悩み

自分が死んだら、子どもがどうなるのか心配だった。



助言


【子どもも自律した一人の人間です】


がんと診断された時、がんの治療をしているとき、再発や転移の不安がよぎるとき、など患者さんのこころのなかでは、さまざまな思い、悩み、心配が起こり、揺れ動きます。たとえば、病気のこと、自分のこれからのこと、家族のこと、仕事のこと、生活のことなど、いろいろなことが心配になり、不安になり、その一方で何からどう手をつけたらよいのか、どう解決したら良いのか、わからないことがあります。特に、親としての子どもへの思いは、とてもつらいものがあるのだと思います。

治療や病気の影響で、からだやこころがつらい状況のときは、特に気持ちがとても不安定になってしまい、いろいろなことを考えているうちに、つい全てにおいて悪い方へ悪い方へと考えがちです。ですから、子どもの将来についても「自分のために○○してしまうのではないか」、「自分のせいで、○○できないのではないか」と思いがちです。

ただ、子どもといっても、自律した地に足をしっかりつけた人間です。また、家族というのは、誰か一人が全てを支え、全てを補うことはできません。ご家族の中で、お互いがいろいろな場面で、ぶつかりあったり助け合ったり、支え合ったりするものです。それは、波のように上がったり下がったりもあると思いますし、綱引きのようなときもあると思います。


 

【まず「今」を考える】


まず、今『大切なこと』を考え、行動していきましょう。お子さんには、あなたはどういうふうに病気のことをお話しているのでしょうか。その話を聞いた子どもさんは、どういう言葉を口にし、その後の様子はどうでしょうか。治療を受けているあなたとどんなことを会話し、家や学校ではどういう様子でしょうか。
つまり、まず大切なことは、今あなたの目の前にいるお子さんと、会話やスキンシップがとれているかということであり、お子さんが抱える今の問題を一緒に考えていくことです。
また、あなたがお子さんのことをどんなに大切に思っているか、治療等でお子さんのかたわらにいられない時間があることをつらいと思っているかを伝えてみましょう。そして、たとえかたわらにいられない時間があったり、十分に身の回りの世話ができない時間があっても、いつでも父親として、母親として、お子さんを見守っていることも伝えていきましょう。


 

【具体的な問題があれば、相談してみる】


あなた自身が一家の経済的な担い手であったり、周囲からの様々なサポート(社会的な支援や経済的な支援など)が得られにくく、もしもの場合について考えておきたい、まだ育児が必要なお子さんがいらっしゃって自分がもし死んだら世話をしてくれる人がいないなどの事情があれば、病院の相談窓口などにいる医療ソーシャルワーカーに相談してみてもよいでしょう。
医療ソーシャルワーカーは、経済的なことや福祉制度のことなど社会的な支援を必要としたり、生活に関する問題を抱えているときに、どういうふうに解決していけばよいのか一緒に考え、問題を解決する手助けをしてくれます。


 
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