悩み

何をしていいかパニックになり、妻や娘に怒ってばかりいた。



助言


【怒りはこころの自然な反応の一つです】


がんと診断されることは、誰にとっても衝撃的な体験です。患者さんの中には、「その瞬間頭が真っ白になってしまって、その後先生が何を話したのか全然覚えていない、どうやって自宅に帰ったのかもわからない」、「呆然として何が何だかわからない」と話される方もいます。
また、診断に続く治療の過程でも、体調の変化や、厳しい選択の場面が、患者さんに大きなストレスをもたらします。
『怒り』は、そういった厳しい現実に直面するときに生じる、自然なこころの動きの一つです。
あなたの『怒り』は、がんという病気に対して向けられているのかもしれません。
あるいは、理不尽な運命や、自分自身のこれまでの人生に対して向けられているのかもしれません。
そして、そんな『怒り』のやり場が、あなたのすぐ側にいる、身近な人々に向いてしまうことも、よくあるのです。
病気はあなたのこころを敏感にします。ご家族や親しい人々が、あなたを支えたい一心でかけた言葉も、時には白々しく聞こえてしまうこともあります。“誰にもこのつらさは分からない。簡単なことを言うな!”という苦しい想いが湧くこともあるでしょう。
さらにあなたは、周りの人を傷つけてしまったり、前向きな気持ちになれなかったりする自分自身に対して、言いようのない『怒り』を感じてしまうかもしれません。


 

【つらさを抱え込まないようにしましょう】


このような怒りの感情は、こころの自然な動きです。無理に抑え込むのではなく、あなた自身も、周りの人々も、こころの動揺を理解し、可能な範囲で受け入れていくことが大切です。
しかし、怒りがコントロールできない状態が長く続いたり、怒りによって誰かを傷つけてしまったという後悔があなた自身にさらなるつらさをもたらしたりするようであれば、一度、こころの専門家(精神科医、心療内科医、心理療法士など)と話してみてはいかがでしょうか。
こころの専門家をいきなり訪ねるのは敷居が高いと感じたり、どこに行けば会えるか分からなかったりする時には、まずは、担当医や、おかかりの医療機関(病院など)の相談室やがん診療連携拠点病院の相談支援センターにいる相談員に相談してみるとよいでしょう。
とてもつらい時、自分の気持ちを受けとめてくれる人、家族や何でも話せる友人に、不安に思っていることや揺れ動く思いを聴いてもらうことも、気持ちを楽にします。
一人で、つらさを抱え込まないで、周囲の人に話してみましょう。
口にしなくても、ふっと自分を心配し気遣う周囲の人々の思いが感じられた時、一人ではないと感じて温かい気持ちになれることがあります。そんな時間がほんの少しでも気持ちを楽にしてくれると思います。


 
参考になるホームページ
国立がん研究センター『がん情報サービス』:相談先を探す
https://hospdb.ganjoho.jp/
成人や小児の相談先・病院一覧(がん診療連携拠点病院、小児がん拠点病院)が掲載されています。

 

【まずは担当医とよく話しあいましょう】


気持ちが少しずつ落ち着いてきたら、病気に関する正しい情報を探しましょう。“何をすればいいんだろう”という、自分の体や将来の生活に対する漠然とした不安は、病気に関する事実をきちんと理解することで、軽くできる場合があります。
まずは担当医とよく話しあってみてくだい。家族や信頼する友人などと一緒に話を聞くとよいでしょう。
病気や体の状態については、単に見通しを聞くだけでなく、つらいことが将来仮に起こった時に、どういった対処法があるのか、確かめておくと少し気持ちが楽になると思います。


 
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