悩み

子どもがおり、母子家庭であることから、経済的不安があった。



助言


【母子家庭等を対象とする医療費・経済的支援】


医療費の負担については、母子家庭の場合に利用できる一般的な支援制度として、医療費の自己負担を軽減する制度、医療や介護に必要な資金の貸付制度をご紹介します。

1. 母子家庭等の医療費の自己負担を軽減する制度
各市区町村を単位に、ひとり親家庭等(母子家庭、父子家庭、両親がいない子どもを育てている家庭)の医療費の負担を軽減するための制度が実施されています。これらの制度では、子どもの医療費だけではなく、子どもを育てている母等の医療費も助成の対象になります。
これらの制度は『ひとり親家庭等医療費助成制度』などと呼ばれますが、正式な名称は自治体ごとに異なります。また、制度が使える条件、自己負担の有無や金額、給付の方法も異なるので、お住まいの市区町村に問い合わせてみてください。
例として、静岡県の多くの市町が実施している『母子家庭等医療費助成』では、20歳未満の子どもを育てている母子家庭等で、所得税非課税の世帯が対象になっています。自治体に申請して認定を受けると、子どもや母等が医療機関を受診する際に受給者証を保険証と一緒に提示することで、窓口で支払った医療費の自己負担分が、後日、指定口座に自動的に払い込まれます(自動償還払い方式)。

2. 母子家庭等の医療や介護に必要な資金の貸付制度
都道府県(または指定都市、中核市)を単位として、母子家庭(または寡婦)の医療や介護に必要な資金を無利子で貸し付ける制度が実施されています。これらの制度は『母子福祉資金貸付金』(資金の種類は『医療介護資金』)等の名前で呼ばれます。貸付限度額は都道府県等によって異なりますが、おおむね医療の場合には30万円程度(所得税非課税世帯は上限が上がります)、介護の場合には50万円が目安になります。貸付を受けるためには、保証人、事前の審査など、いくつかの条件や手続きがあります。
また、上記の貸付制度とは別に、母子家庭等に緊急に必要な小口の資金を貸付ける独自の制度を運営している市区町村もあります。
これらの貸付制度については、まずはお住まいの市区町村、またはお近くの福祉事務所までお問いあわせください。

母子家庭の場合、このほかにも、児童扶養手当、税に関する優遇措置、国民年金保険料の免除、就学援助など、様々な経済的支援制度を利用できる可能性があります。詳しくは、お住まいの市区町村、お近くの福祉事務所、おかかりの病院のソーシャルワーカー等にご相談ください。


 
参考になるホームページ
全国母子寡婦福祉団体協議会
http://zenbo.org/
各都道府県や指定都市等にある母子福祉団体の連絡協議機関のホームページです。まず、お住まいの地区の母子福祉団体を確認し、そちらに連絡してみましょう。ご自分のお住まいの地区の母子福祉団体は、『全国組織網』のページで確認できます。
各地区の母子福祉団体では、ひとり親家庭や寡婦等が生活や仕事、育児のことで困ったときなどの相談や情報提供など行っています。

 

【傷病手当金の給付】


療養や治療のために仕事を休む場合、健康保険に加入している会社員や公務員であれば、『傷病手当金』の給付を受けることができます。
退職によって被保険者でなくなる場合も、継続して1年以上の被保険者期間があり、退職日に給付を受けているか、または受けられる状態にある場合には、引き続き『傷病手当金』の給付を受けることができます。
以下ではこの制度の概要をお示しします。より詳しい内容やわからない点については、保険証に記載のある保険者、会社の総務課などにお問い合わせください。

○ 給付金額
1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する金額になります。
なお、次の場合には給付金額が調整されます。
(1)休んだ期間に事業主(会社)から報酬の支給を受けた場合
(2)傷病手当金の給付理由と同一の病気で障害年金を受けている場合
(3)退職後、老齢基礎年金などの年金を受けている場合

○ 給付を受けられる期間
会社を休んだ日が連続して3日間経過したうえで、4日めから支給されます。
傷病手当金の支給期間は、支給されるようになった日から通算して1年6か月になります。
もし、支給期間中に途中で就労するなど傷病手当金が支給されない期間がある場合には、支給されるようになった日(支給開始日)から1年6か月を超えても、傷病手当の支給を受けた期間が通算して1年6か月になるまでは給付が受けられることになります。
なお、休み始めの最初の3日間(待機期間)は、有給休暇であっても、報酬を受けていても給付に支障はありません。

○ 手続き
傷病手当金の請求には、療養の事実についての担当医師の証明と、休業期間中の賃金支払い状況についての事業主(会社)の証明が必要になります。詳しくは、保険証に記載された保険者にお問い合わせください。

○ 資格喪失後の継続給付について
資格を喪失する日の前日までに1年以上継続して被保険者であった場合は、すでに受給している(もしくは受給要件を満たしている)傷病手当金及び出産手当金の継続給付を受けることができます。

○ その他の注意事項
国民健康保険にはこの制度はありません。(国民健康保険組合の一部を除く)


 

【高額療養費制度を活用する】


高額療養費制度は、保険診療の対象となる医療費について、1か月の自己負担を一定の金額におさえることができる制度です。対象となるのは、公的医療保険が適用される医療費です。これには、病院や診療所の窓口で支払う保険診療の自己負担分のほか、処方せんをもらって調剤薬局で購入する薬の代金も含まれます。医療保険が適用されない費用(差額ベッド代、食事代、診断書等の書類作成費用など)は、この制度の対象とはなりませんのでご注意ください。
また、制度の改正は随時行われています。変更になることがあるので、ご注意ください。特に、4月と8月は、制度改正が行われることがあるので注意しましょう。

70歳未満の方、70歳以上で所得区分が現役並みIか現役並みIIの方、住民税非課税世帯の方で、高額の支払いが見込まれる治療(入院・外来)を予定する場合には、事前に所得区分の『認定証』(70歳未満の方、70歳以上で所得区分が現役並みIか現役並みIIの方は限度額適用認定証、住民税非課税世帯の方は限度額適用・標準負担額減額認定証)を自分が加入している保険者(保険証に記載のある)に申請し、入手しておきましょう。
なお、70歳以上で所得区分が、一般、現役並み所得IIIの方が治療する場合は、窓口での支払いが自動的に自己負担限度額までになるため手続きは不要です。

医療機関の窓口で『認定証』を提示することで、会計窓口での支払いを自己負担限度額までにとどめることができます。申請の際には保険証のほか、印鑑等が必要になることもあるので、あらかじめ自分が加入している保険者に電話等で確認するようにしてください。

『認定証』の申請をせずにいったん窓口で支払いをした場合も、後日保険者に申請をして払い戻しを受けることができます。ただし、高額療養費を申請して支給されるまでには、少なくとも3ヶ月程度かかります。1ヶ月に1つの医療機関での支払いが高額になる可能性がある場合は、『認定証』をあらかじめ申請しておきましょう。

【高額療養費制度 ポイント】
◎1カ月(1日~末日)に支払った医療費
◎自己負担の限度額は年齢や所得で異なる
◎保険適用外の医療費は高額療養費制度の対象ではない
◎医療機関ごとに計算する
◎同じ医療機関であっても、(1)医科入院、(2)医科外来、(3)歯科入院、(4)歯科外来は、分けて計算する(院外処方代は処方せんを発行した医療機関の医療費に含まれる)
◎さらに医療費が軽減できるしくみとして『多数該当』や『世帯合算』がある
◎70歳未満の方や70歳以上の一部の方(住民税非課税など)は、事前に所得区分の『認定証』を申請し入手すれば、窓口負担は自己負担限度額までになる
◎高額療養費を申請して支給されるまでには、少なくとも3ヶ月程度かかる
※条件によっては、『世帯合算』や『高額医療・高額介護合算療養制度』なども使えます。
複数の医療機関や訪問看護等の費用と、世帯内であれば複数の方の医療費を合算することができます。

詳しくは、あなたの保険証に記載のある「保険者」までお問い合わせください。


 

【ソーシャルワーカーに相談する】


ここでお示しした母子家庭等を対象とする経済的支援制度、傷病手当金、高額療養費制度のほかにも、状況によっては、介護保険、身体障害者手帳、障害年金、医療費控除、生活保護など、さまざまな制度を活用して、経済的な負担を軽くすることができます。
あなた自身の状況で、どのような制度が利用できるか、適切な助言をしてくれる専門職がソーシャルワーカーです。
ソーシャルワーカーを配置する病院の数は少しずつ増えています。おかかりの病院にソーシャルワーカーがいるかどうか、受付や相談室で尋ねてみてください。
おかかりの病院にソーシャルワーカーがいない場合でも、お住まいの地域に近い相談支援センターにソーシャルワーカーがいるかもしれません。下記のホームページで調べてみてください。


 
参考になるホームページ
国立がん研究センター『がん情報サービス』:相談先を探す
https://hospdb.ganjoho.jp/
成人や小児の相談先・病院一覧(がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院)が掲載されています。

 
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