悩み

生きる希望や生きがいがないことが悩みである。



助言


【一人で抱え込まないようにしましょう】


がんにかかったことで、あなたの周囲にはいくつもの変化があり、またあなた自身もいくつもの変化を経験されたのだと思います。こういった変化は目に見えるモノもあり、見えないモノもあります。
これまで、自信を持って仕事をしたり、家事をしたり、人間関係を築いてきたのに、どこか以前と違うと感じ、焦りや動揺が生じることもあります。
自分なりの目標設定をしていた人が、その目標を断念せざるをえない場合もあります。
すべて自分で決めてきた、人に迷惑をかけたことはないと自負していた人が、家族や周囲の人のサポートを受けることで、感謝と同時に後ろめたさや時には屈辱感を感じることがあります。

このデータベースのもとになった調査結果でも、がんになった多くの患者さんが、これまで意識しなかった自分自身の存在価値のこと、人との関係性、生と死、などについて悩み、哀しみ、苦しまれている実態が明らかになりました。
ただ、その一方で、患者さんの悩みの声のなかで、『がんとうまく付き合って』と前向きにとらえている方がいらっしゃいます。『今は』と書かれてあり、治療をされて少し時間が経った方に多い印象です。もちろん最初はこのような気持ちではなかったと思いますが、先に経験された患者さんのこころの状態や対処法を聞くことは、参考になるかもしれません。
患者会の集まりに参加したり、病院や地域で開催されている『患者サロン』に行き、同じ経験者の方々とお話ししてみてもよいでしょう。また、インターネットでも、患者さん同士メーリングリストや掲示板で交流をはかっているところもありますし、ブログやホームページで闘病記などを読むことができます。
がんとうまく付き合うには、体とこころの両方の声を聞きながら、調和の乱れを早く察知し、無理をせず自分にあった生活を送ることが大切です。

がんという病気のやっかいなところの一つは、将来の不透明さだと思います。
常に“前向きに生きなければ”、“病気に負けてはいけない”と自分に強いることは、とてもつらいことです。ですから、時々『ねばならない』という荷物をはずしてみましょう。病気に負けそうな気分になったり落ち込んでしまうのも、誰にでもあることです。
つらいときは、自分の気持ちを言葉にして誰かに聴いてもらいましょう。時には、こころの中のつらい部分のガス抜きが必要ですし、こころのガス抜きは、次の一歩を踏み出す力の源にもなります。


 
参考になるホームページ
健康と病の語りディペックス・ジャパン
https://www.dipex-j.org/
ディペックス・ジャパンは、英国オックスフォード大学のDIPExをモデルにした日本版の健康と病いの「語り」のデータベースです。
がん経験者に関連した語りでは、乳がん経験者、前立腺がん経験者の語り、臨床試験・治験の語りなどが収録されています。映像や音声、テキストを通じて、がん経験者の声を知ることができます。

 
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