悩み

「5種類の抗がん剤を行ったが、もう効き目がない」と医師に言われ、緩和の話がでたが、緩和ケア病棟に入院すると1日いくらくらいかかるのか。



助言


【緩和ケア病棟の入院費用】


体やこころのつらさをやわらげることを目指して行われる総合的なケアのことを緩和ケアと言います。緩和ケア病棟は、このような緩和ケアを専門的に行う病棟のことです。

緩和ケア病棟の入院料は、1日単位で診療報酬点数が決まっている定額制です(厚生労働省から緩和ケア病棟として承認を受けた施設の場合)。
緩和ケア病棟に入院する際、1日分の入院費用の目安は、(A)1日当りの緩和ケア病棟入院料の自己負担分+(B)食事の自己負担金+ (C)差額ベッド料など(保険外費用) となります。

平成30年度の診療報酬改定で、緩和ケア病棟の入院料が変更になり、複雑になりました。これまでも、入院日数によって3区分に分かれていましたが、この区分に加え、施設の状況(施設基準)により、入院料は2種類(緩和ケア病棟入院料1か緩和ケア病棟入院料2のどちらか)に分かれるようになりました。
入院料の区分は複雑ですが、(A)<緩和ケア病棟の入院料>の部分に関しては、高額療養費制度が適用されるので、1ヶ月の自己負担額を一定の金額におさえることができます。

※高額療養費制度と所得区分の『認定証』について
医療費が高額になりそうな時には、あらかじめ所得区分の『認定証』の交付を受けて医療機関の窓口で提示することで、入院、外来診療ともに窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができます。
70歳未満の方、70歳以上で所得区分が現役並みIか現役並みIIの方、住民税非課税世帯の方で、高額の支払いが見込まれる治療(緩和ケア病棟での治療やケアも「治療」に含まれます)を予定する場合には、事前に所得区分の『認定証』を自分が加入している保険者(保険証に記載あり)に申請し、入手しておきましょう。申請の際には保険証のほか、印鑑等が必要になることもあるので、あらかじめ自分が加入している保険者に電話等で確認するようにしてください。
『認定証』の申請をせずにいったん窓口で支払いをした場合も、後日保険者に申請をして払い戻しを受けることができます。
なお、70歳以上で所得が「一般」、もしくは「現役並み所得III」の方が治療する場合は、窓口での支払いが自動的に自己負担限度額までになるため手続きは不要です。
注意)国民健康保険・後期高齢者医療保険制度の被保険者の方で、保険料の滞納がある方は認定証の発行がされない場合があります。

このように、緩和ケア病棟の入院料は、高額療養費制度で自己負担限度額がおさえられますが、(B)の食事代の自己負担分、(C)差額ベッド料(室料)などの保険適用外の費用等は高額療養費制度の対象にはなりません。入院を予定する病院であらかじめ概算など確認しておくようにしましょう。
なお、緩和ケア病棟の病床の半数以上は、差額ベッド料がかからない病床にする、という決まりがあります。費用負担が心配な場合には、差額ベッド料がかからない病床を利用できないかどうか、合わせて相談してみるとよいでしょう。

緩和ケアは、緩和ケア病棟に入院するほかにも、外来通院や一般病棟でのチームケア、在宅緩和医療など、さまざまな形で受けられるようになりつつあります。患者さんの場合も、自宅や一般病棟で治療を続けながら、緩和ケアを受けるという選択肢があるかもしれません。今後の療養生活をどのように進めていきたいか、療養場所や費用負担に関する希望も含めて、担当医と相談していきましょう。

静岡がんセンターホームページの『冊子・電子書籍・動画』には、電子書籍(PDF版)の『緩和ケアについて知りたい』を公開しています。また、[特定非営利活動法人 日本ホスピス緩和ケア協会]のサイトには、全国の緩和ケア病棟のある病院を都道府県別に表にして公開しています。日本地図の該当する都道府県名をクリックすると、当該施設の緩和ケア病棟のベッド数とともに、ホームページへのリンクがあり、より詳しい情報はHPで確認することができます。ご自身のお住いの近くに緩和ケア病棟があるか、設備や費用はどのようなところかなどをまず確認にしてみましょう。


 
参考になるホームページ
(1)日本ホスピス緩和ケア協会
https://www.hpcj.org/index.html
サイドメニューに、『ホスピス緩和ケアをご利用の方に向けた情報』があり、『ホスピス緩和ケアQ&A』(ホスピス緩和ケアに関することをQ&Aで情報提供しています)、『ホスピスってなあに?』(冊子PDF版)などホスピス緩和ケアに関する情報や、ホスピス緩和ケアの解説やホスピス緩和ケアを受けられる医療機関一覧(ホスピス緩和ケア病棟、緩和ケアチーム、在宅ホスピス緩和ケア)の情報があります。
(2)国立がん研究センター『がん情報サービス』:相談先・病院を探す
https://hospdb.ganjoho.jp/
https://ganjoho.jp/public/index.html
がん情報サービスの[相談先・病院を探す]では、全国のがん診療連携拠点病院や小児がん拠点病院、希少がん情報公開専門病院等の一覧が掲載されていて、さまざまな条件で検索できます。
(3)緩和ケア.net
https://www.kanwacare.net/
緩和ケアに関する総論的な情報、痛みや痛み以外の症状、緩和ケアの医療費に関する情報、こころの変化やつらさへの対処法などの情報が掲載されています。

 
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