悩み

夫の身の回りの世話ができないことが心配だった。



助言


【配偶者とよく話し合う大切さ】


ご主人は、あなたの病気と現在の生活を含めた状況をどう理解し、どうしたいと思っていらっしゃるのでしょうか。
ご主人と、そのとき、そのときでお互いの思いを含めて話し合い、調整することがまず大切だと思います。

身の回りの世話ができないことで、あなたは申し訳ないと感じているのかもしれませんが、ご主人は、夫婦なのだからお互い様と思っているかもしれませんし、あなたができないあいだ、自分一人でも十分できるという自信を持っているかもしれません。あなたをサポートするためには、当然と思っているかもしれません。

日頃、家では奥様にすべてお任せで、何もしなかったご主人が、仕事、奥様の面会とお世話、家事、お子さんの世話などてきぱきとこなすようになった例もあります。食事はお総菜やコンビニ弁当、掃除は週1回等、以前とは違う形であっても自分のやり方で対応した方もいらっしゃいます。つまり、皆さん、それぞれ形は違っても、その状況に合わせて自分ができる対処をされていらっしゃるということです。

確かに、あなたが望むレベル、あなたが行ってきたレベルとは違うかもしれませんが、ご主人はそれでよいと思っていらっしゃるかもしれません。
ですから、お互いの気持ちを話した後は、状況にあわせて、ご夫婦で、ここまでは行う、こういう形で行うと決めてもよいかもしれません。
あなたが、家事やご主人の世話、お子さんの世話などが十分できないとき、誰にどこまでお願いするのか、代行する相手は、どこまで行うことができるのか、できることとできないこと、今しなければいけないことと後でできることを話し合ってみましょう。


 

【あなたにはあなたの役割がある】


誰かにこれまで自分が行ってきたことをたくすというのは、相手に対しての申し訳ない気持ちを感じると共に、自分の役割がなくなるのではないかという不安がある場合もあります。あるいは役割を果たせない自分を責めて追い込んでしまう場合もあります。
ただ、人に一時的に役割をたくすことで、自分で気づかなかったところに気づけるかもしれませんし、眼に見える役割だけが家族の中での役割ではありません。
また、ご主人の身の回りの世話ができないということですが、ご主人が自分で生活上の様々な事柄を行う際に、ヒントになったり、方法が楽になったりする工夫・アドバイスがあるかもしれません。今あなたができる範囲で、ご主人の身の回りのことの手助けができる部分があると思います。


 

【言葉による思いの伝え方と相手を認めること】


日本人は、思いを言葉にするのが下手といわれることがあります。相手の本当の気持ちを知らないままに、知っていると思いこみ、“たぶん、負担に感じているに違いない。”とか、“どうも疲れているようにみえる。私が悪いんだ。”というように思ってしまいがちです。そうなると、つい「ごめんなさい」とあやまってばかりになり、自分自身も気持ちが沈んでしまいます。
こういうとき、「ごめんなさい」よりは、「ありがとう」の言葉のほうが大切ですし、相手にとってもうれしいものです。
一方、行為についても同じです。これまで自分が主体的に行ってきたことを人にたくすと、ついマイナス面が気になりがちです。“本当は○○して欲しかったのだけれど、私ができないのだから、仕方がない。”、“私だったら、こういうやり方はしない。こういう言い方はしない。”と、相手の行動を無意識に自分と比較して考えてしまうことがあります。そうなると、「○○はこうしてもらえばよかったのに。私のせいでうまくできなくてごめんなさい。」とか、「あれは○○よ。」と無意識のうちに、相手の行動を否定したり、非難するような言葉が会話の端々に出てしまうことがあります。あなたと全く同じにはできないかもしれませんが、ご主人はご主人のできる範囲でできることを行っているのだということ、ご自身と比較するのではなく、ご主人の行っていることをそのまま受け入れることが大切です。


 
Copyright © 2007-2024 Shizuoka Cancer Center. All rights reserved.