悩み

がんになりやすい性格を変えて、幸せで肯定的な人格を築きたい。



助言


【あなた自身の『強さ』を大切にする】


がんという病気は、あなたの体にとっても、心にとっても、つらいものです。
体も心もつらい状態で、がんと向きあうための『強さ』を新たに探し求めるという難題を自分に課すのは、実にたいへんなことなのではないでしょうか。
そんな時には、病気と向きあうために必要な『強さ』を、あなた自身のなかに探してみてもよいのです。
あなたは、これまで生きてきた中で、人生を左右するような難局にさしかかった時に、どんな風に対処してきたでしょうか。問題をきちんと見つめ、正面から立ち向かっていくことだけが『強さ』であるとは限りません。
目をかたくつぶりながら全力で駆けぬけたり、嵐のような時間が過ぎ去るのをじっと待ったりすることで難局をくぐり抜けてきたのであれば、それもまた、あなたが自分の中に育ててきた『強さ』です。
『病気のことをいつもくよくよと思い悩んでしまう』あなたには、ねばり強くものごとを考え、受け止めるための筋道を見つけようとする『強さ』があるかもしれません。
『うっかりすると病気のことを忘れようとしてしまう』あなたには、体や心がつらい時でも、楽しいことや幸せなことを自然に探せる『強さ』があるかもしれません。


 

【性格やストレスとがんについて】


『マイナス思考でいると、がんになる』、『がんの原因はストレス』といったことを耳にすることがあると思います。
しかし実際には、性格やストレスとがんの発生との関係は、科学的に証明されたわけではありません。また、現時点では、たとえあったとしても、その影響はそれほど大きなものではないだろうと考えられています。
同じようなことは、がんになってからの心の状態についてもいえます。『前向きにがんと闘おうとすれば、余命が延びる』ということが事実かどうかは、科学的に結論が出たわけではありません。


 

【がんと性格やストレスとの関係】


性格やストレスとがんの発生との関係については、これまでたくさんの研究が行われてきました。
これらの研究のうち、特に初期のものでは、ある種の性格(気持ちを表に出さない傾向や神経質さなど)やストレスが、がんと関係していることを報告するものもありました。しかし、そのような研究の中には、研究方法が科学的に厳密であるとは言えないものも多く含まれていました。
時代が進み、研究手法が科学的に厳密になってくると、性格やストレスががんの発生に影響していると報告する研究は少なくなりました。同じような傾向は、がんになってからの心の持ちようが、再発や生存期間に影響を与えているかどうかに関する研究でも報告されています。


 

【自分の性格を責める必要はない】


あなたは、がんになられてからたくさん思い悩まれた末に、自分自身の性格を変えたいとおっしゃっているのだと思います。
がんの原因が性格であると認めることは、病気になった責任を、自分自身のせいにするということです。病気になったうえに、自分自身を責めるということは、二重につらいことだとお察しします。
しかし、『どのような性格の方ががんになりやすいか』、『がんになってからどんな風に気持ちを切り替えたら再発を防いだり長生きできたりするか』ということについては、まだ議論や研究が続いていて、結論は出ていないのです。
性格を変えることが、もし、あなたにとってそれほどつらい負担にならないようであれば、生活に張りあいや生きがいをもたらしてくれるかもしれません。けれども、もし、前向きな性格にならなければいけない、ということが、あなたにとって重荷になるようであれば、必要以上にそのことにこだわったり、思い悩んだりする必要はないかもしれません。


 
Copyright © 2007-2024 Shizuoka Cancer Center. All rights reserved.