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治療後の生活行動

今後の健康管理

悩み

再発しないための日常生活の注意事項や生活習慣、食事のことなど、どうしたらよいか悩んでいる。

助言

【からだとこころの調和がとれた生活を送る】


栄養バランスのよい食事を摂ったり、適度な睡眠(休息)と運動をとりいれたり、ストレスを貯めないようにするなど、毎日の生活リズムを調整し、からだとこころの調和がとれた生活を送ることが大切だと思います。
再発や転移を防ぐとされる食品など、様々な情報をみかけますが、同時にその情報の正確性は判断しにくいことも多いと思いますので、偽りの情報に惑わされないようにしましょう。食事に関しては、以下のホームページを参考にして下さい。

今後の生活管理

悩み

食後の胃の痛みやつっぱりが続き、食べ方が早いのがなおらず気になった。

助言

【新たな食習慣を身につけていく】


これまでの食習慣を見直し、新たな消化能力にあわせた食習慣を身につけていくことが大切になります。これまで意識せずに行ってきた「食べる」ことを意識的に変えていきましょう。また、もともとの食習慣、生活習慣、消化機能、手術範囲や術式も異なりますから、術後の経過は全ての方が同じ訳ではありません。食べるスピードのとり方や一度に食べられる量なども異なってきます。
ただ、基本は、「少しずつ」、「よくかみ」、「分けて」食べることです。

食べ物を消化するということは、食べ物を口に入れたときから始まります。胃を切ってしまうと、食べ物が胃のなかでよくまぜあわされ消化していく働きが落ちるということですから、そのはたらきをどこかで補っていく必要があります。
口の中で、よくかむことで食べ物は小さくなり消化されやすくなりますし、唾液のなかの酵素も消化を助けます。食べ物が小さくなれば消化管を通りやすくなりますし、唾液の酵素で消化をサポートできます。特にこれまで、早食いやほとんど丸呑みしていた人は、上記のことを特に意識して行っていきましょう。

【食事の環境を整えてみる】


よく噛んで、ゆっくり食事をすることの大切さを理解し、例えば「一口につき30回かむ」と意識しても、食習慣は長年かかって身についたものなので、いつの間にか元通りになってしまい、修正しにくいものです。そこで、意識化だけでなく、食事の環境を整えてみましょう。
周囲が騒がしいと、気持ちが急いて、食事のスピードが速まりがちです。食事のときに、早いリズムの音楽や、激しいテレビ番組は控えましょう。
一緒に食事をする人の食事のスピードに合わせて食事をすることも、ひとつの方法ですが、日常化すれば効果がないとも言われるので、短期の対策になります。
食器の数を増やすことは、食器を持ち替えるなどの動作が増え、視覚的にも楽しめるため、食事のスピードを抑えるのに有効です。一品量と一口量が把握しやすいと、消化機能と食事内容の両面から、自分にあった食事を調整しやすく、5、6器が適当だと思います。

持病、障害に伴う日常生活への影響

悩み

体の老化に伴い、歯の問題や貧血等に悩む。

助言

【口のなかの環境】


歯科に受診して、適切な治療を受けることはもちろん、ご自身ができる正しい歯磨き方法や、口のなかの保湿について、歯科医の指導を受け、日々実践することが大切です。

【胃切除後の貧血】


このお悩みの方は、胃がんなので、胃切除術の治療を受けたと思われます。
手術で胃をとると、鉄、ビタミンB12の吸収力が低下するために、結果として貧血が起こることがあります。胃切除後貧血が、術後数年経ってみられるのは、体に貯蔵されている鉄、ビタミンB12があるからです。
通常に言われる貧血時の食事は、摂取不足を想定していますが、胃切除後の場合は、胃の機能低下があるために起こっているので、主に鉄剤、ビタミンB12などの薬を飲むことになります。食事面では、バランスのよい食事を摂ることを心がけてください。

日常生活では以下のことに注意しながら、活動しましょう。
○ 急激な動きは避け、ゆっくりと動くようにしましょう。特に立ち上がるときにめまいが起こりやすいので、上半身を起こして一息ついてから、立ち上がるようにしましょう。
○ めまい、脱力感、だるさなどの症状があるときは、安静にしましょう。
○ 睡眠、休息時間を増やし、十分な休養を心がけましょう。

治療後に体重が増えない、体重減少

悩み

これ以上の体重減少が止まってほしい。食事のとり方や生活の仕方を誰かに指導してほしい。

助言

【食事量をどのように増やしていけばよいのか】


退院後半年の時点で、胃の手術前に比べて、体重が増加している患者さんは少なく、手術前より減少しているか、退院時よりは増えているけれど手術前までには回復していない患者さんがほとんどです。
体重減少をとめるには、摂取エネルギーを増やす、つまり食事量を増やすことが有効なのですが、「胃切除後、ダンピング症状などを起こさずに、どのように食事量を増やしていけばよいのか」という患者さんやご家族の声をよく聞きます。
一般的には、1回の食事摂取量が少なくなるぶん食事回数を増やすこと、少量で高エネルギーの食品をとることが挙げられます。
高エネルギーの食品の例として、たんぱく質が豊富に含まれる食品を紹介します。

1. チーズ
料理にのせて焼いてみましょう : パン・肉・魚
すり下ろして料理にかけてみましょう : スープ・マッシュポテト
料理に加えてみましょう : オムレツ・炒り卵
おやつに加えてみましょう : チーズケーキ・ホットケーキ

2. 牛乳・ヨーグルト
飲み物や料理に使ってみましょう :シチュー・卵焼き
インスタント食品に加えてみましょう : シリアル(コーンフレーク)・スープ
その他 : ドレッシング、魚や肉の下味、ヨーグルトアイスなどデザートに

3. 豆・豆腐
煮たり裏ごししたりして食べてみましょう : 茶碗蒸し・あんこ・プリン
料理に加えてみましょう : 煮物・炊き込みご飯

【栄養士に個別相談する】


患者さんの現在の食事内容や、消化機能、食習慣などを総合的に判断して、患者さんや、調理されるご家族にあった改善方法を提案する必要があります。
おかかりの病院の栄養士に相談できないか、担当医に聞いてみるとよいでしょう。お住まいの自治体でも栄養相談を行っている場合があるので、保健センターにお問い合わせ下さい。

【栄養をできるだけとる: 栄養補助食品の利用】


食事があまり摂れていない時には、消化吸収がよく、バランスのとれた栄養素を配合している濃厚流動食(バランス栄養飲料)や栄養補助食品を利用するのもひとつの方法です。

◎ 栄養補助食品の購入方法
「栄養補助食品を買おうと思ったけれど売っていません。どこで買えばいいの?」と、いうような声をよく耳にします。
残念ながら、これらの栄養補助食品は、一般のスーパーなどで買えないものが多いのが事実です。しかし、通信販売などのシステムは充実していますので、かかっている病院の管理栄養士に相談して購入できるところを教えてもらうのもよいでしょう。

治療後の体力低下・体力回復

悩み

体力が低下し、回復しないため、どうしたらよいかわからず悩んでいる。

助言

【退院後の体力】


退院後に体力不足を感じられる方は大勢いらっしゃいます。入院中は治療中心の生活で、活動量が限られ、筋力や身体の調節の働きが低下しています。また、治療などによって、体力の予備力も少なくなっています。
退院後は体の状態をみながら、活動量を調整し、体力を回復させましょう。退院してすぐの強い活動は避けることが多いと思いますが、どの程度の活動なら大丈夫なのか、どのくらいで回復するのかが分からないために不安もあります。家事を負担の少ない方法に変更したり、動いた後に休憩を取り入れたり、生活の仕方を工夫することで、自分にあった生活が送れると思います。

【新しい生活リズム】


基礎体力という意味では、高齢になればなるほど治療を受けることでの体力低下を感じることが多いかもしれません。また、がんという病気だけではなく、人は様々な理由で生活習慣を変えざるを得なくなることもあり、以前と違う自分のからだを感じることがあると思います。特に、高齢になると今までできていたことがつらくなることがあります。
けれども、大切なのは、そこで気持ちを切り替え、新たな楽しみや生活習慣を身につけていくことだと思います。“今までできていたことができなくなった”と思うよりも、“今まで気づかなかったこういうことができた”という喜びなど、プラス思考の出来事や思いを大切にし、かみしめていくことが、からだとこころの底力になるのではないかと思います。

治療後の気力の維持

悩み

体力の衰えや体調不良により無力感、脱力感や精神的な疲れ、集中力低下があり、気力を維持できるか心配。

助言

【体と心は影響し合っている】


体がつらいときに、気持ちも落ち込むことは、日常生活でよく経験します。体と心は密接に影響し合っているのです。
気力を維持しようと、常に精神的に緊張を強いると、体と心のバランスの崩れた状態に自分自身を追い込む結果になるかもしれません。
まず、体調を整える方法を探してみましょう。同時に、体と心が心地よいと感じることをやってみるとよいかもしれません。一日のうち、少しの時間、何かに楽しみを持ったり、気持ちよいと感じることを重ねていけば、意欲もしだいに高まってくると思います。

【理解者は大きな支え】


自分のことを理解してくれる人がいるというのは、大きな支えになります。
ご家族や親しい友人に、あなたの思いや気持ちを話してみてください。病気をもって生活する気持ちは、同じ病気、同じ状況の人のほうが通じるという方は、患者会に参加するのも一案です。また、患者さんがかかっている医療機関に相談窓口があれば、そちらに相談してもよいでしょう。話すことで、自分の気持ちの整理ができ、気持ちが楽になります。

治療後のリハビリがつらい

悩み

術後のリハビリの進め方等、どうすればよいか不安だった。

助言

【身のまわりの動作もリハビリテーション】


手術後、運動機能の回復を促すため、早期から、リハビリテーションを開始します。リハビリテーションのはじめは動かすと痛いこともありますが、元の生活に近づくことを目標に、手術の状況や体の回復に合わせて行います。言い換えると、リハビリテーションのゴールは人によって異なります。
入院中のリハビリテーションは、医師、理学療法士や看護師の指導のもと、簡単な動作から行いますが、身の回りの動作もリハビリテーションになります。例えば、上肢の手術を受けた方には髪の毛を整える動作、下肢の手術を受けた方は洗面やトイレまでの歩行がリハビリテーションのひとつになります。状況をみながらリハビリテーションの難易度を上げていきますが、退院後も機能の向上、維持のために、リハビリテーションを続けることが大切です。リハビリテーションが順調に進まない、痛みが強いなどの悩みをお持ちだった患者さんに、当時のことを聞いてみると「今思えば、焦らなくても大丈夫だった。進み具合は人それぞれ」と話されます。

罹患前の普通の生活ができないつらさ

悩み

思い通りにからだが動かず、病気にかかる前や治療をする前のような普通の生活ができないことの辛さがあった。

助言

【具体的な目標を作る】


がんの治療のために入院している時や、治療後の体の状態にまだなじめない退院直後は、将来の生活に対する不安や焦りを強く感じてしまいがちです。
まずは、あなたが『普通の生活』として思い描いている生活の中身を、具体的にイメージしてみましょう。
頭の中だけで整理するのが難しければ、ノートなどに書き出してみるとよいでしょう。
具体的な目標があると、達成までの道のりを一歩一歩進んでいることに気づくことができ、自信の回復につながります。
周りの人たちも、目標が具体的な方が、あなたを支えやすくなります。

【目標と今のあなたをつなぐ『階段』を計画する】


目標が具体的にイメージできたら、次に、その目標と今の自分との間をつなぐ、あなたがのぼっていくべき『階段』を考えてみましょう。
無理をしないでいい範囲で、少しずつ、体やこころを慣らしていくことが大切です。
がんの治療が終わって、休んでいた会社に復職することを例にとってみましょう。復職するまでに、あなたに準備できることがいくつかあります。
たとえば、通勤時の移動には意外なほど体力を使うものです。まず、スーツに着替え、ラッシュアワーの電車に乗って会社の最寄駅まで行ってみて、そのまま帰宅する、という練習をしてみてはどうでしょうか。
また、最初は半日程度、それも休みながらでよいと思いますが、机について本を読んだり、文書を書いたり、パソコンで作業をしてみたりしましょう。自宅でやってみて問題ないようであれば、喫茶店や図書館に場所を移して、人が周りにいる中で作業をすることに体を慣らしていきます。
もう一つ、とても大切なことは、職場の上司や同僚に病気についてどう話すか考えて、心構えをし、準備しておくことです。家族に相手役になってもらって、話す練習してみると自信がつくと思います。
ここに挙げたもののほかにも、あなたの仕事の内容によって、必要な準備は違ってくるでしょう。
やるべき準備が見えてきたら、あなたがやりやすいと思うことから順番に並べてみて、これからのことを計画してみましょう。
復職してからも、いきなり以前のペースで仕事に打ち込むのではなく、上司や同僚と相談しながら、仕事の量や内容を調整することも大切です。

【焦らずに、自分のペースで】


目標までの『階段』を、計画通りのペースでのぼれない時にも、焦る必要はありません。
焦りがつのったり、気持ちがゆれたりした時には、ちょっと一休みしてみましょう。
そして、『階段』の先の方ではなく、これまであなたがどれだけの高さをのぼってきたか考えてみましょう。
病気の治療直後には、できるはずがない、と諦めていたことのうちのいくつかは、今はもう、できるようになっているのではないでしょうか。自信を持ってください。
そして、思い描いていた『普通の生活』とは少しちがうかもしれませんが、新しい『自分らしい生活』のイメージも、少しずつ見えてきたのではないでしょうか。
時間が経つことで、あなたの体力は少しずつ回復します。それと同時に、あなたのこころもまた、新しい状況を受け止めるための力をつけていくはずです。
時間はあなたの味方です。自分のペースで、一日一日を積み重ねていきましょう。