悩み

自分の病気のことを知らない人達には、はっきり病名を告げた方がよいのかどうか迷う。



助言


【おつきあいへの影響をまず伝える】


がんを治療する際には、時には具合が悪くなったり、仕事や会合などをある程度長くお休みしたりすることもあります。
相手に必要以上に心配をかけてしまったり、おつきあいをぎくしゃくさせてしまったりしないためには、つきあいの深い方、信頼できる方には、病気について話しておいた方がよいでしょう。
それ以外の方に対して、病気について話すかどうか、話す場合にはどこまで話すかは、状況に応じてあなたが決めてよいことです。
ただ、いずれの場合であっても、必ずしも『病名』を一番最初に伝える必要はないのではないでしょうか。
あなた自身が担当医から病名をはじめて聞いたときのことを少し考えてみてください。『がん』という病名は、場合によっては、いま、あなたが予想する以上に、相手を戸惑わせてしまうかもしれません。
たとえば、これからしばらく検査のためにときどき会社を休むこと、医師から食事について注意を受けていることなど、相手とのおつきあいに直接関係するような事柄から、必要に応じて伝えてみてはどうでしょうか。
その後、もし相手がもっとあなたのことについて知りたがったら、その時には改めて、その方にどこまで伝えるか考えましょう。
一度に何もかも伝える必要はありません。話せるスピードで、必要であれば何度かに分けて伝えてよいのです。


 

【伝えることで、支えの輪を作りやすくする】


いま、男性の2人に1人、女性の3人に1人ががんにかかると言われています。
それにもかかわらず、残念ながら、がんに対する社会の理解はゆっくりとしか進んでいません。
がんに対する否定的なイメージによって、病気について話した相手に必要以上に心配をかけたり、逆に不当な扱いを受けたりすることを、多くの患者さんが心配されます。
ただ、病気であることを伝えることで、あなたの周りに『支えの輪』を作りやすくなる、ということも、忘れないでください。
あなたがほかの誰かに対して思っているように、『いざということがあったら、力になってあげたい』と思っている友だちが、あなたにもきっといるのではないでしょうか。
きっとその人たちは、手を差し伸べるためのきっかけとして、あなたの一言を待っているはずです。
『この人ならば、分かってくれる、信じられる』と思う相手には、勇気を出して、伝えられることから伝えてみてください。
相手は、その場ではとまどったり、安易に励まそうとしてしまったりするかもしれません。
がんという病気のためにこころが繊細になっているあなたには、相手のそんな反応に傷ついてしまうかもしれません。
ですが、時間はかかるかもしれませんが、相手はいずれ、がんという病気の有無に関わらず、あなたがあなたであることには変わりはないということに気づくはずです。
あなた自身が選んだ相手を信じて、時間をかけることも大切です。


 
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