悩み(分類)

人工肛門や人工膀胱の装具購入費



助言


【ポイント】
■永久的ストーマの方は、障害者手帳を取得すると、ストーマ装具の給付を受けられる。ただし、日常生活用具費の受給手続きが必要になる。
■ストーマ装具は公的医療保険は適用されない。医療費控除の対象にはなる。
■給付には手続きがいるため、市町の担当窓口に確認する(日本オストミー協会 の情報サイトに詳細情報あり)。
■装具にもいろいろ種類があるので、ストーマ外来などで相談してみる。
■装具の購入費のことだけではなく、経済面全体をあわせて、悩みや困りごとがあるときは、病院の相談窓口やがん相談支援センターに相談してみる。

【ストーマについて】
ストーマには、一時的ストーマと永久的ストーマがあります。一時的ストーマは、緊急手術時、手術後に縫合不全の可能性があるとき、縫合不全が生じたときなどに一時的に造設するものです。

【永久的ストーマと身体障害者手帳】
今後ずっとお使いになるストーマを造設された方(永久的ストーマ)は、身体障害者手帳を申請することで、ストーマ装具等の購入費の給付をはじめ、さまざまな支援を受けることができます。
ただし、自治体によって、給付申請や更新手続きの方法、給付対象となるストーマ用品等が異なり、また、補助金額も、お住まいの市町、また所得等により補助される金額が異なることがあります。不明な点は申請窓口等で確認しましょう。

■対象
排便・排尿のための機能をもつストーマを永久的に造設した方。
■申請できる時期
ストーマ造設の直後から申請できる。
■身体障害者の等級
身体障害者手帳には等級があり、人工肛門または人工膀胱を造設された方は通常4級の手帳が交付される。
ダブルストーマ等「ストーマによる排尿・排便が著しく困難な状態」の合併により上位等級に該当する場合、造設から6か月経過後の状態で、1級、3級に変更申請できる場合もある。
■申請のための医師の診断書・意見書
身体障害者手帳の申請には、判定の資格を持つ指定医に診断書・意見書を記入してもらう必要がある。申請を考える際には、自分の担当医が指定医であるかどうかの確認も含めて、担当医と相談してみる。
■申請窓口
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口
■申請手順(例)
自治体によっては書類の名称等が異なる場合がありますので、申請窓口でご確認ください。
1. 申請窓口で身体障害者手帳交付申請書、身体障害者診断書・意見書を受け取る。(担当医が指定医でない場合には、申請窓口で指定医を教えてもらうこともできる)
2. 指定医に、身体障害者診断書・意見書を記入してもらう。
3. 身体障害者手帳交付申請書に必要事項を記入する。また、申請書に指定のある顔写真を準備する。
4. 申請窓口に、2.の診断書・意見書、3.の申請書および顔写真を提出する。その際、印鑑を持参する。
◎ 手帳の交付までに必要な時間
1か月から3か月程度かかる場合が多いようです。申請窓口で確認してみてください。
◎ 指定されている期限までに申請しないと給付券がもらえないので注意しましょう。

【身体障害者手帳公布後の日常生活用具費(ストーマ装具やストーマ用品など)の受給手続き】
身体障害者手帳が交付されると、日常生活用具費として、ストーマ装具(蓄便袋、蓄尿袋)、ストーマ用品(皮膚保護ペースト、皮膚保護パテ、皮膚保護パウダー、皮膚保護ウエハー等)、洗腸用具の購入費を受給することができます。

■ 申請窓口
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口

■ 給付額
1ヶ月の上限額は、消化器系ストーマ装具の場合1か月8,600円前後、尿路系ストーマ装具の場合1か月11,300円前後としている自治体が多いようです。購入費の9割の補助が受けられ、通常1割が自己負担です。ただし、お住まいの市区町村によって、補助の上限額、自己負担の割合等が異なる場合があります。また、所得制限によって給付を受けられなかったりする場合もあるので、申請窓口で確認してください。

■ 申請手続き
自治体によっては手続きの流れが多少異なる場合もありますので、申請窓口で確認してください。
1. 申請窓口に身体障害者手帳と印鑑、源泉徴収票もしくは確定申告の写し、指定業者名(ストーマ装具を購入している販売業者名)を持参し、日常生活用具費支給申請書に記入する。
2. ストーマ装具等を購入する販売業者に見積もり書を発行してもらい、申請窓口に提出する。(自治体によっては直接申請窓口から販売業者に見積もりを依頼する場合もあります)
3. 自治体から申請者に日常生活用具費の支給決定の通知書と給付券が送付されます。
4. ストーマ装具等と引き換えに販売業者に給付券を提出し、自己負担額を支払います。

【身体障害者手帳の取得、提示による経済的支援例】
身体障害者手帳を取得、提示することで受けられる経済的支援の一部をご紹介します。
詳しい情報については、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口、またはおかかりの病院の医療ソーシャルワーカーにご確認ください。

◎ JR運賃・私鉄運賃・国内航空運賃・バス運賃・タクシー料金の割引
◎ 有料道路通行料金の割引
◎ 携帯電話使用料の割引
◎ 美術館、博物館、公園等の一部での入場料の割引
◎ 税制上の優遇(所得税・住民税の障害者控除、自動車税等の減免)

【身体障害者手帳以外の支援制度】
身体障害者手帳以外の支援制度として、ここでは高額療養費制度、医療費控除、障害年金をご紹介します。
体や家庭の状況等によっては、これら以外にも活用を検討できる制度があるかもしれません。ご不明な点やご相談は、おかかりの病院に医療ソーシャルワーカー、がん診療連携拠点病院のがん相談支援センター等にご相談ください。
 
■高額療養費制度
保険診療の対象となる医療費について、1か月の自己負担を一定の金額におさえることができる制度です。制度の概要については、公開しているPDF冊子『医療費のしくみ』(https://www.scchr.jp/book/manabi4/manabi4-4.html)をご覧ください。

■医療費控除(詳細は、PDF冊子版『医療費控除のしくみ』(https://www.scchr.jp/book/manabi4/manabi4-3.html)を参照)
◎ご自身や生計を一にしている配偶者や親族のために支払った医療費で、医療費控除の計算式で計算した金額が医療費控除として所得金額から差し引かれる(最低限度額10万円、最高限度額200万円)。
◎確定申告する前年の1月1日から12月31日までに支払った医療費が対象
◎ストーマを造設された方は、医師が記入するストーマ用装具使用証明書を添付または提示することで、ストーマ用装具の購入費を控除の対象に含めることができる。
◎税に関することで相談するには、まず税務署の「電話相談支援センター」に連絡してみる(最寄りの税務署に連絡し、音声ガイダンスに従って、「電話相談支援センター」を選択し、相談したい内容の番号を選択すると、担当の相談官が対応する)。税務署での面接相談が必要な場合は、電話等で事前に相談日時等を予約する。

■障害者控除
◎納税者自身、控除対象配偶者(同一生計配偶者※1)、または扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができる。
◎障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族の場合でも適用される。
◎控除できる金額は障害者一人について27万円(特別障害者<手帳1級・2級>に該当する場合は40万円)。
◎確定申告または給与所得申告の時に、控除申告すれば所得税・住民税の税額から障害者控除が受けられる。
◎くわしくは、所轄の税務署にご確認ください。
※1同一生計配偶者:納税者の配偶者でその納税者と生計を一にするもの(青色事業専従者等を除く)のうち、合計所得金額が38万円以下である者
注1)サラリーマンや扶養親族の場合、会社に申し出ておけば年末調整される。障害者であることを会社に知られたくない場合などは、自分で確定申告すれば還付される。
注2)障害者控除は5年さかのぼって申告することができる。

■障害年金
加入している年金の種類や障害の状況にもよりますが、ストーマを造設した方は、障害年金を受給できる場合があります。
原則として障害のもととなった病気(大腸がん、膀胱がんなど)の初診日が、国民年金または厚生年金に加入している間で、障害等級表で決められている障害の状態である場合に、障害者の支援のために支給されます。
おかかりの病院に医療ソーシャルワーカーがいない場合には、加入している年金の窓口(国民年金加入者の方はお住まいの市区町村の年金担当窓口、厚生年金加入者の方は社会保険事務所等)にお問い合わせください。

(最終更新日:2022年10月22日)


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