悩み

治療の選択など情報収集が大変であった。



助言


【自分にとっていま必要な情報は何か】


情報は、がんと向き合っていくうえで、欠くことのできない大切なものです。
その反面、多すぎる情報は、かえって不安のもとになったり、治療に関する決断を躊躇させたりする原因にもなります。情報を探すときには、焦らずに、自分のペースで探していくようにしましょう。
病気の情報、診断をつけるための検査に関する情報、治療の情報、医療機関を選択するための情報、医療費に関する情報、その他生活に関する情報、体験者の情報・・・というように、情報といっても様々です。インターネット上に限ったとしても、莫大な情報が流れていて、その量は日々増えています。
大量の情報に圧倒されないようにするには、まず“今の自分にとって問題となっていることは何だろう”ということを、よく考えてみることが大切です。


 

【一番信頼すべき情報源は担当医です】


がんに関する情報は本当にたくさんあります。しかし、『あなた自身の病気』に関する情報を一番多く、正確に持っているのは、担当医です。担当医は、あなたが最も信頼するべき情報源であるということを、忘れないでください。
人の顔つきがそれぞれ違うように、体の中の状態も人によって異なります。また、がんという病気も、たとえ同じ場所にできたものであっても、性質や状態は人それぞれです。さらに、あなたがこれまでどんな治療を受けてきたかによっても、状況は変わってきます。
このように考えると、たとえ莫大な量の情報が世の中にあふれているとしても、『あなた自身の状況』にぴったりと重なるような情報は、なかなか見つからないのもごく当然のことです。
あなたの担当医は、そのような、あなた自身の特別な状況を、過去から今に至る経緯を含めて知っています。担当医は、あなたに最適な情報を提供できる、特別な『情報源』なのです。
インターネット等で得た情報で、もしも気持ちが揺れたり、考えがもつれてきたりしたときには、焦らずに、担当医の説明をよく聞いて、わからないところは質問するところからはじめましょう。


 

【担当医の話をよく聞き、必要があればセカンドオピニオンを】


治療法の選択に際して、あなたがまずしなければならないことは、担当医とよく話をすることです。
担当医と話す際には、家族や親しい友人など、信頼できる人に同席してもらうことができれば、安心できるでしょう。
メモをとりながら、担当医の説明を注意深く聞き、分からないことや不安な点があれば質問して確認するようにしましょう。きちんとメモを取る自信がなければ、レコーダーを持参し、担当医に許可をもらった上で録音してもよいでしょう。
担当医と十分によく話しあった上で、納得できない所が残ったり、“もっと情報が欲しい”と感じたりした時には、セカンドオピニオンを受けましょう。
セカンドオピニオンというのは、直訳すると『第2の意見』という意味で、『症状や治療法について、現在の自分の担当医以外の医師の意見を聞き、参考にすること』をいいます。
あくまで意見を聞くことが目的なので、担当医を変えるわけではありません。セカンドオピニオンを受けた後は、原則として、今の担当医の治療を引き続き受けることになります。
患者さんの中には、“担当医を信頼していないようで、気を悪くするのではないか”とためらわれる人もいます。しかし、あなたが納得して決断できることが何より大切ですし、ほとんどの医師はそんな患者の気持ちを理解しています。心配はご無用です。


 

【インターネットを活用する際の注意点】


インターネットは、多くの情報をいち早く入手できる、という利点があります。その反面、得られた情報が本当に正しいものなのかどうか、判断することが難しいという問題点もあります。病気や治療の情報は、正確さや新しさに注意しながら、慎重に選択することが大切です。

1. 注意すべき点
情報を探すとき、注意しなければいけないのは、
◎ 情報発信者が明確になっているか
◎ 一方的に偏った情報ではないか(良いことばかり書いてあるなど)
の2つです。特に、インターネットから情報を得ることに慣れていない場合や、医療に関してほとんど知識がない場合は、まず『公的機関が発信する情報』を中心に情報を探しましょう。
2. リンクを利用する
公的機関等の信頼できるサイトを出発点として、リンクが張られている時には、リンク先のサイトはある程度信頼できるものと考えてよいでしょう。
ただし、逆に、あるサイトから、公的機関や信頼できるサイトに向けてリンクが張られていたとしても、そのサイトが信頼できるものであるという保証にはならないので注意してください。(これは、たとえリンク先の許可を得なくても、リンクを張ることが技術的には可能だからです)
3. 検索サイトを使う際の注意
通常、何か情報を探すときは、検索サイトを使うことが多いと思います。しかし、検索サイトではキーワードをかなり絞り込まないと、膨大な検索結果がでることがあり、目当ての情報が探しにくいこともあります。自分が調べたいことに関するキーワードを絞り込むには、まずは公的機関の病気別のページなどから読んでみるのがよいでしょう。
また、検索結果として表示される順番は、そこに書かれている情報の正確さや信頼性を必ずしも保証してはいないので、注意してください。


 
参考になるホームページ
(1)国立がん研究センター『がん情報サービス』:予防・検診
https://ganjoho.jp/public/pre_scr/index.html
『予防・検診』のページでは、がんの発生要因、がんを予防するための情報、がん検診の方法やQ&Aなどの情報があります。『がん検診』には、まず知っておきたいこと、詳細な説明、胃がん、子宮頸がん、肺がん、乳がん、大腸がんの検診についての説明があります。
(2)公益財団法人 日本対がん協会:がん予防・がん検診の推進
https://www.jcancer.jp/about_cancer_and_checkup
検診に関するさまざまな情報があります。肺がん、胃がん、大腸がん、乳がん、子宮がんのがん検診について、検診の意義や目的、検診の方法、検診の流れ、よくある質問などの情報が公開されています。また、がん検診とは、がん検診の種類、がん検診の目的と効果の情報もあります。

 

【いろいろな情報源を探す】


インターネット以外にも、さまざまな情報源があります。
書籍は、情報の鮮度や量の面では、いまやインターネットに一歩追いこされてしまいましたが、有力な情報源であることには変わりありません。特に、一つの事柄についてじっくりと考えたり、いくつかの資料を比較して考えたりする際には、手元に置いておける書籍ならではの便利さ、頼もしさがあります。
雑誌や新聞では、新しい情報を、書籍よりもすばやく読むことができます。特に雑誌については、専門的な情報を一般の人にもわかりやすく書いてあるものも出版されるようになりました。書店で読みやすい雑誌に出会ったら、病院の患者図書室や図書館でバックナンバーを調べてみるのもよいでしょう。
画像や音が伴うテレビからの情報は、印象には残りやすいのですが、ビデオに録ったりしない限り、放送が終われば内容を確かめられなくなります。情報にふりまわされないように、放送内容が本当にあなた自身の病気に関係していることなのかどうか、注意しながら見るようにしましょう。
病気に関する一般的な質問であれば、がん診療連携拠点病院の相談支援センターや日本対がん協会のがん相談ホットラインに電話で尋ねてみることもできます。ただし、電話での相談には限界があります。また、相談員は通常は医師ではありませんので、回答は一般的な内容に限られます。
いろいろな情報源がありますが、それぞれを見比べながら、信頼性を確認していくことが大切です。
また、繰り返しになりますが、一番信頼をおくべき情報源は担当医です。大切な決断をする際には、自分で調べた情報だけを根拠にするのではなく、必ず担当医に確認するようにしましょう。


 
参考になるホームページ
(1)国立がん研究センター『がん情報サービス』:相談先・病院を探す
https://hospdb.ganjoho.jp/
がん情報サービスの[相談先・病院を探す]では、全国のがん診療連携拠点病院や小児がん拠点病院、希少がん情報公開専門病院等の一覧が掲載されていて、さまざまな条件で検索できます。病名やがんの種類、地域や病院の種類、診断や治療の実施状況、小児がん治療後のフォローアップ状況、小児がんの治療方法やセカンドオピニオンの対応状況などから探すことができます。また、成人や小児の相談先・病院一覧を見るでは、相談支援センターの名称や電話番号、病院情報などを閲覧できます。
(2)公益財団法人 日本対がん協会:がん患者・家族の支援
https://www.jcancer.jp/consultion_and_support
日本対がん協会のホームページです。『がん患者・家族の支援』のページには、看護師やソーシャルワーカーが対応している『がん相談ホットライン』、事前予約が必要な医師による面接相談、医師による電話相談、社会保険労務士によるがんと就労の電話相談などの相談に関する情報があります。詳細は、それぞれのページをご確認ください。

 
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