悩み

自覚症状が全くなく、職場の集団検診で見つかりがんを告知されたので、頭の中が真っ暗になりどうやって車を運転して帰ってきたのか不明だった。



助言


【告知のショック】


自覚症状がなく、全く予想していなかったことを告げられたのだと思います。がんの告知後は強いショックを受け、頭が真っ白になり、医師が何を言ったか全く覚えていないとか、やはり聞きたくなかったとか、こころは大きく動揺します。文面から、不安や恐怖が押し寄せ、気が動転している状況がうかがえます。
けれども、こういったショックや動揺は、時間をかけて少しずつやわらいでいきます。
また、病気の状況や治療について知っていくことで、未知のものへの不安は徐々に少なくなっていきます。


 

【その後のこころの動き】


こころが落ち着いてくるまでの期間は人によって異なりますが、2~3週間くらいすると、少しずつ具体的なことを考えたり、気持ちが落ち着いてきます。これは、こころがすっかり落ち着きを取り戻したということではなく、まだ不安定ではありますが、その中でも少しずつ変化が出てくるということです。
この時期になると、周囲の人々の自分へのいたわりや、自分を必要としてくれる気持ちが少しずつ素直にこころの中にも入ってきます。


 

【病気や治療を理解することも不安を軽くする】


がんの初期には、自覚症状はほとんどないのが一般的です。
自分の病気についても、また治療についても、何もわからなければわからない分だけ、漠然とした不安は強くなります。その上、がんと診断されたことで、こころは動揺し不安定になっていますから、余計にすべてを悪い方へ悪い方へと考えてしまいがちです。
どのような治療が適応となるのか、期待できる効果、副作用、起こりうる合併症、他の治療法と比べての長所や短所、治療スケジュールなどを担当医に確認してみましょう。


 

【こころが不安定な状態が続く時は、こころの専門家もサポートしてくれる】


不安定なこころの状態が続く時には、一度こころの専門家に相談してみるという方法があります。
こころが不安定で、他には何も考えられなくなった、何事にも集中できない、誰とも話したくない、夜眠れない、食欲がない、などそういった症状が続くような時は担当医やこころの専門家(精神腫瘍科医、心療内科医、精神科医、臨床心理士、心理療法士、リエゾンナースなど)に相談してみてください。気持ちを落ち着けるお薬を飲んだ方がいい場合もあります。
こころの専門家というと、“自分がおかしくなったのではないか”と思い抵抗がある方もいらっしゃると思いますが、このようにこころが不安定な状態になることは、がんにかかった多くの方が経験することです。
がんと向き合う時、からだの方は担当医がサポートしてくれますが、こころの方は周囲の人とともにサポートしてくれる専門家に少し頼ってみることで、どうしていけばよいのか、自分なりの答えがみつけられることがあります。


 

【家族や周囲の方の対応】


ご家族や身近な方は、患者さんのこころが不安定な状態になっていることを、心に留めておきましょう。患者さんが、ご家族の言葉やふるまいに過剰とも思える反応があっても、それは患者さんが心を許せるご家族だから自然に出ていることです。また、大きな衝撃を何とか乗り越えようと、患者さんのこころの中では本当に大変な努力が行われているのです。
このような時期には、特に「がんばれ」や「しっかりしろ」という励ましや、「考えるな」という言葉は禁句です。患者さんは一生懸命がんばっているし、しっかりしたいと誰よりも願っているからです。この時期には、「見守る」ことが大切です。


 
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