悩み

病気なんかに負けていられないと、そればかり考えている。



助言


【時々こころの荷物をおろしてみましょう】


あなたは今、自分なりにがんと向きあっていこうとして、自分のこころに言い聞かせたりこころのなかを整理しようと一生懸命にがんばっている状況なのかもしれません。そのこと自体は、あなたが自分を脅かす出来事や問題に対して一歩前に踏み出そうとする積極的な行動であり、大事なことだと思います。

ただ、その一方で『そればかり考えている』という言葉は、どこかに無理をしてがんばっているあなたもいるような気がします。あなたは、自分なりにこころを立て直そうとしているけれども、ちょっと気を抜くと落ち込んでしまったり何もしたくなくなったり、悪い方へ悪い方へと考えてしまいそうになるときもあるのではないでしょうか。そういうとき、“こんなことではいけない”と自分を叱咤激励しているのかもしれません。
ただ、あなたが落ち込んでしまったり、悪い方へ考えてしまっても、それは決してあなたが弱いとか後ろ向きだとかいうのではありません。がんにかかった多くの方が、同じような思いを抱いたり、悩んでいらっしゃいます。

がんという病気のやっかいなところの一つは、将来の不透明さだと思います。
常に『前向きに生きなければ』、『病気に負けてはいけない』と自分に強いることは、とてもつらいことです。ですから、時々『ねばならない』という荷物をはずしてみましょう。病気に負けそうな気分になったり落ち込んでしまうのも、誰でもあることです。
つらいときは、自分の気持ちを言葉にして誰かに聴いてもらいましょう。時には、こころの中のつらい部分のガス抜きが必要ですし、こころのガス抜きは、次の一歩を踏み出す力の源にもなります。

患者さんのなかには、「物事すべてがなるようにしかならないと思い、無理をせずにいこうと思うと気持ちが楽になった。」、「からだの中に悪いものがあってもいいけど静かにしてね、と自分自身に語っている。」というように、自分自身のなかでがんと折り合いをつけるための整理をされている方もいらっしゃいます。折り合いのつけ方は、人それぞれです。百人百様であってもかまいません。ただ、時折自分のこころに問いかけてみて、つらそうなときはこころを休ませてあげましょう。


 
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