いもの、酸味などで食欲を刺激することもあります。
(3) プリン・茶碗蒸し・豆腐・山いも
食べられるようであれば、たんぱく質が多く含まれている食品を加えるとよいでしょう。また、のどごしを良くするのも、おすすめです。豆類、鶏肉、卵などが比較的加えやすいといえます。
(4) 季節のくだもの・野菜ジュース
何種類かのくだものや野菜を組み合わせて、効率よく栄養をとることができます。旬のものなどを取り入れ、おいしく飲みましょう。ただし、あまり甘くしすぎないように気をつけましょう。
※ イレッサ服用中は、グレープフルーツジュースを控えてください。

◎ 患者さんの声
『のどごしのよいもの、冷たいもの、酸味のあるもの、味付けの濃いもの、食べやすいもの』などが、比較的皆さんに好まれています。 (※ 個人差があります)

2. すぐに食べられる工夫
食事の時間にこだわらず、「今なら調子も少し良いし、食べられそう」というように、自分の身体やこころに問いかけて、気分のよい時にすぐに食べられる工夫をしましょう。

○ 好きなものや食べられそうなものをいつも近くにおいておくと、気分のよい時にすぐに食べられます。
○ おむすびやおかずを小分けにするなどして、冷蔵庫や冷凍庫に入れておくと、食べたい時に電子レンジで温めれば、すぐに食べられます。また、気分のよい時に作り置きしておくとよいでしょう。
○ 食べられそうなものや食べやすかったものを覚えておいたり、作る人に伝えたりするとよいでしょう。

【吐き気・おう吐のパターンから、タイミングをみて食べる】


どういうときに吐き気やおう吐が起こるかを考え、その状況に沿った方法を試みましょう。

1. 食事前
食事の前に、レモン水や番茶などでうがいをすると、おう吐の予防になります。

2. 調理しているとき
冷凍保存や惣菜を活用して、調理時間を短縮してみましょう。また、家の人に調理してもらうのもよいでしょう。

3. 食事をしているとき
ゆっくりと食べましょう。また、室温程度の料理を食べましょう(少し冷ますとにおいが減ります)。

4. 食事のあと
食後2時間は仰向けに寝ないようにし、身体を衣類で締め付けないようにします。また、食後はゆっくりとくつろぎましょう。

【胃への負担の少ない食品を選ぶ】


胃の中に食べ物が長くとどまっていることで吐き気をもよおしたり、おう吐によって消化・呼吸の動きが低下したりすることがあります。そこで、なるべく胃の中にとどまっている時間が短い食べ物(炭水化物など)を中心にとり、胃への負担を軽くしましょう。
また、消化があまりよくないものや繊維の多い野菜、脂質などは控えましょう。

1. 食べやすく、栄養をとりやすいもの
(1) 主食を変えてみる
米は、炭水化物を多く含んでいますが、炊きあがる時などのにおいで吐き気を感じることがあります。そんな時は、主食をパンに変えてみましょう。パンは、小麦粉からできていて米と同様に炭水化物を多く含み、調理をしなくてもよいので手軽に食べられます。パンを選ぶ時は、なるべくバター(脂質)の使用が少ないものを選ぶとよいでしょう。また、その他にはそうめん、スパゲティ、そば、うどんなどもおすすめです。
(2) くだものを利用する
食事だけにとらわれず、くだものも食べてみましょう。くだものの中でも、バナナ・りんご・キウイフルーツ・パイナップルなどは、炭水化物を多く含んでいます。缶詰で市販されている、桃・みかん・さくらんぼ・パイナップルなどを手軽に利用してみるのもよいでしょう。
(3) シリアル食品を利用する
シリアル食品は、とうもろこし・米・大麦・小麦など炭水化物が多く含まれているものを主原料としていて、器に入れて牛乳や豆乳、ヨーグルトなどをかければすぐに食べることができます。シリアル食品の中には、特定の栄養分を強化したものもありますので、手軽に利用してみるのもよいでしょう。
2. 控えたほうがよいもの
繊維の多い野菜 : たけのこ・ごぼう・れんこん・ふき
香りの強いもの : ウド・セリ・にんにく・セロリ
消化があまりよくないもの : きのこ類・こんにゃく・脂肪の多い肉

【食感的・視覚的な工夫】


食欲は食べる場所や雰囲気などによっても変わります。庭やベランダなど、いつもと違う場所での食事や、家族・友人と楽しく食事をするなど、気分を変えてみるのも食欲増進に効果的ですので、いろいろな工夫をしてみましょう。

1. 食感的な工夫
温かいものよりも、冷たいものの方が比較的食べやすいと感じられます。冷たくてもおいしく食べられるものを、メニューに取り入れてみましょう。

2. 視覚的な工夫
付け合わせや食器の柄などの色も食欲を増す効果があります。付け合わせは、食べられずに残すことになっても構わないと割り切り、それがあることで少しでも食べたいという気持ちにつながると考えるようにしましょう。
また、盛り付け方も工夫してみましょう。大きな器にたくさん盛り付けてしまうと、「こんなに残してしまった・・・」とか「これだけしか食べられなかった・・・」などと思ってしまうので、少しずつ盛り付け、いろいろな種類を用意してみるのもよいでしょう。

【栄養補助食品を利用する】


食事に対する基本的姿勢としては、「食べられる時に食べられるものを」ですが、重度の体重減少またはそう予想される場合は、濃厚流動食(バランス栄養飲料)や他の補助食品などで栄養状態を維持・向上する必要があります。

「栄養補助食品」とは、一般的にはビタミンやミネラルなどのサプリメントがよく知られていますが、通常の食事で必要な栄養が得られない場合に、効率よく栄養を補うために用いるものです。
また、最近の栄養補助食品は、種類や形状、味も豊富になりました。中には、お茶、あずき、黒豆、コーンスープなどの味もあり、飲みやすく摂取しやすいドリンクタイプもあります。

◎ 栄養補助食品の購入方法
「栄養補助食品を買おうと思ったけれど売っていません。どこで買えばいいの?」と、いうような声をよく耳にします。
残念ながら、これらの栄養補助食品は、一般のスーパーなどで買えないものが多いのが事実です。しかし、通信販売などシステムは充実していますので、かかっている病院の管理栄養士に相談して購入できるところを教えてもらうのもよいでしょう。

【口に合う、たんぱく質豊富な食品をさがす】


患者さんの多くは食欲不振などの症状から低栄養状態になり、食べやすいものとして糖質系(めん・パン・くだものなど)が中心になりがちです。そのため、たんぱく質の補給がとても重要になります。
けれども、実際にはたんぱく質を多く含む食品は、においなどから敬遠されがちです。患者さんの口に合うもので、たんぱく質が豊富に含まれる食品を探してみましょう。

1. チーズ
料理にのせて焼いてみましょう : パン・ハンバーグ・ホットドック・ピザ・肉・魚・野菜・卵
すり下ろして料理にかけてみましょう : スープ・ソース・グラタン・野菜・マッシュポテト・パスタ
サラダに混ぜてみましょう
料理に加えてみましょう : パスタ・オムレツ・炒り卵・カレー
おやつに加えてみましょう : チーズケーキ・ホットケーキ・クレープ

2. 牛乳・ヨーグルト
飲み物や料理に使ってみましょう : カレー・シチュー・グラタン・卵焼き・スープ・ホットケーキ・ヨーグルトサラダ
インスタント食品に加えてみましょう : シリアル(コーンフレーク)・スープ・ココア
その他 : ドレッシング、魚や肉の下味、ヨーグルトシェイクやヨーグルトアイスなどデザートに

3. 豆・豆腐
煮たり裏ごししたりして食べてみましょう : 茶碗蒸し・あんこ・プリン
料理に加えてみましょう : カレー・グラタン・ハンバーグ・煮物・炊き込みご飯

放射線性肺炎による呼吸器症状の持続

悩み

放射線肺炎で息切れ、咳がでて、仕事が続けられるか不安になった。

助言

【早めに病院を受診する】


肺を照射部位に含む放射線治療を受けた方は、特に治療後の数ヶ月、発熱や咳、息苦しさ、だるさなどの症状に注意して下さい。もし、症状がみられたら、早めに病院を受診することが大切です。
放射線治療をするにあたって、効果だけでなく、できるだけ副作用を起こさないことを考えて、計画を立てています。放射線治療の副作用の可能性は、照射部位・量のほか、患者さんがこれまで受けた治療や合併症などの影響によっても異なります。あなたの場合の放射線治療の副作用の可能性や、注意すべき点について、担当医に確認するとよいでしょう。
症状の程度や仕事内容(活動量)によっては、休養、治療が必要な場合もありますので、
仕事に関して不安があれば担当医と相談しながら決めていきましょう。
また治療後3ヶ月ぐらいは、まだ体力は戻りきっていないと考え、十分な休養と栄養を心がけてください。

放射線治療による粘膜の荒れ(口、のど、腸等)

悩み

放射線治療により口の中やのどが荒れて、痛くて食事が十分食べられなかった。

助言

【放射線治療による口の中の炎症】


放射線治療の副作用は、どこの部位にどれだけの線量が当たったか、そして患者さん個人の体質や体の状況によって異なります。
口の中、のど、食道などの粘膜に放射線が照射された場合、これらの細胞を傷つけ、炎症を起こし、食事に支障をきたすことがあります。飲み込むときの痛みのほか、口の渇き、味がわかりにくいといったことも起こる場合があります。

【口の中をきれいに保つ】


口の中には、もともとたくさんの雑菌(細菌)が存在します。本来なら、唾液が自然と口の中をきれいにしてくれたり、歯磨きやうがいで口やのどをきれいにしたりしています。
口内炎に対しては、まず口の中をきれいにすることが大切ですが、治療により口の中やのどの粘膜がただれて痛み、歯磨きが十分にできなくなったりすると、口の中の雑菌が増え、感染症や口内炎ができたところに細菌がつき、更に症状を悪化させたりします。
食事の前後に歯磨きをし、口の中をいつもきれいに保つよう、心がけましょう。また、清浄作用や粘膜保護作用のあるうがい薬などを使用してもよいでしょう。

【栄養をできるだけとる: 食べやすくなる工夫をする】


口内炎があると、痛みであまりかまずに飲み込んでしまいがちです。食事はできるだけやわらかく調理し、細かく刻んだり、ミキサーにかけたり工夫して、食べるようにしましょう。また、市販のスポーツ飲料や高カロリー飲料などを利用してもよいでしょう。

1. 食べやすくなる工夫
(1) 水分が多くやわらかい、口当たりのよい食品を摂りましょう。
(2) 少量の油脂類を加えると飲み込みやすくなります。
(3) あんかけやソースにからめるなど、水分にとろみをつけると食べやすくなります。
(4) 誤嚥の心配がある時は、食品の形態や水分に注意が必要です。(増粘剤などを利用しましょう)
(5) 食事は飲み物や汁物とセットで食べるとよいでしょう。
(6) 食事は人肌程度がよいでしょう。
(7) 痛みが強い場合は、食品の形態をゼリー状やピューレ状、流動食にしてみましょう。
(8) 味付けがしみるような場合は、薄味にしましょう。

2. 控えたほうがよいもの
熱い・辛い・すっぱいなどの刺激の強い食品、かたく乾燥した食品
酸味の強いくだもの、甘みの強い飲み物

3. 消化がよく、やわらかいものを食べる
あまりかまずに飲み込んでも胃に負担がかからないように消化のよい食品を選びましょう。また、調理方法を工夫することで、消化しやすくなることもあります。例えば、揚げる・炒める・焼くといった調理方法よりも、煮る・蒸す・ゆでるといった調理方法の方が消化を助けるためおすすめです。

【痛みをやわらげる】


痛みが強ければ、痛みをやわらげる軟膏やうがい薬を使用する場合もありますので、担当医や看護師に相談してください。

放射線の副作用による他の症状

悩み

放射線治療で、食欲がなくなり食事が進まなかった。

助言

【時間がたてば改善します】


放射線治療で食欲がなくなる原因としては、以下のようなことが考えられます。
◎ 放射線宿酔(しゅくすい):治療開始初日から数日の時期に出てくることがありますが、頻度はわずかです。症状には吐き気、食欲不振、だるさ、頭痛などがあります。
◎ 粘膜障害:放射線をかける部位によっては、胃や腸などの消化管に放射線の影響がでます。粘膜があれて、吐き気、食欲不振、下痢、腹痛などが出ることがあります。

宿酔症状はもし出たとしても最初の頃だけです。消化管の粘膜が荒れて消化機能が一時的に低下し、消化器症状が出たとしても、治療がすべて終了すれば改善してきます。
治療中は、消化の悪い食品や刺激物の摂取を控えるように気をつけましょう。

放射線による副作用の症状に関すること(その他)

悩み

放射線治療の副作用に悩んだ。

助言

【治療と副作用を理解し対処していきましょう】


放射線の治療を行っていると、放射線をあてている部位に炎症が起こり、粘膜が荒れたり皮膚の症状が出てくることがあります。これらの症状は治療の後半になるにつれ強くなります。治療が終われば徐々に改善してきますが、粘膜症状等は改善してくるまでに時間がかかることがあります。このように、放射線治療中から放射線治療終了後までに生じる副作用を『急性反応』といいます。
副作用症状は放射線をあてている部位によって異なります。どこの部位にあてるとどういう副作用が出てくるかはあらかじめ予測することができます。そこで、できるだけ症状が強くならないように対応していくことができます。また、副作用で痛みなどのつらさが起こったときにも、少しでも痛みがやわらぐようにコントロールしていきます。
治療と治療の副作用について理解し適切な対処をすることで、副作用についての不安やつらさはやわらげることができます。

重要なポイントは、以下の3点です。
1. 治療と副作用について理解する
◎ どういう目的で行う放射線治療なのか。
◎ どういう方法で(照射方法)、何回治療を行うのか。
◎ いつ頃どういう副作用症状が出てくる可能性があるのか、いつ頃おさまってくるのか。
◎ 副作用を予防したり軽くするための方策はどうすればよいのか。
2. 治療開始後は副作用の状態を把握し変化を医療者に伝える
副作用の状況を放射線治療の担当医や看護師にきちんと伝えましょう。早め早めに対応していくことが大切です。
3. 予防を含めた副作用への対処方法について実行していく
副作用を最小限にとどめるために、予防のための方法や毎日の生活のなかでの配慮や工夫が必要になります。予防につとめることは、治療を円滑にすすめていくためにも大切です。担当医や看護師のアドバイスを受けながら行っていきましょう。

なお、全身症状として、『放射線宿酔』と呼ばれている吐き気やおう吐、食欲不振、だるさや頭痛などが治療を開始した日から数日間出ることがありますが、頻度的にはわずかです。
また、放射線治療の副作用には、前述した「急性反応」とは別に、治療終了後半年~数年後に出てくる「晩期反応」と呼ばれる副作用があります。晩期反応は、血管系の変化による二次的な臓器障害です。急性反応は治療が終わればよくなってきますが、晩期反応はいったん出てくると治りにくいといわれています。「晩期反応」が出てしまうことは0ではありませんが、できるだけ晩期反応が起こらないように、細心の注意を払い治療計画がたてられています。ご自分の場合に起こる可能性がある晩期反応についてよく理解し、晩期反応と思われる症状が出たら担当医に伝えましょう。

(放射線の後遺症)唾液分泌障害による口渇、咽頭痛

悩み

唾液が出ないため、喉が痛く、食事があまり食べられない。

助言

【唾液の減少によるのどの痛み】


治療により細胞分裂の活発な粘膜(口の中・舌・のど・食道など)の細胞を傷つけ、炎症を起こし、唾液の分泌量が減少してより粘膜が傷つきやすくなります。
食事の面では、唾液の量が少なくなると、飲み込みにくくなりますので、食べやすくなる工夫をしましょう。唾液の減少と炎症があるときは、水分が多くやわらかい、口当たりのよい食品がよいでしょう。

<工夫のポイント>
1. 飲み込みやすく、食べやすくなる工夫をする
2. こまめに水分補給をしたり、氷をなめたりする
3. 口の中をきれいに保つようにする

【飲み込みやすく、食べやすくなる工夫をする】


食べやすいようにやわらかく調理し、細かく刻んだり、ミキサーにかけたり工夫して、できるだけ口から食べるようにしましょう。
市販のスポーツ飲料や高カロリー飲料などを利用してもよいでしょう。

1. 食べやすくなる工夫
○ 水分が多くやわらかい、口当たりのよい食品をとりましょう。
○ 少量の油脂類を加えると飲み込みやすくなります。
○ あんかけやソースにからめるなど、水分にとろみをつけると食べやすくなります。
○ 誤嚥の心配がある時は、食品の形態や水分に注意が必要です。(増粘剤などを利用しましょう)
○ 食事は飲み物や汁物とセットで食べるとよいでしょう。
○ 食事は人肌程度がよいでしょう。
○ 痛みが強い場合は、食品の形態をゼリー状やピューレ状、流動食にしてみましょう。
○ 味付けがしみるような場合は、薄味にしましょう。

2. 控えたほうがよいもの
熱い・辛い・すっぱいなどの刺激の強い食品、かたく乾燥した食品
酸味の強いくだもの、甘みの強い飲み物

3. 栄養補助食品の利用
口やのどのあれがひどく、食事があまりできない時は、濃厚流動食(バランス栄養飲料)や栄養補助食品などを利用し、栄養状態を維持・向上する必要があります。
これらは、栄養やカロリー補給になるだけではなく、乳製品や大豆を主原料にしているものが多く、口内のあれた部分にしみにくく飲みやすいので効果的です。

【こまめに水分を補給したり、氷をなめたりする】


口の中が乾燥することによる様々な症状を防ぐためにも、水分はこまめに補給しましょう。氷や水など水分を補給しやすいように、準備しておくとよいでしょう。
口の中があれている時には、氷が四角いとあたって痛いので、丸い形に固める製氷器を利用するか、水道水などで角を溶かして丸くしてからなめるとよいでしょう。
また、炎症がひどい時には、水分でむせる場合もあります。こういう場合には、とろみ剤を使ったり、ゼリー状の水分補給食品などを利用したりしましょう。

【口の中をきれいに保つようにする】


口の中には、もともとたくさんの雑菌(細菌)が存在します。本来なら、唾液が自然と口の中をきれいにしてくれたり、歯磨きやうがいで口やのどをきれいにしたりしています。
しかし、治療により唾液が出にくくなったり、口の中やのどの粘膜がただれて痛み、歯磨きが十分にできなくなったりすると、口の中の雑菌が増え、感染を起こすことがあります。食事の前後にうがいや歯磨きをし、口の中をいつもきれいに保つよう、心がけましょう。

(放射線の後遺症)唾液分泌障害による日常生活への影響

悩み

唾液が出ないために、口の中やのどが渇き、眠れない。

助言

【放射線治療の影響による唾液の減少】


唾液腺の付近に放射線治療を受けた場合、唾液腺が萎縮して、唾液の減少、濃い粘着性の唾液、口の中の乾燥がみられることがあります。
夜間、口の中に湿り気を与える方法としては、水分を摂るほか、加湿器などを使うとよいでしょう。湿り気のあるマスクも市販されていますが、毎日使用するには費用がかかるのが難点です。
人工唾液、保湿剤配合の洗口液について、担当医または歯科医師に相談してみて下さい。

【口の中をきれいに保つようにする】


口の中には、もともとたくさんの雑菌(細菌)が存在します。本来なら、唾液が自然と口の中をきれいにしてくれたり、歯磨きやうがいで口やのどをきれいにしたりしています。
しかし、治療により唾液が出にくくなったり、口の中やのどの粘膜がただれて痛み、歯磨きが十分にできなくなったりすると、口の中の雑菌が増え、感染を起こすことがあります。食事の前後にうがいや歯磨きをし、口の中をいつもきれいに保つよう、心がけましょう。

(放射線の後遺症)唾液分泌障害により食事がつらい

悩み

唾液が出ないために、食べ物が喉を通りにくく、食事がすすまない。そのため、体力低下や口腔内の衛生状態について悩んでいる。

助言

【唾液の減少】


治療により唾液分泌に変化がみられることがあります。唾液腺の付近に放射線治療を受けた場合は、唾液腺が萎縮(いしゅく)して唾液が出にくくなります。唾液の分泌量が減少すると、口の中の粘膜が傷つきやすい状態になり、炎症を起こしやすくなります。
食事の面では、唾液の量が少なくなると、飲み込みにくくなりますので、食べやすくなる工夫をしましょう。唾液の減少と炎症があるときは、水分が多くやわらかい、口当たりのよい食品がよいでしょう。

<工夫のポイント>
1. 飲み込みやすく、食べやすくなる工夫をする
2. こまめに水分補給をしたり、氷をなめたりする
3. 口の中をきれいに保つようにする

【飲み込みやすく、食べやすくなる工夫をする】


食べやすいようにやわらかく調理し、細かく刻んだり、ミキサーにかけたり工夫して、できるだけ口から食べるようにしましょう。
市販のスポーツ飲料や高カロリー飲料などを利用してもよいでしょう。

1. 食べやすくなる工夫
○ 水分が多くやわらかい、口当たりのよい食品をとりましょう。
○ 少量の油脂類を加えると飲み込みやすくなります。
○ あんかけやソースにからめるなど、水分にとろみをつけると食べやすくなります。
○ 誤嚥の心配がある時は、食品の形態や水分に注意が必要です。(増粘剤などを利用しましょう)
○ 食事は飲み物や汁物とセットで食べるとよいでしょう。
○ 食事は人肌程度がよいでしょう。
○ 痛みが強い場合は、食品の形態をゼリー状やピューレ状、流動食にしてみましょう。
○ 味付けがしみるような場合は、薄味にしましょう。

2. 控えたほうがよいもの
熱い・辛い・すっぱいなどの刺激の強い食品、かたく乾燥した食品
酸味の強いくだもの、甘みの強い飲み物

3. 栄養補助食品の利用
口やのどのあれがひどく、食事があまりできない時は、濃厚流動食(バランス栄養飲料)や栄養補助食品などを利用し、栄養状態を維持・向上する必要があります。
これらは、栄養やカロリー補給になるだけではなく、乳製品や大豆を主原料にしているものが多く、口内のあれた部分にしみにくく飲みやすいので効果的です。

【こまめに水分を補給したり、氷をなめたりする】


口の中が乾燥することによる様々な症状を防ぐためにも、水分はこまめに補給しましょう。氷や水など水分を補給しやすいように、準備しておくとよいでしょう。
口の中があれている時には、氷が四角いとあたって痛いので、丸い形に固める製氷器を利用するか、水道水などで角を溶かして丸くしてからなめるとよいでしょう。
また、炎症がひどい時には、水分でむせる場合もあります。こういう場合には、とろみ剤を使ったり、ゼリー状の水分補給食品などを利用したりしましょう。

【口の中をきれいに保つようにする】


口の中には、もともとたくさんの雑菌(細菌)が存在します。本来なら、唾液が自然と口の中をきれいにしてくれたり、歯磨きやうがいで口やのどをきれいにしたりしています。
しかし、治療により唾液が出にくくなったり、口の中やのどの粘膜がただれて痛み、歯磨きが十分にできなくなったりすると、口の中の雑菌が増え、感染を起こすことがあります。食事の前後にうがいや歯磨きをし、口の中をいつもきれいに保つよう、心がけましょう。

放射線の後遺症による味覚・嗅覚への影響

悩み

放射線治療により、味覚障害と唾液がでなくなり、食事もすすまず、つらい。

助言

【『味』、『におい』、『温度』、『食感』の点から考えてみる】


口周囲の放射線治療により、口のなかに炎症が起きたり、唾液が少なくなったりすると、思うように食事がすすまないことがあります。
食事について、『味』、『におい』、『温度』、『食感』の点から考えてみると、工夫のポイントが見つかりやすいように思います。

治療開始後、まず味の変化を感じると思いますが、味とにおいには相互作用があることが知られています。実際、患者さんから、「においが強いと味を感じやすい」「妻が作る食事は、私の好きなものを知っているせいか、味がわかる」という声も聞かれます。
個々の患者さんの味覚の変化に合わせて、だしなどで味をはっきりさせる調整をすることが基本ですが、においから味を連想しやすい食事を試してみるのもよいと思います。

遅れて、口のなかの痛みや唾液減少の症状がでてきたときには、水分が多くやわらかい、口当たりのよい食感のものが食べやすくなります。食事はさましたほうが、口の中の痛みがやわらぎます。この頃には、においの強いものはだめと言われる方が多いようです。
これらは一般的な傾向であり、食事には、個人の好みやこれまでの食習慣の影響がかなりあります。症状の程度や食の好みに合わせて、いろいろ試してみてください。

【口の中をきれいに保つようにする】


口の中には、もともとたくさんの雑菌(細菌)が存在します。本来なら、唾液が自然と口の中をきれいにしてくれたり、歯磨きやうがいで口やのどをきれいにしたりしています。
しかし、治療により唾液が出にくくなったり、口の中やのどの粘膜がただれて痛み、歯磨きが十分にできなくなったりすると、口の中の雑菌が増え、感染を起こすことがあります。食事の前後にうがいや歯磨きをし、口の中をいつもきれいに保つよう、心がけましょう。

放射線の後遺症による症状(その他)

悩み

のどに固い痰がつまり気味になる。

助言

【痰をやわらかくする】


痰は、気道から過剰に粘液が分泌されたり、粘膜の働きが障害されて気道内に分泌液がたまったときに、体の外にだそうとするものです。
放射線治療の副作用は、治療中から直後にみられるものと、半年以上たってみられるものがあります。のどに放射線をあてた場合、痰がからむという症状は、どちらの時期にも起こることがあり、治療中にみられる場合は、主に、粘膜の炎症によるものです。治療後時間がたっている場合は、気道の粘液の分泌量が減っていることが関係していると考えられます。
水分を多めにとると、痰がやわらかくなって出しやすくなります。水分をとる回数を多くして、喉をしめらせた状態にしておくとよいでしょう。