悩み

こんなにお金をかけて、病身の夫に家事の負担をかけて、自分が生きていく意味があるのか。



助言


【生きる意味を考えるということ】


生きる意味について、自分が生きることの価値について、自分自身に問いかける、自分自身の生きる目標を考える・・・このようなことは、特に、がんと診断を受けるまでは、あまり意識することがなかったかもしれません。


 

【がんにかかったことでの変化と思い】


がんにかかったことで、あなたの周囲にはいくつもの変化があり、またあなた自身もいくつもの変化を経験すると思います。こういった変化は目に見えるモノもあり、見えないモノもあります。これまでは仕事に打ち込み、人をひっぱっていた人が、がんの治療で入院中は、「患者さん」である自分を感じ、病院の規則にしばられ、医師や看護師への遠慮を感じることがあります。家族の大黒柱だった人が、がんにかかったことで、家族を支える立場から、家族から支えられる立場に『なってしまった』(患者さん自身の感覚として)と感じることがあります。自分なりの目標設定をしていた人が、その目標を断念せざるをえない場合もあります。これまで、すべて自分で決めてきた、人に迷惑をかけたことはないと自負していた人が、家族や周囲の人のサポートを受けることで、感謝と同時に後ろめたさや時には屈辱感を感じることがあります。


 

【答えが出にくい問い】


このデータベースのもとになった調査結果でも、がんになった多くの患者さんが、これまで意識しなかった自分自身の存在価値のこと、人との関わり、生と死、などについて悩み、哀しみ、苦しまれている実態が明らかになりました。
そして、こういうことは、自分自身のなかに深く問いかけても、なかなか答えはでてこないかもしれません。


 

【家族と率直に話し合う】


家族に負担をかけていると感じるときは、率直に、ご家族に思いを聞き、あなたの思いを話してみましょう。
ご家族は、あなたのために何かできることを喜んでいるかもしれません。あなたがそばにいることが一番大切なことだと感じているかもしれません。
このような機会を持つことは、あなたにとって、ご家族の思いを感じ、ご家族にとって大切な存在である自分をそこに見いだす機会になるでしょう。そして、ご家族にとっては、あなたがご家族に負担をかけていると思い、苦しんでいることを知る機会になるかもしれません。また、こういう感情的な交流のことだけではなく、負担感を感じていることがあれば、話し合いのなかで、お互いに納得できる解決策を見いだすこともできます。


 
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