悩み

ストマ装具等の代金と治療費がかかり大変だ。



助言


【身体障害者手帳の申請】


今後ずっとお使いになるストーマを造設された方は、身体障害者手帳を申請することで、ストーマ装具等の購入費の給付をはじめ、さまざまな支援を受けることができます。
身体障害者手帳には等級があり、人工肛門または人工膀胱を造設された方は通常4級の手帳が交付されます。造設から6か月経過後の状態によっては、1級、3級に変更申請できる場合もあります。
身体障害者手帳の申請には、判定の資格を持つ指定医に診断書・意見書を記入してもらうことになります。申請を考える際には、自分の担当医が指定医であるかどうかの確認も含めて、担当医と相談してみてください。
身体障害者手帳の申請の概要は次の通りです。

◎ 対象
排便・排尿のための機能をもつストーマを永久的に造設した方。
◎ 申請できる時期
ストーマ造設の直後から申請できます。
◎ 申請窓口
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口。
◎ 申請手続き
自治体によっては書類の名称等が異なる場合がありますので、申請窓口でご確認ください。
1. 申請窓口で身体障害者手帳交付申請書、身体障害者診断書・意見書を受け取る。(担当医が指定医でない場合には、申請窓口で指定医を教えてもらうこともできます)
2. 指定医に、身体障害者診断書・意見書を記入してもらう。
3. 身体障害者手帳交付申請書に必要事項を記入する。また、申請書に指定のある顔写真を準備する。
4. 申請窓口に、2.の診断書・意見書、3.の申請書および顔写真を提出する。その際、印鑑を持参する。
◎ 手帳の交付までに必要な時間
1か月から3か月程度かかる場合が多いようです。申請窓口で確認してみてください。


 

【身体障害者手帳で受けられる支援:ストーマ装具等の購入費の給付】


身体障害者手帳が交付されると、日常生活用具費として、ストーマ装具(蓄便袋、蓄尿袋)、ストーマ用品(皮膚保護ペースト、皮膚保護パテ、皮膚保護パウダー、皮膚保護ウエハー等)、洗腸用具の購入費を受給することができます。

◎ 申請窓口
お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口。
◎ 給付額
蓄便袋の場合1か月8,858円、蓄尿袋の場合1か月11,639円としている自治体が多いようです。
給付に際しては、自己負担額(通常は購入費の1割)が生じたり、所得によって給付を受けられなかったりする場合もあるので、申請窓口で確認してください。
◎ 申請手続き
自治体によっては手続きの流れが多少異なる場合もありますので、申請窓口で確認してください。
1. 申請窓口に身体障害者手帳と印鑑を持参し、日常生活用具費支給申請書に記入する。
2. ストーマ装具等を購入する販売業者に見積もり書を発行してもらい、申請窓口に提出する。(自治体によっては直接申請窓口から販売業者に見積もりを依頼する場合もあります)
3. 自治体から申請者に日常生活用具費の支給決定の通知書と給付券が送付されます。
4. ストーマ装具等と引き換えに販売業者に給付券を提出し、自己負担額を支払います。


 

【身体障害者手帳で受けられるその他の経済的支援】


身体障害者手帳を取得、提示することで受けられる経済的支援の一部をご紹介します。
詳しい情報については、お住まいの市区町村の障害福祉担当窓口、またはおかかりの病院の医療ソーシャルワーカーにご確認ください。

◎ JR運賃・私鉄運賃・国内航空運賃・バス運賃・タクシー料金の割引
◎ 有料道路通行料金の割引
◎ 携帯電話使用料の割引
◎ 美術館、博物館、公園等の一部での入場料の割引
◎ 税制上の優遇(所得税・住民税の障害者控除、自動車税等の減免)


 

【その他の支援制度】


身体障害者手帳以外の支援制度として、ここでは高額療養費制度、医療費控除、障害年金をご紹介します。
体や家庭の状況等によっては、これら以外にも活用を検討できる制度があるかもしれません。おかかりの病院に医療ソーシャルワーカーがいれば、相談してみるとよいでしょう。
 
◎ 高額療養費制度
保険診療の対象となる医療費について、1か月の自己負担を一定の金額におさえることができる制度です。制度の概要については、当ホームページ『冊子・動画ダウンロード』の学びの広場シリーズ『医療費のしくみ』をご覧ください。
◎ 医療費控除
1世帯で1年間に合計10万円(所得金額が200万円未満の人は所得金額の5%)以上の医療費を支払った場合、申告によって税金の一部が戻ってきます。ストーマを増設された方は、医師が記入するストーマ用装具使用証明書を添付することで、ストーマ用装具の購入費を控除の対象に含めることができます。くわしくは、所轄の税務署にご確認ください。
◎ 障害年金
加入している年金の種類や障害の状況にもよりますが、ストーマを造設した方は、障害年金を受給できる場合があります。おかかりの病院に医療ソーシャルワーカーがいない場合には、加入している年金の窓口(国民年金加入者の方はお住まいの市区町村の年金担当窓口、厚生年金加入者の方は社会保険事務所等)にお問い合わせください。


 
参考になるホームページ
(1)公益社団法人 日本オストミー協会
https://www.joa-net.org/
日本オストミー協会は、オストメイト(人工肛門・人工膀胱保有者)が安心して暮らせる社会をめざしてさまざまな活動をしている団体です。『ストーマとの生活』には、ストーマについて、種類別の特徴、ストーマ装具について、日常生活のポイント、主な福祉制度、オストメイトの災害対策、ストーマ用品について、ストーマケアの参考書などの情報があります。また、『全国のストーマ外来』、『オストメイト対応トイレ』などの情報提供の他、全国にある『支部一覧』で支部の連絡先を確認できます。『20/40フォーカスグループ』という若い世代のオストメイト同士の交流を図るグループの紹介もあります。
(2)オストメイトJP
https://www.ostomate.jp/
オストメイトJPでは、全国のオストメイト対応トイレを検索することができます。オストメイト対応トイレとは、オストメイトがトイレで、排泄物の処理、ストーマ装具の交換・装着、ストーマ周辺皮膚の清拭・洗浄、衣服・使用済み装具の洗濯・廃棄などができる設備があるトイレです。住所や施設名、駅・鉄道路線、高速道路・道の駅などで検索できます。また、スマートフォン用のアプリ(iPhone版、アンドロイド版)もあります。
(3)日本創傷・オストミー・失禁管理学会
https://jwocm.org/
日本創傷・オストミー・失禁管理学会のホームページです。『一般の方へ』のページの『ストーマ外来検索』は、都道府県名等を入れてストーマ外来を検索することができます。また、『ストーマケアについて』では、ストーマケアのヒントの情報があります。

 
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